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オカマの異世界世直し旅  作者: えけある
4/6

オカマの休息。見知らぬ暗躍

3連休が終わりました。多分次はGWです。

あれからオカマの様子はというと――


 「あ゛ー……気持ちいいわぁ」


 上下の下着姿――一応だが、男物を着用している――になり、川で水浴びをしている。この光景が漫画であるならば、完全なるお目汚しである。大変申し訳ない。


 先ほどは、緑色の尿が自分から出たことで、少なからずのショックを受けていたが、体の気持ち悪さを取る方が勝った。深くは考えすぎないのが彼女の良さである。


 

 川を見つけた彼女は一度バーまで戻ると、汚れたドレスや、空のペットボトルなどを持ってきて、洗濯や水の補給など、色々な用を足した。その後の水浴びなのである。彼女曰く、


 「身体の洗浄は、心の洗浄なのよ」


 とのことである。身体が汚ければ心も汚くなっていく。体と心は繋がっている、ということである。と彼女は言う。


 散ざっぱら時間を使い、水浴びをした。メイクをしっかりと落とし、香水をつけると、彼女はペットボトルと洗濯用ネットで簡単な罠を作って魚を捕まえた。ここ辺りでは見たことのない魚だが、川魚は毒性の強い魚は稀なため、まぁイケるだろう。とミヤビは判断した。その間に、乾いた枝を拾って集め、焚き木を始めた。


 魚の処理は――ここに意中の男性がいれば変わったのかもしれないが――無言で手際よく終わってしまう。食卓塩をすり込んで、比較的まっすぐな枝で刺したら焼くのみ。


 焼いている間は、近くのスモモのような木の実を採る。キノコや野草もちらほらとあったが、木の実や魚よりも見極めが難しいため、断念。


 「はぁー、まるでキャンプね」


 パチパチという小さな破裂音とともに、魚の焼けるいい匂いが辺りに立ち込める。ヤケドしないように串を持ち、魚を確認する。……良い焼け具合だ。


 「あらっ、美味しいじゃない」


 魚の知識は多くないミヤビだったため、見知らぬ魚は不安だったが、味は淡白で食べやすかった。木の実もさっぱりとしていて、リンゴの味によく似た木の実で美味しかった。1個は食べてしまい、残りの数個は明日の朝食にしようと決める。


 時折、風のせいか茂みが揺れたが、動物も何も出てきやしなかったので、本当に風のせいだったのだろう。


 空は夕方に差し掛かろうとしていた。ほんの少し傾いた太陽。涼しげな風がミヤビの頬を撫でる。


 「そろそろ戻らなくちゃね」


 ライフラインが断たれている今、電気がない状態では夜は真っ暗になってしまう。テキパキと片付けを始める。


 今日は川を見つけることが出来て本当に良かった。これで水と食料はあまり気にする必要がなくなった。日持ちする保存食や綺麗なミネラルウォーターは遠征で使用することが出来る。3人を早く見つけるためにも、探索の土台はしっかりとしたい。明日からは本腰を入れて探索を行おうと決意する。


 そして彼女は、暗くなる前に全てを片付けると、バーへと戻っていった。


***


 商売道具には金をかけておいた方がいい。と、男は先輩のありがたい言葉を思い出していた。仕方ないことである。男は今、格安の商売道具を買ったことでいらぬ手間を取っているからだ。


 森の中、草木をわけながら苦虫を噛み潰したような顔で舌打ちをする。丈の短い服では、草や枝が擦れ、露出した腕や足に傷を付けていく。そのわずらわしさが、彼のイライラに拍車をかける。


 男の服装は現代のそれではなかった。ミヤビが身に着けているような、伸縮性があり、蒸れることのない化学繊維とは違う。リネンや麻などの自然のもので作られた簡素なものだった。その姿が、この『世界』の文明の低さを物語っていた。


 「どこ行きやがったんだ……あいつ……手間を取らせる」


 文句をたらたらとつぶやきながら歩く、この痩せこけた男の名は、フォカラといった。ちぎれた紐と、丈の合わないみすぼらしい服。カバンの類は持たず、どう見ても食料や鉈などは持っていない。森に入るには装備の少なさが見て取れた。フォカラが持っているのは、使い古した小さい火打石。腰にぶら下げた臭い袋と、彼が持つには不釣り合いに見える程、精巧に出来たガラス細工の合わせ輪である。そしてそのガラス細工こそが彼の、唯一の商売道具であった。


 臭い袋は魔物避けである。魔物が出るこの森で、これを付けずに入るのは自殺行為である。森を通り抜ける行商人も、獣を狩るためのハンターも大小効果様々な臭い袋を使用する。そして臭い袋はとても安価であり、作り方も簡単であった。学の無さそうな顔をした彼でも、その作成方法を知っている程である。が、それはどうでもよい。


 問題はこのガラスの合わせ輪である。この合わせ輪、確かにガラスを加工しているが、その部分は6~7割程度だろう。ガラスは蛍光灯のように筒状に加工されている。とても細かい彫りが成されており、その精巧さには目を見張るものがある。が、接合部やヒンジ、互いが合わさる設置面は無骨な金属で出来ている。そしてその設置面には凹凸が作られていた。設置面が合わさると、凹凸が合わさり、凸部分が凹部分を突き抜け露出する。出てきた凸には何かが通る穴が開いている。


 見る人が見ればすぐにわかる。手枷だ。その凸の穴に錠を掛けるのだ。


 「奴は今、魔法は使えない……そこを俺の魔法で……」


 魔法というものは、一人一人が一つのみ持っている個性能力だ。


 その能力は千差万別。空気中のマナを加熱させて発火させるもの、体内のマナを循環させ、一時的に力を強めるもの。触れた相手のマナを循環させ、代謝を良くして傷を治すものなど様々である。


 フォカラは、体内のマナを循環させた。――が、それは彼の中で霧散してしまう。その虚脱感を感じながら手に持っている、手枷を眺めた。


 「……ふふふ」


 ガラスの内部が薄くだが青く発光していた。その光は手枷に触れているフォカラのマナに反応するかのようである。彼は手枷を力強く握りしめる。が、ガラスが割れる様子はない。手持ちの金では2つしか買えなかった彼にとっては高い高い手枷。一つはもう獲物に着けてある。


 「俺も、これで金持ちの一歩を踏み出すんだ……女を売って金を貰うんだ……」


 ブツブツと喋るのは彼の癖なのか。枝で傷ついた足が痛もうとも、進んでいく。


 ようやく、若干開けた所に出た。大きな木を囲うように、背の高かった枝葉が折られていて、茂みが踏み固められている。ここで少し休めそうだ。木に背中を預けて座ろうとした時だ。森では見ることない、鮮やかな青い蛍光色が目に入った。


 「なんだこれ……なんだこの素材」


 それは大きな木を1周するかのように巻きつけてあり、風で、シャラシャラと聞いたことのない音を出すツタだ。


 そのツタは、この世界には存在しないビニール製であった。


もし誤字があれば言ってください。直します。

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