練習試合(2)
2セット目から交代で入った長身の彼は、いきなりレフトポジションでスタートだ。
「斉藤くん、彼いきなりレフトポジションだよ。」
「ほんとだ。いつものレフトが後ろからスタートしてる。」
レフトポジションは、通常はチームのエースがつとめるので、2セット目とは言え、エースポジションに入るって何故だ?
補欠達で、そんな話でざわめいていた。
試合開始のホイッスルが鳴り響く。
峯山ジュニアからのサーブはセオリー通りバックライトに打つ。
難なくサーブカットで返球されたボールをセッターが、これもセオリー通りにレフトオープンのトスを上げ、それを長身くんが高さのあるスパイクを打つ。
こちらのブロックには全く触れる事なくコートの奥に突き刺さる。
体育館内はザワザワとなり、俺たちも、
「今のみた?すげー高さだった。」
「みたみた、コースケのブロックも、全く歯が立たないよ。」
1点目は相手チームに入ったが、さすが峯山ジュニアだ。
それに引きずられる事なく、ゲームは一進一退の攻防が続く。
最終的には、峯山ジュニアの勝利で終わったが、長身くんのスパイクでやられたのは、かなりの本数だ。
試合から戻ってきたコースケは来年は大変だぞ。あの新顔くんは俺らと同じ5年生らしい、と話していた。
凄い人がいるなぁ、と漠然と思った。