‐ 第61話 ‐ 安らかでない死
<R15> 15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。
三枝木と沼尻を殺しても、あまりスカッとするものではなかった。生きるべき人間が殺されて、死ぬべき人間を今殺してきても、釣り合いが合わないとうか、俺の中の怒りは収まっていなかった。
簡単に殺し過ぎたのか? そういう問題でもない気がする。
多分、もっと、根源から殺さないといけない。
俺たちならできるだろう。そのための力なのかもしれない。
信号が赤になり、その隙に雨に濡れた手で頬を擦った。ガラスで切った時の血がこびり付いて気持ち悪かったのだ。
《気をつけろよ。どうやら対象に触れる前にその物を壊す意思がないと、触れても朽ちていかないみたいだ》
《わかってる。こんな傷屁でもねぇや……。ん? あれ見てみろよタラス》
横断歩道で立ち止るジジィが目に入った。
《……どうする》
タラスに訊ねた。この決定権はタラスにしかない。
《殺ろう》
案外、タラスの返事は早かった。
左にずれ、アクセルを回す。
ジジィは簡単に吹っ飛んだ。後は知ったことじゃない。まだ殺さなければいけない奴がいる。
《なぁそういえば、あの女は殺さなくていいのか?》
タラスの記憶にあった妊婦のことを聞いた。タラスにとっての根源は、この女な気がする。――俺なら真っ先に……。
《いいんだあいつらは。もう、どうでも……》
……嗚呼、そうか。そうだった。
俺は丘の景色から見た病院を思い出した。
やっぱりこいつは優しい奴だ。――死んでなど、いけない奴だ。
《そうか……。なら、あの医者のババァたち殺しに行くか。あぁでもその前に、腹減ったな。なんか食いに行こう》
タラスはまた、眠りについていた。




