表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

峯山ジュニア(5)

レシーブよりは、自信があった俺は気持ち的には、まだ余裕があった。


が、何となく違和感がある。


そうこうしているうちに、アタック練習が始まった。

すぐに自分の順番がくるのは同じだ。


コーチが両手で高く投げ上げた球を、いつものようにタイミングを計り、ジャンプするが、俺が打った球は見事にネットに当たってしまった。

おかしい。

タイミングも手の平に当たる感覚も問題ないのに。やっぱりネットが高いのか。

さっきから違和感があったのは、これだ!


明らかに高い。

ジュニアのネットは2mだが、これはどうみても2m15cmはある。


二度目もネットに引っ掛けてしまった。

コーチからは、何も言われない。


三度目に高さを考えて、打球の速度を抑えて入れに行くアタックを打った時に、コーチが口を開く。


「何をやってる?えっ?」


コーチが凄い形相で近付いてくる。


もう一度、コーチに質問された。


「何をやってる?」


「はい。すみません。」


「質問に答えろ!」


「はい。アタックです。」


「いまのがアタックか?」


「い、いえ。違います。」


「アタック出来ない奴は、出ていけ!今はアタック練習の時間だ。」


どうして良いか分からずに黙っていたら、コーチがボールを投げ付けてきて、

「邪魔だ、アタックやる気ない奴は出ていけ。」


「いえ。打ちます。」

俺は、咄嗟にそう答えた。


また、次の順番が回ってきたが、明らかに迷いがあった。


いつものように打つとネットにかかり、確実に入れる打ち方だと叱られる。


だが、次もその次もネットに引っ掛けてしまう。


が、特に怒声は飛んでこない。


何度か打ち込んでいたら、何とか尾の長いアタック(向こうのコートの奥ギリギリ)が入るか入らないかの所まで打ち込めるようになった。


しかし、他のアタッカー達は軽々とコート中央辺りに叩きつけている。


ようやくアタック練習が終わりかけの段階になり、中村監督が舞台から下りてきた。

しかし、監督はまたコート横の椅子に座り込みじっと眺めている。


コーチも2人ずつ、2組に分かれて、それぞれコートに入る。

コーチ1人に、6人がついてそれぞれコートに入る。


恐らく、監督の目の前のコートに入っている6人がスタメンのようだ。

明らかに体格が他とは異なる。

また、アタックもレシーブも堂々としているように見える。


俺は、コーチの1人に呼ばれた。

そこは、一番小さな子ばかりの集団だ。

何となく悔しかった。

ネットの高さが2mなら、もっとまともに打ち込めた筈なのに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ