表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

世界の抜け穴

作者: 井邑ハイリ

ねぇ、知ってる? 世界って実はひとつじゃないんだよ?

あ、もちろん日本とか中国、アメリカとかじゃないよ? ボクたちのいる地球っていうか、宇宙っていうか、もっと大きな、、、、、、あ、そう! パラレルワールドみたいな話。

この世界にはいくつもいくつも世界があって、平行になっている世界もあれば垂直、いびつな斜めに交わる世界もあるの。

でね、その世界、ひとつひとつに小さな抜け穴があってね、その抜け穴を通り抜けると、そこは交わる全く違う世界なんだって!

、、、、、、あ、その顔は信用してないでしょ? 本当にあるんだよ! だって、だってね?


「ボクはその穴を通ってきた人間だもの」


その時の彼の顔を僕はよく覚えていない。


僕はあの時なんと答えたのだろうか?

でも、そんなことはもうどうだっていい。

だって、僕はとうとうその穴を見つけたのだから。


本当に分かりづらい所にあって、一体何があるのか、先は全く見えない。

でも、多分ここがそうなのだろう。

なんとなくそんな確信が僕の心にはあった。

その確信が揺らがないうちに、そっと中へ足を踏み入れる。


ねぇ、その先に君はいるの?

君は今、どこにいるのかなぁ。あの頃、毎日のように遊んだ君、いつもひまわりみたいな華やかな笑顔を浮かべていた君。ある時、君と歩いている時、ひまわりを見つけて、「君はこのひまわりみたいだね」と言うと、君は驚いたようにぽかんとしてから、クスクスと笑って、「この花はひまわりじゃないよ?」と言った。「ひまわりとすごく似てるけど、これは違うんだよ」僕は、その言葉に何だかとても恥ずかしくなって俯いてしまったけれど、その子は弾んだ声で「ありがとう」と僕にあの笑顔で笑いかけてくれた。


僕はその笑顔に救われていた。

僕にとってその笑顔は心の支えだった。

大嫌いだったひまわりの花が、太陽が、温もりが、優しさが、愛が、少しだけ好きになれたのは君のお陰だ。

この先に君がいるかは分からないけど、いつか絶対に君を見つけ出して、僕は言うんだ。

君に負けない笑顔とともに。


「久しぶり、またあったね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ