義弟の元妹がやって来た
今の所続きを書く気は無いけど、続きを思いついた時にいつでも続きをかけるようにあらかじめ連載小説にしています。
俺には義弟が一人いる。
母が亡くなって5年が経ち、父がついに再婚したのだが、その時新しい母親についてきた少年で、年は俺よりも三つ下だった。
義弟は俺と違って運動神経も良く、明るく活発な性格で、友達も多い。
最初は性格の違いもあってぎこちない関係だったのだが、同じ屋根の下で何ヶ月も過ごしていれば、意気投合もするものなのだろう。
今では俺のことを「アニキ」と呼んでくれているし、こちらも遠慮なく下の名前で呼び捨てできるぐらいには距離が縮まったんだと思う。
そんなある日、両親が一人の少女を連れて来た。
「こいつは、今日から俺たちの家族、お前たちの新しい妹だ!」
「さあ、新しいお兄さんたちにご挨拶なさい・・・」
「ニイちゃん、久しぶり! ずっとずっと会いたかったよぅ・・・」
そう言えば、義弟には、かつて妹がいたらしい。
母方の事情はよく知らないが、家庭の都合で離婚し、母親は弟を、父親は妹を引き取ったのだと言っていた記憶がある。
どうやら、母が別れた父親は相当な金持ちの家系らしく、妹も何不自由ない生活を送ってはいたようなのだが、ある日何の前触れもなく交通事故で亡くなってしまい、引き取り手がいなくなった妹は我が家で引き取ることにした。 ということらしい。
「アニキ、紹介するっす!
こいつは俺の妹・・・、アニキの新しい妹っす!
ほら、お前もアニキにご挨拶するっす!」
「はい・・・、どうぞ、よろしくお願いいたします・・・」
見た目は小学生・・・と言うか、中学1年生の弟の妹なのだから、小学生で間違い無いのだろう。
ちょうど俺が弟と出会った頃の年齢か。
ようやく弟との間に歪ながらも兄弟の絆ができて来たと思った矢先に、これか。
ビクビクと怯えて弟の背中に隠れている妹と仲良くなるのは、出会ったばかりの頃の弟と仲良くなるよりもさらに難易度が高いように感じる・・・。
よし、こうなってしまっては仕方がない。
ここで新しい妹も受け入れられないようでは、弟にも見放されてしまいかねない!
しかもこれからは、弟にとっての理想の兄であると同時に妹にとっての理想の兄でもなくてはならない!!!
そのためならば、完全無欠の兄にだって、俺はなって見せる!
全ては、義弟の元妹に兄と呼ばれる、ただそれだけのために!