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説明


 部室にて一人茶を啜る。紅茶も好きだがやはり緑茶こそ至高だと思う。此処に和菓子があれば更に良い


「……平和だ」


 今日までの3日間、記憶がまったくなかったがどうやら普通に過ごしていたらしい。咲樹に聞いたら何故か目を反らされたのが気になるが、多分大した事ではないだろう

 もしそうならシロが黙っている筈がない。教室の角で震えていたのは多分気分が悪かったんだろう。ウイルスには気を付けてと言ったら何やら更に震えが激しくなったが気にしない。意地でも気にしない

 沙耶先輩に挨拶したら真っ赤になって逃げられたのは多分恥ずかしかったからだ。うん、そうに違いない。そうであってくれ

 片那がいきなり土下座したのだけは本当に意味が分からない。いきなり献上品として焼きそばパン奢られても非常に困る。公衆の面前でずっと土下座されたのは嫌がらせだったのか?

 そして何故か真理亜に抱き着かれた。今日は何をしてくれるんだと言われましても……何もしてない筈、もう小学校の時のような失敗はしないと誓ったんだから


「……皆遅いな」


 まだ先日の説明がされていないんだが。早く知りたいんだけどな

 そう思っていると、妙に慎重に片那が部屋に入ってきた。何を警戒しているか分からないが早く入ってくればいいのに


「……し、失礼します」


 どうしたんだろう? 普段と違って妙に大人しい。此処まで違うと宇宙人に(なかみ)弄くられたんじゃないかと心配になる


「どうしたんだお前?」

「いぎっ!?」


 まるで錆びたブリキ人形みたいにこちらを向く片那。どう見ても怯えている。いったい何があった?


「片那?」

「ひっ! べ、別に何もしてないぞ!?」


 何故コイツはこんなに怯えているんだろうか? むしろ怯えるとしたら自分の方ではないのか?


「あ、せっちゃん。……その、入ってもいい?」

「何で僕に許可求めるの?」

「ぼ、僕? 今僕と言ったか如月!」

「言ったけど……どうかしたのか2人とも?」

「よかった、優しいせっちゃんに戻ってる」

「恐怖の日々がようやく終わった」

「……何の話だ?」


 小首を傾げると同時に扉の向こうで何故か躊躇っている沙耶先輩とその背後で楽しげに笑っている真理亜を発見。とりあえず逃げようとした沙耶先輩を締め落とし部室に放り込む。さて、何があったか説明してもらわなければ


「先日の件について誰か説明してくれ」

「……それはこの3日間の事か?」

「それも気になるけどまずは鬼ごっこの時の続き」

「……分かった。それじゃまとめた書類があるから読んでくれ」


 片那が何処からか取り出した書類を手に取る。さて、どんな話か楽しみだ



◆ ◆ ◆


 呼んだ書類を纏めるとこんなかんじである


①この世界には魔力がない(これは異常な事らしく、本当は世界が生み出す……マナ? が無いと生物は生きれないらしい)

②そのせいか自己精製できるオド? が他世界と比べると遥かに膨大。それこそ世界そのものが生み出すマナに匹敵する程濃密な魔力らしい

③それを使えば誰でも魔法や魔術を使用可能。ただし、基本的に秘匿される物なので一般人には知られていない

④この学校は魔術等に関わりがある者のみ入学可能(つまり自分はイレギュラー)



「ちなみに個性部に強制入部させたのはお前が一般人だったからだ。もしかしたら確認できていないだけで能力でもあるのかと思ったんだが、もうオドすらほとんど感じないという欠陥生物だ。よく生きてるな、お前」

「そんな小動物みたいにか弱くないよ」

「……そうだな。どちらかと言うと、なぁ?」

「……うん」

「辱しめられました」

「ドSだな」

[爬虫類のような笑みでした]

「待て。本当にこの3日間で何があった」


 非常に嫌な予感がして聞いて見たが何故か真理亜以外が目を反らしてしまう。片那とシロはどう見ても怯えている様子、咲樹はちょっと苦笑い気味、そして沙耶先輩は何故か真っ赤だ。唯一微笑んでいる真理亜は何処か期待に満ちた視線だ


「他の面々は色々あって話せないだろうから私が説明しよう。君が薬を飲んで元気ハツラツと家に帰った姿を見送った所までは普通だった」


 その時の記憶が一切無いんだが?


「そして事件は次の日に起こった」

「事件て」

「なんと少年が「あらあらうふふ」などと言い出し、一人称も「私」。それどころか仕草も女性的に」

「ぐはっ!」

「だがそれすらも序盤に過ぎない。授業中、数名の教師を知識量で圧倒、再起不能寸前まで追い込んでは持ち上げて更に落とし、咲樹君にはまるで姉のように接し、シロ君には様々な言葉責、げふんげふん……虐めていたな」

「マ、マジですか!?」

「そして片那には無言で蹴りをいれた後、ヤスリで削るかのように的確に、そして逃げ出さないギリギリを見極めた毒を吐き続けていたな。沙耶君の事は知らないので後で自分で聞くように。私には……それはもう思い出すだけで果ててしまいそうな行為をしてくれたよ」


 言い終わり頬を赤く染めた真理亜を見た瞬間、精神的な何かがへし折れる音が聞こえた



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