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そんな話  作者: 宵の明星
8/9

人形

 ……僕は……愛していた……





 ……彼女を……愛していた……





 ……どんな時でも優しく笑いかけてくれる……





 ……そんな彼女を愛していた……





 ……でも、こんな冴えない男に振り向くはずがない……と、そう思っていた……





 ……だけど……彼女は僕を愛してくれた……






 ……嬉しかった……






 まさか、彼女が僕の事を愛してくれるなんて……夢にも思わなかった……





 だから僕は彼女を大切にした





 彼女のために努力した





 そして……彼女を心の底から愛した





 ……でも、ある時から僕の心に変化が生まれた





 彼女といてもなにか満たされない……そう思うようになってしまった





 ……僕は悩んだ……





 別に彼女への愛が冷めてしまった訳じゃない





 彼女に不満も感じていない





 ……だったら……どうして……





 僕は悩んだ末にその事を彼女に打ち明けた





 すると彼女は優しく微笑むと






「それは、あなたがより強い愛を私に求めているからよ」






 と言い、優しく僕を抱きしめた





 ……あぁ、そうだったのか……





 ……ようやく気付いたよ…… 





 そう思いながら僕は同じように彼女を抱きしめる





 そして……









 彼女を殺した 









 僕は、彼女の愛が欲しかったんじゃない





 彼女そのものが欲しかったんだ





 僕が彼女の首に手をかけた時





 彼女は少し苦しそうにしながらも僕に微笑みかけてくれた





 ……ごめんね……





 ……でも、大丈夫だから……





 ……苦しいのは一瞬だけ……





 ……すぐに終わるからね……





 ……だって……こうすれば……





 ……君は僕のものになってくれる……





 ……そして……





 ……僕達は永遠に結ばれるんだ……











 ……ねぇ……聞こえる?





 ……僕の可愛い人形……





 ……僕達はついに結ばれたんだよ……







 ……ねぇ……聞いてる?





 ……僕の美しい人形……





 ……これで僕達は永遠に繋がっていられるんだよ……





 ……こんなに嬉しい事はないよね……









 ……あぁ……なんだか君と踊りたくなってきたよ……





 ……二人で、この喜びを分かち合いたいんだ……











 ……ねぇ……いいよね?











 ……それじゃあ、踊ろうか……





 ……僕だけの人形……





 ……あぁ……君と共に踊れるこの時が……





 ……僕の……いや、僕達の永遠の幸せ……











 ……君も……そう思うだろ?











 ……そして、青年は踊りつづける……







 ……永遠に動く事のない人形と共に……










 ……そんな話。




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