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是非もないと思いたい


「でしたら、その方法で燃やしても大丈夫そうな紙屑をより分けてただの紙屑は燃やしちゃいませんか?」


 処分に困ったことになっていた紙屑ではあるが、現状では量がまだ多いのが事実。


「言われてみれば確かにそうですな」

「ですよねー」


 こう、少し考えれば気づきそうなことに気付かず、予定変更を繰り返してグデグデになってる気がするが、現実と言うのはえてしてこういうモノだと思う。ムレイフさんからすれば、死を偽装する事故で死にかけて僕と出会ったところから想定外だし、僕の方はここのところ想定外の連続だ。


「落ち着いて考える時間とかあれば、こんなことにもなってないと思うんですけど」

「わかりますぞ。予想外の事態に見舞われて、急に何とかしてくれと言われて万事うまくやってのけるのは、よほど機転の利く人で無ければ難しいですからな」

「ええ」


 とはいえ、愚痴っていても始まらない。


「判別ができるのでしたら、この紙屑はムレイフさんに預かって貰った方が良いですね。それで、燃やしても問題ないモノだけここに残していってください。先に宿屋に立ち寄る都合、出発が早いのも僕ですし、たぶん、挨拶してきても街の方で先に手が空くのは僕だと思うので――」


 ここ、つまり竈の跡がある現在地を集合場所にして先に戻ってきた僕は、紙屑を焼却処分しつつムレイフさんを待つ。


「立ち上る煙で僕がここにたどり着けば一目瞭然ですし」


 荷物だって減って旅もしやすくなることだろう。


「なる程、わかりました。ただ、すべての判別は時間的に難しいと思いますぞ?」

「構いません。少しでも減ってくれるなら、それで」


 こうして失敗を時々修正しつつ僕達の計画は動き出し。


「うん、もう処分ゴミができたのか?」


 街の入り口、僕のことを覚えていた兵士に訝しがられたが、問題はなかった。


「実は少々手違いがあって、その確認とかで戻らないといけなくなって。あ、火の始末の方はきちんとしてありますから」

「なるほどな。まぁ、火事の恐れが無いなら構わん。通っていいぞ」


 ギルドの依頼でも情報の行き違いで仕事を中断するということがあったからこそだろうか。その時のことを思い出して、嘘の理由を話せば納得した兵士はあっさり通行の許可をくれ。


「ここからですね」


 そう、問題はここからだった。




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