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無頼の帝国~帝政アメリカ短編集~

ジェシーは最速の銃士(ガンマン)

作者: 筑前助広

挿絵(By みてみん)

著作者:kolbasun

© 2015 - GATAG|フリーイラスト素材集 - Design by WPThemeDesigner.com.

 奴の右腕が動こうとした時、俺は撃鉄を起こしていた。

 耳をつんざく銃声。その僅か数コンマ後に奴の身体が吹っ飛び、砂煙舞いたつ乾いた街に倒れた。

 歓声が挙がる。街の住人だった。

 口々に、俺の名を呼び称える。

「ジェシー最高だ」

「ジェシー・クランスこそ、最速の銃士ガンマンだ」

 俺は相棒のオリヴィア二世を掌で弄んでホルスターに収めると、観衆に向かって肩を竦めた。

 よせやい、本当の事を言っちゃ冗談にはならねぇもんだ。

 倒れた男は、大鼻ビックノウズのカーストン。このセブンスポイントを牛耳る無法者ギャングの親玉である。

 歳は五十二。死んだ親父と同じ歳だ。だからとて、何の感慨も無いが。

 大鼻ビックノウズのカーストン。元はトゥーラン牧場の牧童カウボーイだったという。だが、先の戦争で良心というものを忘れてきたのか、戦後は牧場主を撃ち殺すと、そこを根城にして子分二十五人を抱える首領ボスと化した。

 それも、これからは過去形で語られる。この三日で、二十五人の全員撃ち殺したのだ。

 仕事だった。子分一人で金貨五枚。カーストンは、金貨五十枚。依頼者は、この街の住人で、わざわざ俺を探し出し、依頼したのである。

「あんたしかいない。街を救ってくれ」

 殺し文句だった。男をくすぐられたのだ。俺は二つ返事で引き受け、今カーストンは倒れている。

「まだ、勝負は決しちゃいねぇぜ、街の衆」

 俺は、燐寸マッチ革靴ブーツで擦ると、葉巻に火を着けた。そして、倒れたカーストンに歩み寄る。銃は手から離れているのは確認済みだ。

 元首領は、赤い髭面を俺に向けた。鳩尾を押さえ、苦痛に顔を歪めている。

 葉巻の煙を吐く。甘ったるい臭い。南部ディナン産の煙草だ。この匂いを嫌う奴もいるが、俺にはこれが堪らない。

「腹か。胸を狙ったのだが」

 呟き舌打ちをすると、カーストンが微かに笑った。

「まぁ、笑われても仕方ねぇわな」

 オリヴィア二世を抜き、カーストンの眉間に突き付けた。

「言い残す事は?」

俺は訊いた。

ファック

「他には?」

ファックだ」

「上等だぜ、悪党」

 俺は低く笑うと、撃鉄を起こし、引き金を引いた。

 最後まで読んで頂きありがとうございます。

 突然、ガンアクションが書きたくなり、本能が赴くまま散歩中に書き上げました。

 拳銃をメインとするものはこれが初めてです。でもハマりそうですねwアメリカや西部劇は大好きですし。習作にしていますが、腕を磨いて、いつか長編を書いてみたいと思います。


 なお、モデルはブラピのジェシー・ジェームズです(*´ω`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 西部劇、いいですね。 短いけどよくまとまっていて読みやすかったです。 [一言] やはり25人の子分との戦いの部分は読んでみたかったです。
[一言] ジェシーがカッコイイw こういうのをハードボイルドというのか、とにかく余計な描写をいれず淡々と進む感じなのに情景が浮かんできます。 また大鼻の最後も悪党としての矜持を持っている感じで妙に惹か…
[一言] 楽しい! 西部劇映画が好きなので、場面を映像で思い浮かべてニヤニヤしながら読みました。ブーツでマッチを擦る描写とか、細かいところがかなりツボです。 ちょっと斜に構えた感じのクールな主人公がい…
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