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無声凱歌  作者: 十田 實
◆ 第5章 ◆ 童歌が聞こえるか
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‐ 第78話 ‐ 破壊の神

<R15> 15歳未満の方は移動してください。

この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

 ボスがてっぺんにいるとしたら、そこに辿り着くまでは大勢の雑魚がいる。


 見るからに、「研究しかしていません」「喧嘩なんて一度もしたことがありません」という奴らが奇声を上げて襲い掛かってきたり、引き金を引く覚悟もない奴が、ぶるぶると震えながら一丁前に銃を向けてきたり、さらには俺よりでかいロボットが一斉に襲い掛かってくる。


 三階が他の建物と繋がっているからか、壊しても通路から次々にやってくる。俺が触れるだけで朽ちていくのだから、勝ち目なんてないのに。逃げないのは教祖の命令だろうか?

 流石に疲れる。窓の外を見ると、もう随分と高いところまで来ていた。


「ハハッ。もう直ぐじゃん♪」


 少し元気が出て、俺はもう一度階段を二段飛ばしで駆け上がった。

 俺の独り言にタラスの反応はない。こんな時に眠っているなんてことはないと思うが、タラスも疲れているのだろうか。




「……なんだ。ここ」


 階段を上がっても、そこにはあるはずの扉がない。そのまま展望台へ続くようになっている。

 ……そうか。てっぺんの一つ下に、きっと隠れているに違いない。


 俺は両手を壁に当てて破壊し、現れた部屋に入った。


 そこは今までの階とは明らかに違い、人の住む部屋になっていた。殺風景だが、屏風が飾られていて、ベッドまである。

 取り敢えず、前にある趣味の悪い屏風を蹴り倒してやった。一目見て何だか気に食わなかったのだ。

 

 屏風が倒れると、離れたところに着物を着た男が立っていた。蛙の頭をしている。屏風で丁度隠れていたようだ。


 気に食わないと蹴り倒した屏風にも蛙の絵が描かれていて、目の前の男も蛙のマスクを被っている。ふざけている。それだけで十分腹が立つ。


「お前がここの教祖? その気持ち悪ぃマスク取れよ」


「優士君だったか……。誰がここに一番に来てくれるか、考えていたんだよ」


 馴れ馴れしい蛙男は、素直にマスクを外した。


「何だよジジィじゃねぇか。とっとと殺してやる」


 触れてやろうと、蛙男に近付く。


〈…………何か、聞こえる〉


「あ? 何だ?」


 タラスが何か云ったが、俺は歩みを止めず教祖に近付く。

 あと三メートル程のところで、蛙男はいきなり俺に向かって、マスクを下から投げつけた。

 手に取った瞬間、マスクは一瞬にして塵になる。


 マスクが消えると、蛙男は何故か笑っていた。

 その笑顔に虫唾が走り、一気に蛙男の顔に手を伸ばす。


 だが、突然足が浮いた。


 下を見ると、円状の大きな穴が空いている。

 穴は何処までも下へと続いていた。

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