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無声凱歌  作者: 十田 實
◆ 第3章 ◆ 愛と破滅
41/87

‐ 第41話 ‐ 混沌

<R15> 15歳未満の方は移動してください。

この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。


[]内は英語を表しています。

 ヘリを銃で撃ってみたが、全く歯が立たなかった。無駄撃ちで弾まで切れてしまった。

 凱はヘリの中へと連れ去られ、美生はヘリの足になんとか捕まっている状態で、依然として状況は最悪だった。


「どうするケイト!」


 俺では手に負えずケイトに声を掛けるものの、ケイトは怪我を負って満身創痍だ。左足は所々抉れており、左手は穴が開いて血だらけだ。

 ケイトは上空を飛ぶヘリを睨みつけている。


「あと……少しで、武器が来ます」


「え? 武器が来る? 誰が? どゆこと?」


 困惑する俺に対し、ケイトは何も云わなかった。今は説明していられないという感じだ。

 ヘリは何故か移動せず、上空に留まっていた。ケイトの云う「武器が来る」とは、「応援が来る」という意味だろうか。仲間の傭兵が来てくれるというのなら、今が好都合だ。


 視界の端から、瓦礫の山が独りでに蠢くのが見えた。

 こんな時に心霊現象かと怖気づくと、瓦礫を押し上げて、見覚えのある黒い箱型ロボットが現れた。RMSに来た日に見たものより一回りサイズが大きく、大鳳教のヘリと似た丈夫な足が付いていた。箱は瓦礫に埋まっていたにも関わらず損傷が一切なく、光沢さえも健在だった。相当頑丈なロボットのようだ。


 箱は、ケイトに向かって勢いよく走ってきた。人間のような動きで瓦礫の上を駆けたり飛んだり、時に滑ってみせるので、高性能なのは理解できるが凄まじく不気味だった。


 箱はケイトの元へ来ると、犬が「伏せ」をするように足を畳んだ。間を置いて、箱の中が開く。カフェで拝借した機関銃と似た、武器らしきものがぞろりと見えたが、ケイトは迷わず一番大きい武器を右手で取り、肩に乗せた。


 体を上に逸らし、狙いを定めようとしている。……まさか、と思った。

 ケイトの放ったロケットランチャーは、俺がケイトの邪魔をしたため間一髪ヘリの大部分を外れた。


「おい! 美生と凱に当ったらどうすんだ!」


 そう云うと、頬を思いきり拳で殴られた。手負いなのに強烈な威力だった。頬を抑え暫く声も出せない。その間にケイトは二発目の準備をした。


「お二人は死にませんので。ですがなるべくローターの部分を狙うようにします」


 ケイトが傭兵だからだろうか。わかっていても冷たい人間に見えた。

 左手を負傷しているせいで、ケイトはうまく構えられないようだった。その足では踏ん張ることもできないのだろう。


 一発目で攻撃を受けていることに気づいたヘリは、こちらに背を向ける形で移動し始めた。咄嗟にケイトは二発目を放つが、ローターからは大きく外れた。


[畜生!]


 ケイトから聞く初めての英語だった。汚い言葉だった。


 一発目が胴体を掠めたためか、ヘリのドア部分が剥がれ吹き飛んだ。美生がそこに手をかけ攀じ登ろうとする。


 これなら、美生なら、凱を助けられるかもしれない。僅かな希望が見え、俺はケイトにロケットランチャーを下ろさせた。

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