〜Day6〜
〜Day6〜
昨日は最悪だった。あの人外の隣で異臭に耐えながら延々と話を聞かされ何度も気が狂いそうだった。
気持ちを切り替えよう。今日こそ僕の理想の相手と出逢える事を願う。
そして、早速チャンスが訪れた。なんと公園に一人の女子高生が入って行くではないか。いつもは公園内でチャンスを待つだけだったが、今日はそのチャンスを追いかける形になり慌てて女子高生を追いかける。
ズザザァッ
夢中で追いかける余り盛大に転んでしまった。これは別に運動不足などではない。いつもなら公園に着いたらすぐにトイレ内に大事な荷物を置くのだが、今日はその前に絶好のチャンスが訪れたせいで重い荷物を担いだまま走る事になりバランスを崩したのだ。荷物を置いてたら、このチャンスを逃してしまうから僕の判断は間違ってない。
「だ、大丈夫ですか?」
僕は運が良い。転んだ時の物音で女子高生が僕に気づき気遣ってくれた。
「大丈夫です。あはは」
「腕、擦り剥いてますよ」
ホントだ。僕は目の前の女子高生に夢中過ぎて自分の怪我には全然気づかなかった。
「ホントだ。痛ぅっ」
怪我を意識した途端に痛みが走る。でも、これって好都合かも。
「あの、洗った方がいいです!来て下さい!」
女子高生は僕を水飲み場へ連れて行く。
ジャーーーッ
「ちゃんと洗って下さい」
「あ、はい」
僕は言われるがままに洗う。
「こっちに座って下さい」
次はベンチに座るよう言われ、それも言われるがままに従う。女子高生も隣に座りバックからハンカチを取り出した。
「こんなのしかないですけど、しないよりはマシですから」
そう言うとハンカチを僕の擦り剥いた腕に巻き付ける。そういや、このベンチって昨日の人外と一緒に座った場所だよな。でも、今は女子高生に介抱されてる訳だ。人生悪い事ばかりじゃない。ちゃんと良い事もあるのだと実感する。
「どうしたんですか?あんな盛大に転ぶなんて。私、ビックリしましたよ」
「あはは、ここの公園暗くて怖かったので」
もちろん公園が暗くて怖いなんて嘘だ。この女子高生と会話を続けるため情けない男を演出してるに過ぎない。
「ふふふ♪たしかに一人で歩くのは少し怖いかもしれませんね」
「君は怖くないの?」
「うーん、私、医者を目指してて、それで解剖の見学とかも行った事あるんです。そのせいか、あまりこういう怖さは気にならないというか」
だから、落ち着いて介抱も出来たのか。よし、この女子高生の事をもっと知ろう。
「こんな時間に下校って事は部活とかですか?」
「いえ、友達とカラオケ行った帰りです」
カラオケか。実に女子高生らしい放課後だ。でも、もう少しちゃんと探ってみよう。
「てっきり体育会系の部活でもしてるのかと思ったよ」
「そんな風に見えます?でも、私、運動は全然ダメですよ。50メートル走なんて10秒超えちゃいますし、腕立て伏せは3回できればいいほうですし」
きた 来た キタ。か弱い女の子、僕の【趣味】にどストライクだ。いや待て、落ち着け。もう一つ聞いておかなくては……
「そういえば友達とカラオケに行った帰りって言ってたけど、友達はここを通るって知ってるの?」
「え?あ、はい。友達は勇気あるねとか怖くない?とか言ってました」
そうか、残念だ。
「ハンカチありがとう。血は止まってるので返します。僕はもう行きます」
「は、はい」
突然、会話が終わり女子高生は困惑してるが、僕にはどうでもいい事だ。
惜しかったけど今日はやめよう。
さぁ、クライマックスが近づいてます!残すはDay7と+αです。最後までお付き合いください! それでは