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無声凱歌  作者: 十田 實
◆ 第4章 ◆ 想イ人
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‐ 第61話 ‐ 安らかでない死

<R15> 15歳未満の方は移動してください。

この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

 三枝木と沼尻を殺しても、あまりスカッとするものではなかった。生きるべき人間が殺されて、死ぬべき人間を今殺してきても、釣り合いが合わないとうか、俺の中の怒りは収まっていなかった。


 簡単に殺し過ぎたのか? そういう問題でもない気がする。

 多分、もっと、根源から殺さないといけない。

 俺たちならできるだろう。そのための力なのかもしれない。


 信号が赤になり、その隙に雨に濡れた手で頬を擦った。ガラスで切った時の血がこびり付いて気持ち悪かったのだ。


《気をつけろよ。どうやら対象に触れる前にその物を壊す意思がないと、触れても朽ちていかないみたいだ》


《わかってる。こんな傷屁でもねぇや……。ん? あれ見てみろよタラス》


 横断歩道で立ち止るジジィが目に入った。


《……どうする》


 タラスに訊ねた。この決定権はタラスにしかない。


()ろう》


 案外、タラスの返事は早かった。


 左にずれ、アクセルを回す。

 ジジィは簡単に吹っ飛んだ。後は知ったことじゃない。まだ殺さなければいけない奴がいる。


《なぁそういえば、あの女は殺さなくていいのか?》


 タラスの記憶にあった妊婦のことを聞いた。タラスにとっての根源は、この女な気がする。――俺なら真っ先に……。


《いいんだあいつ()は。もう、どうでも……》


 ……嗚呼、そうか。そうだった。

 俺は丘の景色から見た病院を思い出した。

 やっぱりこいつは優しい奴だ。――死んでなど、いけない奴だ。


《そうか……。なら、あの医者のババァたち殺しに行くか。あぁでもその前に、腹減ったな。なんか食いに行こう》


 タラスはまた、眠りについていた。

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