第5話 冒険者になれた日
大変長らくお待たせしました!
ようやく、ようやく書き終えることが出来ました!
投稿間隔が開きすぎて、僕自身前話の内容を忘れているレベルでしたが、なんとか頑張りました。
「と、言うわけで僕は今平原に来ています!」
1人ではしゃいでみたが、隣に誰もいないどころか、平原にさえ誰もいないので、かなり虚しい。
「·····はぁ…。とりあえず、ゴブリン探すか。確か、あそこの森の中にいるんだっけ?」
この世界の地理について少し説明しておこうと思う。
まず、この世界はふたつの大陸に別れている。北大陸と南大陸だ。
北大陸の東側に、ルーブルス王国。北側に、シナンテ王国、西側にヤマーサ和国、南側にナルナ帝国、中央に、アダナル神聖国。他にも小国はあるが、大きい国はこの5つとなる。
南大陸は魔人領となっており、人族が踏み入ったことは無いと言う。
今回の依頼で向かうのは、ルーブルス王国の北西にある、【ルーブルス平原】の先の、シナンテ王国との国境付近にある、【ガサゴの森】となっている。
この森には、ゴブリン系、ウルフ系の比較的弱い部類の魔物が湧くらしい。
ちなみに、平原にはスライムしか湧かない。
「森、遠いな。まぁのんびり歩きますかね。幸い、スライムもいないし。これなら襲われる心配もないからね。」
「おーい!兄ちゃん!」
「·····ん?」
「そこの若い兄ちゃんだよ!」
声のする方を振り向くと、髭を生やしたスキンヘッドのいかにも盗ぞ·····冒険者っていうような見た目をした男にに声をかけられていた。
「どうかしましたか?」
「いやな、兄ちゃん。お前、入口から歩いてきてんだろ?」
スキンヘッドの冒険者はそんなことを聞いてきた。
当たり前のことをなぜ聞いてくるのか疑問に思いながら、質問に答える。
「えぇ、歩いてガサゴの森まで向かう途中です。」
「大変だろ?ここら辺にゃスライムしかいねぇし。馬車に乗った方が楽だろう。」
「·····え?」
今この人馬車って言ったよね。馬車があるなんて聞いてないんだけど。
「馬車、あるんですか?」
「なんだお前さん。知らなかったのか?ギルドに言えば馬車を貸し出してくれるぜ?」
「そ、そうだったんですか……。」
少し落ち込むが、早い段階で教えて貰えたとポジティブに考え、前を向く。
「わざわざありがとうございます!今からギルドに借りに行きます!」
「いや、いいんだ。それよりも、今から戻るのも手間だし、ここで知り合ったのも何かの縁だ。俺の馬車に乗ってけ。」
「え?いいんですか?」
スキンヘッドさんの一言に困惑してしまう。
「あぁ、俺もガサゴの森に行くからな。ちょうどいいだろ。」
「ありがとうございます!」
「同じ冒険者どうし、助け合わねぇとな!」
この人、めっちゃいい人やん。最初見た時に、盗賊とか思ってしまってごめんなさい。
「そうだ、まだ名前を言ってなかったな、俺はカイルってんだ。よろしくな!」
「あ、シアです!よろしくお願いします!」
「それとよ、敬語は使わねぇほうがいい。他の冒険者に舐められる。あと、パーティを組む時、敬語を使ってると自分のパーティの親玉がバレちまうからな。」
「なるほど·····わかり·····わかった。」
その後もカイルさんに冒険者のことについて教えて貰いながら、ガサゴの森へ馬を走らせた。
カイルさん曰く、冒険者に上下関係は基本無いらしい。ランク制度はあるが、あくまでも強さを示すものなので、ランクが上の相手に指示されても、拒否してもいいらしい。ただ、緊急依頼時はランクが上の人の指示に従うようだ。
ちなみに、ランクはE〜SSSまであるらしい。
E〜Cまでが、下位冒険者、B〜SSSが上位冒険者と言う認識だ。
とは言っても、ほとんどの冒険者がCか、Bランクらしい。Aランク冒険者はほとんど居ない。Sランクの冒険者はこの世界に5人、それそれ以上は居ないらしい。
カイルさんに教えられたことを頭の中でまとめていると、馬車の揺れが止まった。どうやら、ガサゴの森に到着したようだ。
「シア坊、着いたぜ。」
カイルさんから呼ばれたので扉を開け、外を見てみると、高さが10m以上はありそうな木が目に入る。
「うわぁ。たっか。」
驚きすぎて語彙力のない感想を言ってしまった。
「ははは、ここに来たやつは皆そうやって言うんだ。何だこの木、高すぎだろってな。」
「そりゃあそう言いますよ。外見たらいきなり高い木があるんですもん。」
おっと。木に圧倒されてる場合じゃない。そろそろ討伐していかないと宿代を稼げなくなる。
「カイルさん、本当にありがとうございました!」
「おう!帰りはそこの建物で馬車を借りれるからな!あと、例え弱い魔物だろうと、絶対に油断はするなよ。」
カイルさんが、しっかりと注意をしてくれる。本当にいい人だなぁ。
「はい!それじゃ、行ってきます!」
そう言って僕は森の中へ入る。
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「さて、ゴブリンはどこかなぁ……。」
森に入った僕は、草が踏まれて出来た道をまっすぐ進んでいた。
──ガサガサッ!
森を歩いて10分程した所で目の前の草が不自然に揺れた。
「おわっ!ようやく魔物のお出ましかな?」
──ガサガサッ!ガサガサッ!
「キュイ〜」
「·····へ?」
草から出てきたのは白い小さなドラゴンだった。しかも、なぜか攻撃を仕掛けてくる気配がない。
「キュ〜、キュ〜ウ」
「いやいやいや。なんでこの森にドラゴンなんているんだ?この森ってゴブリン系とウルフ系しか居ないはずだろ?」
目の前の白いドラゴンは僕のことを見つめている。めっちゃかわいい。お持ち帰りしてなでたい。
「いやダメだ、落ち着け僕。とりあえずこの場を離れよう。そうしよう。」
そのまま僕は森の奥へ進む。
ドラゴンは悲しそうな、寂しそうな表情をしていたが、気にしないことにする。
「はぁ。心が痛いなぁ。次会った時は連れて帰るか。」
──ガサガサッ!
ドラゴンのことを考えていると目の前の草が揺れ、ゴブリンが現れる。魔物が現れる時は草が揺れるのがお決まりなのだろうか?
「ギギャギャギャア!」
「わぁ。なんかほんとにゴブリンって見た目してるな。」
色は少し暗い緑で、左手に棍棒を持ち、醜い顔を、獲物が来たと言わんばかりに醜く歪めた表情をしていた。左手に棍棒を持っているから左利きなのだろうか?
「さてと、頑張るか!」
その瞬間、ゴブリンが走り出してくる。それに対し右に避け、左手をゴブリンの腹の位置に構え、思い切り突き出す。ゴブリンは咄嗟に止まろうとするが、勢いよく走っていたため、急に止まることが出来ず、腹に拳をめり込ませる。拳全体にあまり気持ちがいいとは言えない感触が広がるが、気にせずに右手に持った短剣を振り抜く。読まれていたのか、ゴブリンは身を屈め、短剣を避け、棍棒をめちゃくちゃに振り回す。
「さすがに今のステータスだと一撃食らうだけでも危ないよなぁ。」
そう言いながら、後ろに下がり、攻撃範囲から抜け出す。
「おらどうした雑魚ゴブ!一撃も当たってないぞ!」
「ギギャア!」
ついでに煽ってみたが、失敗だったかもしれない。さっきより動きが良くなってしまった。
「まぁこれを狩る方が楽しいよな!」
あれ?いつの間に僕は戦闘狂になってしまったんだろう。これ初戦闘なんだけど。
「ま、気にしてても仕方ないよね!実際異世界で戦うのって憧れてたし!」
僕はそのままゴブリンに突っ込む。ゴブリンも突っ込んでくるが、僕の方が速い。すれ違いざまに、ゴブリンの腹を短剣で切り払う。
「ギャアアアア!」
断末魔が人だよ!普通にギャアー!って言ってるよ!
「·····まぁ、なんとか討伐完了だね。初戦闘の割に上手く立ち回れたかな?」
そのままゴブリンの死体に近付き、討伐証明部位の耳を切り取る。
「うわぁ……、グロっ。こりゃグロ耐性ない子が見てたら吐くぞ。」
ゴブリンの耳を取り終えた僕は、さらに進む。
途中、ゴブリンにも5体ほど遭遇したが、どれも一体ずつだったので難なく勝利した。
「さて、そろそろ暗くなるし帰るか。」
そう思い、後ろを振り向くと、ガサガサと草が揺れる。
また魔物かと思い、剣を構える。
「キュッ!」
出てきたのは森の入口付近で出会ったドラゴンだった。
「お前、ついてきてたのか?」
「キュウ」
言葉がわかるのか、鳴きながら頷くドラゴン。
「どうしようか、とりあえず、懐いてるみたいだし連れて帰るか?」
ドラゴンが仲間になりたそうにこちらを見ている!
まるでドラ○エだな。
「ただなぁ。僕テイム出来るスキルを持ってないぞ?」
「キュ?」
「ま、いいや。それは今後考えていこう。」
そして僕と、ドラゴンは森の入口に向かっていく。
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「馬車の貸し出し所まで来たんだけど、君、どうしよう。」
「キュ〜?」
「·····まぁいいや。僕の使い魔だって言ったらなんとかなるでしょ!」
ドラゴンの事は使い魔と言い張ることにして、貸し出し所のドアを開ける。
「おじゃましまーすって、カイルさん!?どうしてこんな所に!」
なんとそこに居たのは僕を森まで運んでくれたカイルさんだった。
「キュウ?」
そういや君はまだカイルさんと会ったこと無かったね。
「おう!シアぼ…う?な、なななな何でドラゴンがこんな所にいやがんだ!お前ら!討伐の準備だ!」
カイルさんはドラゴンを討伐しようと、周りの冒険者達を集める。
「ま、待ってください!この子は僕の使い魔なんです!」
僕は慌ててカイルさんを止める。
「·····は?」
「ですから、この子は僕が森で見つけて、そのまま連れてきたんですよ。」
「このドラゴンを?ガサゴの森でか?」
カイルさんと周りの冒険者達は唖然としていた。
本来、ガサゴの森にはゴブリン系、ウルフ系しか生息していないため、ドラゴンが見つかることはないのだが、その森の中に幼いとはいえ、ドラゴンが見つかったのだ。驚かない方がおかしいというものだろう。
「·····その、カイルさん。どうしてあなたがここに?」
僕はここに来てから疑問だったことを尋ねてみる。
「あ、あぁ、俺はバサラの街のギルド長をやってんだ。そんで、仕事を部下に任せっきりにする訳にもいかねぇから、こうして俺自ら馬を走らせてるって訳だ。」
「とか言いつつカイルさん、書類仕事は副ギルド長に任せっきりじゃねぇか!」
「うっせ!」
はははは!と建物内に冒険者達の笑い声が響く。
てか今カイルさんなんて言った?ギルド長?
「えぇぇぇえええ!!カ、カカカカカイルさん、ギルド長だったんですか?」
「あれ?言ってなかったか?」
「聞いてないですよ!」
してやったりと笑うカイルさんに少しムカッときた僕は、カイルさんのスネを軽く蹴る。
「いってっ!まぁ、許してくれや。」
「·····はぁ。分かりました。」
大きくため息を吐きながら、カイルさんの方を見る。
「あ、そうだ。カイルさん、この子なんですけど、馬車に入れても大丈夫ですか?」
僕の腕の中で丸くなっていたドラゴンを指しながら、カイルさんに尋ねてみる。
「そうだなぁ。危害を加えないなら問題ないな。」
「だ、そうだ。大丈夫だよな?」
「キュイ!」
ドラゴンは強く頷いてくれた。そろそろ名前決めなきゃ不便だよな。
「よし、名前を決めよう!」
「なんだ?まだ決めてなかったのか?」
「はい。すっかり忘れてました!」
さて、どうしようか。
▶スーリ
ハク
まさのり
おい最後!なんで日本ぽいんだよ!この子竜だから!翼あるし、ドラゴン○ールの○龍みたいな龍じゃないよ!
「んー。ハク、は在り来りだよな。よし、スーリにしよう!よろしくな!スーリ!」
「キュ!」
うん。スーリも気に入ってくれたようでよかった。
「スーリか、いい名前じゃねぇか。良かったな。」
「キュキュウ〜!」
「さてと、そろそろ馬車を出しますかね。」
「そうですね。お願いします!」
はぁ。ようやく帰れる。疲れたし、早く寝たいな。
「初戦闘、どうだった?」
「なんと言うか、すごい楽しかったです。疲れましたけど…。」
「そうか!楽しかったか!お前、さてはバトルジャンキーだな?」
カイルさんは笑いながら聞いてきた。そんなカイルさんに苦笑いしながら答える。
「かも、しれませんね。」
「初戦闘で楽しいなんて言うやつはバトルジャンキーくらいだ。お前さんにはその素質があるんだろうよ。」
「そんな素質いりませんよ!」
馬車に揺れながら、バサラの街へ向かう。
色々あったが、なんとか冒険者として生きていけそうだと思いながら、深い眠りについていた。
シア「( ˘ω˘ ) スヤァ…」
スーリ「( ˘ω˘ ) スヤァ…」
カイル「(´-ω-`)))コックリコックリ」
ようやく主人公を冒険させることが出来ました!
強敵はいつだそう?