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追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
05.英雄魔女のエピタラミオン

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05-03.無自覚英雄


 ネメちゃんの長い長いダンジョン談義を纏めてみた。



 一つ。密かにダンジョンを都市に被せることは可能。


 二つ。元の土地が消えるわけではない。


 三つ。元の土地への干渉は不可能。変化も生じない。


 四つ。元の土地がダンジョンに影響を与えることもない。


 五つ。管理者の存在が必要不可欠。半永久的に。


 六つ。神は直接コアにリソースを注ぎ込めない。


 とりあえず重要なのはこの六つだ。


 他にも色々言っていたけれど、今は置いておこう。



「要するに新しい子が必要なんだね」


 魔王やリリスみたいな子が。


 『フィリアス』と呼ばれる吸血鬼の上位種を生み出し、管理者に据える必要がある。その管理者にならば、ネメちゃんも力を与えることが出来るのだ。間接的だけど、『コア』に力を注ぐことも出来るようになる。そういう抜け道だ。



「これは神々に向けて仕込まれた制約だから破れないの」


 だそうだ。神様たちにも『社会』というものが存在しているらしい。ダンジョンを司る神様は、ネメちゃんのような守護神とは別にいるわけだ。


 逆に言えば、その神様だってずっとこの世界のダンジョンやネメちゃんを見張っているわけじゃない。いろんな世界のダンジョンを管理するために、ある程度は自動化せざるを得ないのだ。


 だからそこには必ず抜け道が存在する。ネメちゃんが敷いた善悪システムと同じだ。フィリアスを管理者代行に据えるというのも、その抜け道の内の一つだ。


 『フィリアス』とは、魔物でありながら神の力を受け入れることができる、極めて特殊な種族だ。


 リリスの場合は偶然誕生した『ダンジョンボス』だったけれど、『魔王』はネメちゃんがダンジョンコアを使って生み出した存在だ。


 今回はまた新たにもう一人生み出すことになる。



「私やリリスを介してってわけにもいかないんだね」


「うん。だって嫌でしょ。ずっとここで暮らすの」


「いっそそれでもいいんじゃない? 多少強引にでも支配しちゃえば? どのみち責任は取らなきゃなんだしさ」


「嫌」


 だそうです。



 ネメちゃんは意外と繊細だ。


『この件に関してはエコーが図太すぎるだけだと思うわ』


 そう? リリスも気になるの?


『彼らは理解した上で拒絶しているのだもの。無理をする必要は無いわ』


 けど問題もあるでしょ。女神様が魔王と手を組んだらそれはそれで嫉妬するんでしょ。


『仕方のないことよ。精々密かに進めましょう』


 そんな生き方いつまでも続かないと思うけど。


『……そうね。エコーの言う通りだわ』


 ならどうするの? ここに神の使徒となった魔物フィリアスを置いていくとして。その子はきっと皆から嫌われて生きていくんだよね。


 お母さんに捨てられたって恨むんじゃないかな。人間たちに手を貸して魔王国を滅ぼそうとするのかも。そうでなくたって、ただ会うためにあらゆる策を尽くすのかも。


 そんなことになるくらいならさ。やっぱり仲良くならないとダメなんじゃないかな。そのためには時間が必要なんじゃないかな。私とリリスがここの管理者になって皆を少しでも幸せにしてあげるのが一番なんじゃないかな。その最初のキッカケが償いだとしてもさ。いつかきっと私たちの気持ちも芽生えて伝わるんじゃないかなって。そう思うんだけど。


『素晴らしい考えね♪ エコーが本気なら付き合うわ♪』


 まあ、うん。本気かって言われると微妙なんだけどね。


『エコーは単純に「社会の中心」みたいな生き方を望んでいないものね』


 そうなんよ。さっすが相棒。よくわかってる。


『罪悪感というか、「やっちゃったな~」くらいに感じているのもちゃんと理解しているわ。やっぱり図太いわね』


 そうね。この期に及んで真剣味が足りていないことについては申し訳なく思うんだけれども。


『仕方ないわよ。今まで回りの者たちがエコーの献身に感謝を向けてこなかったんですもの。どころか皆「黒魔女」だなんて呼んで怖れるばっかり。人間たちにはわからないのよ。エコーがどれだけ人々のために尽くしてきたかだなんて』


 あれ? ちょっと怒ってる?


『当然よ。挙句この町では最初から嫌われ者なんだもの。ギルドの依頼通りに聖剣を届けただけなのに。それをあんな真っ暗闇に何日も閉じ込めて、一滴の水すら与えなかったのよ。少しくらい仕返ししたって罰は当たらないわ』


 そもそも罰を与えてくる筈の神様がゾッコンだもんね♪


『そう。だからあなたはもっと好きに生きていいの。薄情な人間たちなんて捨て置いたって構わない。ネメちゃんが怒るのだって当然よ。それでもネメちゃんは他ならぬエコーのために我慢してくれているの。エコーもちゃんと理解して感謝してあげなさい』


 うん。ありがとう。リリス。ネメちゃんだけじゃなくて、リリスも私以上に私のことを理解してくれているんだね。


『エコーは自分のことを知らなすぎよ。心を鈍化させてしまった理由もわかるけれど、そこだけはエコー自身にも努力して変えていってもらわないと不安だわ。いつまでも無自覚でいればより多くの問題を引き寄せてしまうもの。あなたは英雄になりたいわけではないでしょ』


 うん。そうだね。


『それなら自覚を持たないとね。罪を償うにせよ罰を与えるにせよ、自分のやりたいことを選びなさい。やらなければならないことを黙々とこなすのは美徳だけど、主張しなければ誰も感謝なんてしないわ。たとえ罪を償ったって誰もそうと認識しない。人々の印象は何も変わらない。全て徒労に終わってしまうの。結果、争いを避けたいというエコーの想いは実らない。それでは意味が無いでしょ。だから目的を持ちなさい。エコー自身の意思で選びなさい。私も皆も全力でエコーの夢を実現するわ。そのためには先ずなによりエコーのやりたいことを言葉にしてほしい。思い描いてほしい。そうすれば私たちが主張するから。エコーはこういう子だって皆に自慢してあげるから。或いは一緒になって逃げ出してあげるから。私たちだけが理解して尊重してあげるから。好きな道を選びなさい』


 わかった。約束するよ。考えてみるよ。


『よろしい♪』


 ありがとう。リリス。

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