第一章〜〜出会い〜〜
僕はある頃から『運命』と言うものは、人生の一部に過ぎないと思うようになった。
なぜなら、『運命』とは嬉しく・美しくもあり・寂しいものだと思ったからだ。
貴方は、『運命』と言うものを信じることが出来ますか?
いや……実際には『運命』なんか、物語の世界でしかないと思っていた。
しかし、大事な人との出会いと別れという出来事があることをあの頃の僕らは、想像すらしていなかった。
ある日、彼は不思議な夢を見ていた。
彼は、一人知らない所に腰掛けていた。後ろの方から声がした。
声のする方を向くと知らない女名の子が立っていた。彼女は、
彼に手を差し伸べた。
彼は女の子の手を掴もうとした時だった「春人起きて! 」と、どこからか声が聞こえ、その声と同時に夢めから覚めた春人は、ゆっくりと体を起こした。
「ねぇ、春人……遅刻するよ! 」と言われ(何時だ? )とふと時計に目をやるともう七時半を指していた。春人は飛び起きた。
朝の支度を五分で済ませ、パンを口に咥え紙パックのミルクはカバンに中に入れ自転車に跨り、学校へと急いだ。
「冬人……何でもっと早く起こしてくれなかったんだよ」と怒っているのは高校二年『神木春人』制服は普通の高校生、なのだが髪色だけが違っていた…
黒髪に銀のメッシュが入っている。
不良とかでは無かったが、学校では少し噂になっていた。
「僕は、起こした? 春人が中々起きなかったんだろ? 」と春人に怒っているのは、『神木冬人』
冬人は、春人の中に居るもう一人の自分で兄のような存在だ。
よく喧嘩をするが意外と仲良しだ。
「そう言わずに、もっとしっかりおこしてよ! 」と春人が言うと冬人は起きれたように「一時間前から起こしてたんだよ? なのに起きない春人が悪い! 」と言われ春人は泣きそうな声で「そんなぁ……」と言った。
そんな会話をしている時だった、横道から人が出てきたが春人は気付いていない。
冬人が気づいた「春人! 前、人だよ人! 」と春人は急いでブレーキを掛けた時だった。
バランスを崩し、勢いよく転倒した。
「大丈夫? 春人? 」と冬人が聞くと「いてぇぇ」と言い体を起こした。
冬人は「しっかり前向いて無いから……」と春人に言った。春人は少し怒り気味で「うるさいな! 分かってるよ」と言った。
彼女は、春人の転んだ姿を見て「大丈夫ですか? 」と後ろから声をかけた。
彼女は、不安そうな顔でこちらを見ていた。
「だいじょ……」と言いかけた時春人は彼女を見て(この子取ったで……)と見とれていると「あっ! 弓の中で! 」と思わず春人が口にすると「えっ? 何処かで? 」と言われ「あっ! いや、何でも! 」と言い立ち上がり自転車に跨り学校へと急いだ。
「彼女可愛かった」と独り言を言っていると「春人、遅刻する」と冬人に言わた。
その頃、(さっきの人、見た目怖いけど中身は優しかったな)と思っていた。
彼女も学校へ急ごうとした時だった。春人が転んでいた所にふと目をやると何かが落ちていた。
それは、学校のIDカードだった。そこには『花矢間学園二年一組神木春人』と書いてあった。
(私と叔父クラスか、届けなきゃ……また話せるかな? )と思っていた。
しかし、この出会いがきっかけで二人の『運命』を大きく揺らす。
この頃の僕らは、まだ知らなかった。
如何でしたか?
よくある学園ドラマの始まりに似ていますが。
この後の彼らの物語が複雑かつ切なくなっていきます。
どうぞ、全話見て見てください。