表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/34

第23話:カイナ再び

「……これは」

「……ヤベェなぁ」

「……美味しいねえ!」


 太一、勇人、公太がそれぞれの料理を堪能して声をあげると、たまたま近くを通り過ぎていたアキが笑みを浮かべた。


「ありがとうございます! お母さんも喜びます!」


 そう口にしてそのまま仕事に戻っていくと、太一は料理を見つめながら感動してしまう。


「へぇ、これってミアさんが作ってるんだ」

「ミアさん?」

「女将さんの名前だよ。さっき聞いておいたんだ」

「宿の受付もしながら、料理も作ってるなんて、すごいねえ!」

「……お前なすごいばっかりだな、公太」

「だって、すごいんだもの! 美味しいんだもの!」


 何より美味しいものに目がない公太は、ステーキを頬張りながら何度も頷いている。

 その姿に再び空腹を刺激された太一と勇人も料理を口に運び、しばらくはただ黙って料理の味を堪能していく。


「――あれ? タイチじゃないの!」


 そこへ声が掛かったことで三人が顔を上げると、声の主を見つけて太一が口を開いた。


「カイナさん! さっきぶりです!」

「本当だねー! その子たちが一緒に保護された迷い人なの?」

「……太一、誰?」


 料理を飲み込んでから勇人が問い掛けると、太一は笑顔で答える。


「さっき話をしていた先輩冒険者のカイナさん。リーザさんのお店でいろいろと話を聞いたんだ」

「マジかよ! めっちゃリアルタイムな話題じゃんか!」

「……んぐっ! は、初めまして! 榊公太っていいます!」

「俺は鈴木勇人っす!」

「あはは! みんな元気だねー! 私はカイナよ、よろしくね! ねえ、タイチ。相席してもいいかしら?」

「もちろんです! 二人もいいよな?」


 カイナが相席を申し出ると、勇人も公太も何度も頷き、太一が席を進める。

 アキが注文を取りに来ると、カイナ慣れた様子で料理を頼んでいた。


「……カイナさんは土竜亭の常連なんですか?」

「ここの料理は安いし美味しいからね! 私だけじゃなく、ほとんどの冒険者がお世話になっていると思うわよ!」

「やっぱり人気なんだな、このお店」

「これだけ美味しかったら当然だよね!」


 勇人が満席になったフロアを見渡すと、公太がやや興奮した感じで納得だと口にする。


「もしかしてタイチたちはここに泊まっているの?」

「はい。依頼完了の報告でギルドに戻ったら、クレアさんが紹介状を書いてくれたんです」

「へぇー! ってことは、三人とも相当期待されているみたいだね!」

「「「……期待ですか?」」」

「あれ、知らないの?」


 何をと言わんばかりに太一たちは大きく頷いた。


「紹介状って、そう簡単に発行されるものじゃないのよ?」

「そうなんですか?」

「でも、クレアさんはささっと書いてくれたよな?」

「う、うん」

「それだけクレアさんに認められているってことじゃないのよ! でもまあ、迷い人だったら分からないのも当然か」


 カイナはそう口にしたものの、太一たちからすればやはりピンとこない。

 何せまだ一件しか依頼をこなしていないわけで、何を見て期待してもらったのかが分からなかったのだ。


「まあ、分からないことがあったら私でもいいし、なんならミアさんに聞いてもいいと思うわよ」

「どうしてミアさんの名前が出てくるんですか?」

「あぁー、そこも聞いていないのねー。そうなると――」

「はいよ! お待ちどうさん!」


 カイナが何かを言いかけたタイミングで彼女が注文した料理が運ばれてきた。

 しかし、今回はアキではなくミアが運んできてくれた。


「調子はどうだい、カイナ!」

「あぁー……ば、バッチリ順調ですよ! あは、あははー」


 何やら居づらそうにしているなと思った太一だったが、それ以上に伝えなければならないことがあると口を開く。


「ミアさん! この料理、とっても美味しいです!」

「本当だよな! めっちゃ美味しいっす!」

「僕、おかわりしたいです!」

「あはは! そうかい? それなら作った甲斐があるってもんだよ! コウタはおかわりだね、ちょっと待ってな! カイナもゆっくりしておいきよ!」

「……は、はーい」


 ミアが再び台所へ姿を消したのを見て、何故かカイナは大きく息を吐き出した。


「ぷふぅー! ……ごめん、三人とも、さっきのは忘れてくれるかな?」

「「「……? 分かりました」」」


 三人は首をコテンと倒しながらそう口にすると、再び料理を口に運んでいく。

 カイナも気分を変えようと運ばれてきた料理を口に運び、満足そうに何度も頷いていた。

 それから公太がおかわりで注文したステーキが運ばれてくると、太一がリーザのお店で聞いた話や、勇人や公太がカイナに質問をして答えていくなど、賑やかな時間が流れていった。

【皆様へのお願い】


「面白そう」

「続きが気になる」

「更新応援しています」


少しでもそう思っていただけましたら、ブックマーク登録や、下にある「☆☆☆☆☆」にて評価していただけると大変励みになります!

「★★★★★」の星五つだと、さらに励みになります!


評価してもらえることで、モチベが最高に上がるので、ぜひともよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ