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俺の居場所はここじゃない!  作者: 仮花(カリフラワー)
忌み子からの脱却
2/2

2話

前回のあらすじ

親が死んだ次の日、突然現れたよくわからん悪魔(ロリ)にコタツを略奪された。

「うそ……お父さんたちまで……」


 その先を言うのは憚られたのか、綾音はそれきり黙り込んだ。

 あの悪魔、というよりは悪夢から(コタツと引き換えに)開放された俺は、気を失っていたところを綾音に起こしてもらった。綾音いわく「なんか嫌な予感っていうか、虫の知らせ」のようなものを覚えて、俺の家まで見に来たらしい。


「事故死だって。わざわざ俺を置いて行った旅行先で」

「……そっか」

「なんかもう、うんざりだよな」

「ねえ、不謹慎だけど……なんで私はまだ……」

「やめろ、それ以上は」


 綾音が小さな声で、ごめんなさいと呟くのが聞こえた。


 確か二年くらい前に、高校の同級生が俺と遊んだ帰り、トラックに跳ねられて死んだのが最初だった。

 俺に近しいやつらが、次々と何かしら事故にあって、命を落としていく。この二年で、両手では足りないほど人が死んだ。

「忌み子」

 密やかに俺の周りで囁かれた、少し古くさい言葉は、やがて俺の代名詞になった。名前を呼ぶのも忌まわしいって、なんかそれイギリスの有名な魔法ファンタジー小説のラスボスと同じじゃん、俺。


 綾音は当事者の俺よりしんどそうな顔をしている。次は自分かもしれない、と思うと恐ろしいのだろうか。けど、突き放せば突き放すほど近寄ってくるのは綾音の方だ。こいつの考えてることが、俺にはいまいちよくわからなかった。


「健斗」


 俯いたまま、綾音が口を開いた。


「私は……私は、死なないからね」

「……根拠に欠けて信用ならねえ」

「大丈夫なの。私、多分大丈夫」


 綾音の口調がいつになく強い。

 なんだと思って顔を上げたら、綾音は俺を睨んでるんだか、笑ってるんだかよくわからない表情でいた。


「……なんか自信あんの、馬鹿じゃん、私?だから死なないかなって」

「世界一意味わかんねえよ」


 綾音は笑っていた。

 それが、俺の見た最後の綾音の笑顔だった。

シリアスなのはここまでです、多分。

ハッピーエンドの予定です。

よろしくお願いします。

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