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異能使いの水上都市  作者: 白金陽介
1/5

#1

前の小説も完結させずになにをやっているのかと思われて仕方がないと思いますが突発的に書きたくなった小説の一部です。あくまで藪女子を完結させてからこちらも投稿していこうと思っています。とりあえず今現在できているところまでの投稿ですのでご容赦ください。

「離せよ!」

暗い路地裏で少年の声が響く。暗い路地裏でも目立つ青みのかかった黒。髪色と同じく透明感のある綺麗な青い瞳を持つ少年。

「あん? なんだテメェ? この女の連れか?」

 その少年の前に立っているガラの悪い男はそう言うと少年を睨む。睨まれても少年は少しも怯まず睨み返す。それどころかなんとなく少年は殺気を放ち始める。

「……お前、今俺の事睨んだのか?」

「は?」

「あの、あなた逃げたほうがいいですよ?」

柄の悪い男に捕まっている少し小柄な少女は殺気だった少年を見てつぶやく。薄い緑色の髪色、こちらも少年と同じく綺麗な青い瞳をしている。この少女は知っていた。この少年の沸点がおかしなところにあることを。ガラの悪い男はその少女の言葉を聞いてもニヤニヤと顔をニヤけさせて言った。

「おいおい嬢ちゃんよ。まさか俺がこのガキに負けると思ってんのか?」

「負けるだけじゃなくて、間違いなく入院させられるよ」

 少女がそう答えた時にはもう手遅れだった。既に少年は男の背後に移動していた。そしてそのまま少年の拳は男の腰のあたりの骨にヒビを入れた。

「ぎ、ぎゃああああああああああああああああ!」

 男はあまりの痛みで絶叫を上げる。当然捕まっていた少女は解放される。

「だから言ったでしょ? 女の子の忠告はちゃんと聞くものよ?」

 少女はそう言うと可愛くウインクして男の腕を掴んでそのまま背負い投げをした。それはとても綺麗に決まった。ただでさえ腰のあたりの骨にヒビが入っているのにそこを更に地面に打ち付けられたのだ。痛くないわけがない。

「――――!」

 男は声に出せていない叫び声をあげて気絶した。







「しかしお前の背負い投げはほんとにフォームが綺麗だな」

「えへへ~。これでも家で少しは練習してるからね!」

少年と少女は気絶した男を近くに落ちていた縄で縛ってゴミ箱につっこんだ。どうせそのうち誰かが見つけるだろう。

「それにしてもさ、最近力強くなってない?」

「そうなんだよ。な~んか最近やたらと力が強くなった気がするんだよなぁ」

少女の問いに少年も首を傾げる。この少年はつい1か月前、丁度この幼馴染の少女と共にこの土地に引っ越してからやたらと力が強くなっている。筋トレもしているがそれにしても異常なほど急激な筋力の向上である。

「私も少しだけど重い物持てるようになったし。あ、後ケガの治りも早いの」

「お前も筋力上がったのか? とても筋肉が付いたようには見えないけどなぁ」

 少年はそう言いながら少女を眺める。やはりとても筋肉が付いたように見えない。

「ちょっとそこのお2人さん。いいかな?」

突然話しかけられて少年と少女は驚いて振り返った。話しかけてきたのは真っ黒いスーツを着た長身の男性。柔らかな笑みを浮かべているが、どことなく普通じゃない雰囲気を身にまとっている。それを少女も感じ取ったのだろうか、少年の服の袖をギュッと掴む。

「君たちと話がしたがっている人がいるんだ。付いてきてくれるかな?」

 少年と少女は一度お互いを見合って小さく頷いた。もし危険な目にあうことでも筋力が上がっている今なら大丈夫だと踏んだのだろう。スーツの男性は頷いた2人を見て満足そうに頷いてタクシーを止めた。

「ありがとう。それじゃ、タクシーに乗ってくれるかい? 僕は前に座るから後部座席に2人で座ってくれて構わないよ」

 2人は黙って後部座席に座り込む。スーツの男性はスマホの画面をタクシーの運転手にみせて「ここまで」と言ってスマホをしまう。運転手は怪訝な表情をしながらも素直に車を走らせる。車は大通を抜けて細い道を通って行く。進めば進むほど人気がないところになってくる。少年はすぐにでも攻撃に移れるように準備をし始める。暫く細い道を通ったその先に出た瞬間、辺り一面開けた場所についた。車はそこで止まる。

「さ、2人ともここが目的地だよ。降りてくれるかい?」

 スーツの男性に促されて少年と少女は降りる。タクシーは2人が降りるのを確認してからもと来た道を戻っていった。スーツの男性が「こっちだよ」といい歩いていくので2人とも大人しく付いて行く。周りを見渡すとレンガ造りの家が沢山立ち並んでいた。まるでどこかの国からそのまま切り取ってきたかのようなそんな広場だった。中央にある噴水でスーツの男性は止まった。

「理事長。素質のある者を2名、お連れいたしました」

「うん、ご苦労様。あなたは引き続き素質のある子を探してちょうだい」

 噴水の前には金髪に軽く波打つようなウェーブをかけた長髪の女性がベンチに座って待っていた。スーツの男性は「了解いたしました」と言って少年たちに軽く会釈して町中へと消えていった。

「ようこそ、『アトランティス』へ。歓迎するわ、神條(しんじょう)一七(かずな)君、一條(いちじょう)穂香(ほのか)ちゃん」


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