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鬼? 自分ですが何か?

 咲樹と共に部室で待機中。真理亜と沙耶先輩はは校庭からスタート。片那は放送室だ


「(……それにしても鬼ごっこか。ルール知ってるけどやった事ないんだよな)」

「そういえばせっちゃんはどんな能力(ちから)を持ってるの?」

「握力なら左48㎏右47㎏だぞ。足なら長距離走で見せたな?」

「えっと、そうじゃなくて……あ、ごめん。言いたくないんだよね?」

「は?」


 いったい何を言ってるんだ?

 そう問おうとしたが、スピーカーから流れた叫び声(シャウト)を聞き、昼休みに聞こうと思い直す


『準備はいいかBoys&girls?』


 無駄に発音良いな


『まずは時間の確認だ。おっと12時まで後5分しかない。これじゃ遊べないから時間を少し戻しておこう。これから1時間、学校のルールを無視して好きに()ってもいい。いやむしろ()れ』


 何故だろう、字が違う気が……? というか時間を戻すって一体どうやって? ……時計の針を戻すのか?


『それじゃ始めよう、最高に狂った非現実に一名様ご招待だ!』


 ……一名? おかしいな、コレって全生徒参加の筈、なら一名という表現はおかしい、よな?

 あれ、なんだろう? 凄く嫌な予感がする。……き、きっとさっき片那に脅されたせいだ。うん、気にする必要ない筈だ!


『3…2…1…Start!』


 直後、スピーカーから爆発音と怒号と悲鳴と大爆笑が聞こえてきた。大爆笑が片那だとして、さっきの爆発音はいったい……?


「S-01F、護衛お願い」

[了解しました。それではMaidは一時中断、Valkyrieへ移行します。ついでに(Anti-)魔術(Magic)兵装 (Weapon)の一部の開放します]


 気が付けばシロの服装は変わっていた。機動性重視のキュラッサと呼ばれる鎧を纏い、手にはロングソードとペルタ──三日月型の楯──が……何処の戦場だ此処は?


「咲樹」

「うん?」

「何これ?」

「何って、喚装だけど……あ、どうしてS-01Fが使えるかって事? えへへ、実は動力に戦乙女の欠片(ヴァルキリーハート)湖の騎士の剣(アロンダイト)、あと取って置きの淫魔の血(ジャヒー・ブラッド)神炎の魂(ウリエル・ソウル)を使ってるんだ」


 何言ってるが分からない! 何だろう、咲樹から物凄く絶望的な何かを感じる!


[マイマザー、マスター・セツナ。あと5分程で敵が来ます。窓から逃げるか、それとも正面突破か……どっちにします?]

「せっちゃんはどうするの?」

「お、鬼ごっこらしく逃げよかな?」


 正確にはさっきから感じている嫌な予感から逃げ出したい。学校から逃げれば問題ないだろうし


[ではどのように?]

「そうだな……シロ、済まないがお前は正面突破を頼む。扉が開いた瞬斬りかかって牽制しろ。その間に咲樹とお、僕は窓から逃げる」


 何が起きているかは分からないが、少なくともまともな事ではないだろう。スピーカーから聞こえた爆発音、アレの原因が片那じゃないのなら。……そう考えると密室にいるのは危険すぎる


[Yes, sir.]


 その言葉を言い終わると即座に扉に飛び掛る。それが鬼が来たという事だと理解した瞬間


「逃げるぞ!」

「うん!」


 僕達は外に飛び出した


 ◆ ◆ ◆


 非日常をプレゼントしてやる……その言葉に嘘偽りは何一つなかった

 現実離れした存在は地響きの音と共にこちらに近付いてくる。その人の数30以上、一人の例外もなく摩訶不思議な能力(ちから)を駆使して個性部メンバー捕獲を目指しているようだ


「あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない……!」


 目は覚めている筈なのに悪夢を見ている。妄想が現実に浸食してきた

 学校のホウキは空を駆け、落書き達は踊り出す。手から炎なんてまだ可愛い方、酷い奴だと瞬間移動テレポートしてくる者までいる

 此処は本当に僕が知っている学校かと何度叫びそうになったか分から──あ、そこの3年生! 花壇踏むんじゃねぇよ! (無断で)植えたトマトが潰れたらどうしてくれるんだ!

 そう心の中で叫んでいると、不意に頭上が暗くなる。嫌な予感がしたので無理矢理真横に飛ぶと同時に空から人が落ちてきた。そしてその人を踏む潰すように跳んできたのは部長と副部長の凹凸コンビだ

 

「楽しんでるか如月?」

「楽しんでるように見えるのなら眼科に逝け!」

「ごめんなさい、あと30分なので耐えてください」

「分かりました沙耶先輩。……上が馬鹿だと大変ですね」

「まったくです」

「おい、お前等失礼にも程があるだろう」


 白い目を向けても楽しげに笑われるのでスルー。とりあえず現状の説明を求めた


「説明は?」

「オレ、オマエ、マルカジリ」

「把握」

「え、今ので分かったんですか!?」

「コイツの頭が可哀想なのが分かりました」

「あ、成る程」

「おい」


 片那(コレ)は無視、とりあえず沙耶先輩に聞くとしよう


「先輩、さっきから立ち止まってるのに誰も近寄って来ないのは何故ですか?」

「結界を張っているからですよ」


 結界、……ファンタジーで結構出てくるあの結界か? ほう、そうかそうか


「あ、そう言えば今日はタイムサービスで卵が安かったな。よし、早退するんで先生に連絡お願いします」

「現実逃避するな」

「うるせぇー! 放せー! 常識返せこの野郎!」


 常識が音を立てて崩れた。それはもう雪崩とか鉄砲水のような勢いで崩れた。それを崩したのが沙耶先輩なのがかなりショックだ。先輩だけは同じ一般人だと思っていたのに……!


「常識なんて20歳まで集めた偏見のコレクションに過ぎない」

「お前は何処の物理学者だ! あと20歳まで18歳だ!」

「意外に博識だな」

「んな事はいいから放せ!」

「だが断る」


 必死に暴れるがガッチリとホールドされて抜け出す事が出来ない。こうなったら……


「イタッ!? ちょ、ちょっと待て! 二の腕は止め、イタタタタタッ!? 分かった! 放すから止めろ!」

「最初からそうしろ!」


 また抱き付かれたら堪らないので沙耶先輩の背後に隠れながら威嚇する。次抱き付かれたら噛み千切るぞゴラァと気合を入れて睨むが、まったく効果が無いのが悔しい


「えっと、とりあえず2人共落ち着いて。そろそろ結界解かないとフェアじゃないし」

「む、そうか。なら今すぐ解いてくれ」

「その前に説明を──」

「それは後でしっかり説明します。それではダメですか?」

「──はぁ、分かりました」


 どうも沙耶先輩は苦手だ。断ると泣かれそうで怖い。本当に歳上なんだろうかと問いたいくらいだ


「それじゃあ解くね」


 パチンと響くスナップの音と共に雪崩れ込んでくる肌色の波。同時に降り注いでくる様々な物にため息を一つ。そんなにパシリ権が欲しいのかと頭を抱えたくなる


「片那、ちょっといいか?」

「なん、──だっ!?」


 足を掴んで思い切り転ばせる。突然の行為に呆気に取られる周りを無視して沙耶先輩の手を取り全力で逃げ出す。よし、足止め完了。お前の犠牲は無駄にはしないぞ


「い、意外に鬼だね刹那君」

「なんのことだかわかりません(棒)」

「は、ははは……」


 片那の犠牲があったお陰で簡単に30分逃げ切れました。ただ、校庭の中心で死体(死んでません)の山の中心で無表情で此方を見詰めてくる片那がちょっと怖かった




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