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無声凱歌  作者: 十田 實
◆ 第5章 ◆ 童歌が聞こえるか
82/87

‐ 第81話 ‐ 集結

<R15> 15歳未満の方は移動してください。

この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

 間一髪で床に手が届き、下に落ちずに済んだ。塔にこんな仕掛けがあったとは、教祖なだけあって狡いジジィだ。体は全て穴に投げ出されていて、片手の力だけで落ちずに留まっている状態だ。


〈優士早く上がれ! 落ちたらまずい! この下はやばい!〉


「煩せぇ……! 上がれるもんなら上がってるわ! 下が何なんだよ! 暗くて見えねぇ」


「では見せてあげますよ」


 顔を上げると直ぐそこに教祖が立っていた。教祖は首にぶら下げた懐中時計で、何かのスイッチを押す。


 足先から炎の燃え盛る轟音と、熱を感じた。


「……なんだこれは……!」


 暗闇だった穴の底が、炎の明るさによって照らされた。炎の隙間に、黒い死体の山が見える。

 ――地獄だ。落ちたくない。恐い……! 


 体を支える指は震え、どんどん下がっていってしまう。


「年に二回と、夏場の死体が腐りやすい頃、臭いが上がってきますので、こうやって燃やすんです……。あぁ、ところで君たちは、そうやって会話をするんだね。傍から見れば君の独り言だが、君には聞こえるんだろう? ()()()()()()()()()()()()……」


 教祖は俺の頭を片手で掴んだ。「死ね」と、強い意思を込めているのに、何故か教祖の手は朽ちていかない。


「タラス! どうしたらいい!」


 返事がない。さっきまで起きていたのに。眠ったっていうのか? こんな時に!


「おいタラス! 寝るな! 返事しろ!」


 必死に呼び掛けるが何も反応がない。どうしたんだタラス……!


「お友達は寝てしまったっていうのかい? 君がこんなに大変なのに? 喧嘩をするくらいなら、一人の方がいいね……」


「あああ痛ぇぇぇ!」


 俺の頭を握る教祖の手に力が加わる。割れてしまいそうに痛い。ジジィなのに、何故こんな力があるんだ。俺の力も通用しない。炎の穴に落ちるか、頭を割られるかの二択だ。


 どちらも死ぬ。絶対に嫌だ。もう二度と死にたくない……!


「俺はもう……死にたくねぇぇぇー!」



 絶叫する中、ふっと、頭の痛みから解放された。


 俺の知らない金髪の女が突然現れて、横から教祖を思い切り殴り飛ばした。

 思わず力が抜けそうになるが、知らない男が俺の腕を掴み、軽々と穴から引き上げた。

 女と男は同じ、特殊なグローブを片手に着けていた。

 ……助かった。本気で死ぬかと思った。


「お前! 優士だな?」


 俺を引き上げた男がそう云った。誰だ、このおっさん。俺は知らないぞ。

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