悪者のいない世界と小さな王子様
童話風に書いたつもりです。
会話が多めなので小説として成り立っていない可能性があります。
初投稿なので勝手がわからないことも多いですが、初心者なりに雰囲気を重視して書いてみました。
ボクは大きくなったら、一国をおさめる王子様になって悪者をたくさん倒していくんだって。
大臣がそう言ってた。
悪者ってどんな者だろう?
ボクは探してみることにした。
朝ごはんの時間。
コックさんが、笑顔でボクの前に料理を置く。
「ねぇねぇコックさん。」
「どうしましたか?坊っちゃま。」
「お魚さんが、お花さんが、倒れてるよ。どうしたの?なにか悪いことをしたの?」
「何をおっしゃいますか。坊っちゃまのために腕によりをかけて、オシャレに調理し、盛り付けさせていただいたのですよ。」
コックさんは嬉しそう。
そっか僕のためなんだ。
朝ごはんを食べ終わってボクはこっそり森までお散歩に来た。
そこには2人の友達がいた。僕と同じくらいの年の男の子と女の子だ。
「王子様ー聞いて聞いて、私ね!悪い魔女をやっつけたのよ。」
「その魔女はなにか悪いことをしたの?」
「オレ達を食べようとしたんだぜ。だから、やっつけたんだ。」
「でも、ボクは今日お魚とお花を食べたよ。」
「何言ってるのよ。王子様なんだから朝ごはんがあるのは当たり前でしょ?」
「それよりあなたが魔女に食べられでもしたら大変じゃない。そうよ、そうだわ!私達あなたのために魔女を倒したのよ?感謝しなさいよね!」
そっか、僕のためなんだ。
それから僕はさらに森の奥へ歩いていった。
そこでボクは初めて狼男を見た。
狼男は元気のない様子でお腹をさすっている。
「どうしたの?お腹が痛いの?」
「お腹がすいたんだよ。小さな王子様、あんた達のおかげで森や川の食物が減って人間じゃないオレ達は食べるものがあまりないんだ。」
「狼男は僕を食べないの?」
ボクが聞くと狼男は笑いながら言った。
「なんだ?狼が人を食うって知ってて話しかけたのか?おかしな奴だな。だけど、人と話したのは久し振りだな。それより、もう暗くなるから早く帰んな。じゃないとお腹が減りすぎてほんとにお前を食っちまう。」
すると、突然大臣の声が聞こえてきた。
「坊っちゃまご無事ですか?」
「どうしたの?狼男さん倒れてるよ?どうして弓矢が刺さってるの?」
「危ないところでしたね。ぼっちゃまがご無事で何よりです。さぁ、お城に帰りましょう。」
大臣に手を引かれながらボクは、顔についた赤くて変な臭のする水を手でぬぐって見つめた。
大きくなったらボクは一国を収める。王子様になる。悪者を倒す。
みんながボクのためにたくさんの者を倒していくけど、ボクにとっての悪者はまだ見つからない。
晩ご飯の時間になった。
お昼ご飯を食べていないからお腹ぺこぺこだ。
ボクはスープから飲もうと綺麗な銀色のスプーンを手に取った。
ふとみるとスプーンにボクの顔が歪んでうつっていた。
ボクは初めて悪者を見つけた。
悪者は倒さなきゃいけない。
今日もたくさんの者が悪者に倒されていったから。
ボクは慌てずにテーブルの綺麗なナイフを手に取った。
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