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女性との出会い

 魔法陣から現れた女性は、俺を見ると驚いた表情を浮かべていた。

 女性は金髪碧眼で容姿・スタイル共に優れており、黒のローブを纏っている。


 この女性(ひと)がこの家の持ち主かな――自分の家に帰ってきて知らない人間がいたら、そりゃ驚くよな、うん。女性なら尚更そのはずだ。俺なら即警察へ通報する自信がある。


 今の俺はどう見ても不法侵入の不審者なので、ここにいる経緯を説明して何とか誤解を解かないと。いや、説明したところで不法侵入&不審者なのは変わらないんだけど……


 意を決して口を開き


「あの――」「アリシア?」


 話し掛けようとした時に女性も同時に声を上げていた。

 え、アリシア……?誰の事だろう?

 出鼻を思いっきり挫かれてしまったため、なかなか言葉が出せないでいると女性が再び口を開いた。


「まさか、アリシアなの……?でもあの子はもう5年前に亡くなったはず……」


 そう、信じられないものを見ているような表情で呟いた。

 今の姿が女性の過去の知り合いに似ている……ということだろうか?


「あのごめんなさい、実は街に向かう途中で3人組の男に追いかけられて……逃げ込める場所がこの家しかなかったので、悪いとは思ったのですが勝手にお邪魔させていただいてました」


 何とか声を出し経緯について説明することが出来た。

 しかし、それを聞いた女性の反応は思っていたものと違うようだ。


「え?あ、そうなの?――いやそんな事よりも」


 そんなことで済まされてしまった……かなりインパクトのある出来事だったんだけどなぁ、誘拐されそうになるなんて宝くじの1等当てるより確立低そうなんだけど……


「貴女、名前はなんていうの?」


 そんな下らない事を考えているうちに、女性から名前を尋ねられる。


 名前かぁ……どうしよう、身体は女になっているのに優樹と名乗るのはなぁ――でもユウキって書けば一応女性っぽくもあるのかな?んー、一応ちょっと変えてユーキにしておこう。


「あ、お――じゃなかった、私はユーキって言います」


 一瞬俺って言いそうになったけど、流石に言い直した。一応体は女だし、一人称は私にしておいた方が無難かな。


「ユーキさん、ね……やっぱりアリシアではないのね」


 とちょっと残念そうに、でもどこかホッとしたような様子の女性。


「私の方も自己紹介がまだだったわね、私はセリア。王都の魔法士(マジック・マスター)をやってるわ」


 なるほど、セリアさんというのか。それにしても魔法士ってなんだろ、魔術師とか魔法使いとかそんな感じなのかな?


「魔法士……ってなんですか?魔術師とは違うみたいですし」


 そんな俺の疑問はこの世界では知ってて当然のことだった知識らしい。


「ユーキさん、貴女魔法士を知らないの?」


 また信じられないものを見るような顔をされる。

 だってまだ来てすぐなんだもん、仕方ないね!


「すみません……私あまり家の外に出たことなくて……」


 元の世界とか説明するより、世間知らずの令嬢ということにしておいた方が話が進みそうと考えての発言だった。


「あ~、そういえばあの子(アリシア)もそんな所があったなぁ」


 なんだか懐かしいわ、とセリアさん。

 アリシアさんって人もこんな感じだったのか……そっちは本当に箱入り娘だったんだろうなぁ。


「えっと、魔法士っていうのは一応この国で最上位の魔法職なんだけど、魔法は分かるわよね?」

「一応魔法という物があるっていうことは知ってます」


 ゲームの中だけだけど……


「それも知ってる程度――本当に箱入りなのね」

「すみません……」


 本当は箱入りだからではなく、本当の意味で住む世界が違うからなのだが。


「あぁ別に責めてるわけではないのよ?そうそう、話を戻すけど、その魔法を使う職業を下から順に魔術師(ウィザード)上級魔術師(ハイ・ウィザード)魔導士(ソーサラー)上級魔導士(ハイ・ソーサラー)があって、その上にいるのが魔法士(マジック・マスター)という感じになってるわ」


「使える魔法もやっぱり上に行くほど多いんですか?」


「間違ってはいないんだけど、実の所これはあくまで名称で、使える魔法が増えたから上位職の名前で呼ばれるってほうが正しいかな。後自分で言うのもなんだけど、一応この国に魔法士は三人しかいないわ。前は四人いたんだけど……」


 最後は少し悲しそうにしながらも説明してくれた。

 話し終えるとふぅ、と一息ついてからこちらをじっと見つめてくる。


「まぁ説明はこれくらいにしておいて――貴女その恰好はどうしたのよ?」


 ある意味当然の疑問を投げかけられた。

 ――とうとう突っ込まれたかぁ。

 どう説明しようか……正直に言うわけにはいかないし。


「えっと……その、色々あって……」


 これに関しては説明が出来ないので、誤魔化すしかない。


「――まぁ無理に言う必要はないわ。人間生きてればいろいろあるし。でもその格好で出歩くのは感心しないわよ?」


 女の子が出歩いていい格好じゃない、とセリアさん。ええ、ごもっともだと思います……


「そんな恰好で出歩いてたってことは、行く当てとかも無いんじゃないの?」


 セリアさんの言葉に頷きを返すと、やっぱりね~と苦笑する。


「ならしばらくウチに泊めてあげる。あなたを見てると、どうしてもあの子を思い出して放っておけないのよね」


 セリアさんはそう言って微笑んできたのであった。

男の姿でいたら魔法が飛んで来た可能性が・・・まぁ男なら家に行く事も無かったかもしれませんが。

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