第二話 新しい仲間
ナナミがテーブルの横のスイッチを押した。呼び鈴だろうか、にしてもすごいところに付けたな。
と思ったらけたたましいサイレンのような音が部屋中に響いた。危うく悶絶するところだった。この部屋はビックリハウスかそれともどっかの秘密組織の隠れ家かよ。まあ秘密組織の隠れ家であることはほぼ間違いないのだが…。
その隠れ家は思っていた以上に広いらしく、周囲の扉が開いた一瞬に見えた部屋はとても広く感じた。
つまりはその部屋から人が出てきたわけなのだが、もちろん開いた扉はそこだけじゃない。4~5位の扉から一人ずつ出てきた。その部屋が各自の個室だということを理解するのに少し時間を要した。
ナナミが出てきた人たちに、俺の説明をザックリと説明した。自己紹介しろって言っってくれたらやるのに、勝手によろしくされてしまった。
それに続くように出てきた一人一人が自己紹介を始めた。ほんとに自己紹介って感じでまあせいぜい10秒、名前とあだなと好きなものとか得意なこととか言ってよろしくされて…が合計4人、つまりは40秒。しっかりまとまっているし上出来だ。正直若干コミショウな俺には無理だ。ここで改めて団員の紹介をしよう。
No1 七風 緑 ナナミ 8月5日生まれ 真夏でも長袖の濃い灰色のパーカーを着ている。この団の団長でもある。目つきの悪さは元かららしいが、普段、外に出るときはフードで隠している。一見すると男のように見えるのは彼女が武道をしていたり長い髪の毛をパーカーで隠しているためである。見た目によらず甘いものに目がない。
No2 高倉 子音 タカネ 4月20日生まれ 本来名前はしおんと呼ぶはずだったが親が戸籍の名前を書き間違え、ねおんで戸籍登録されてしまったが本人は特に気にしていない。普段は若草色のカーディガンを着ているが、特別なときは白いのカーディガンを着るというマイルールがあるらしい。基本的に暑がりなので冬でも半袖のことが多い。団の中では副団長的なポジションで、どちらかというと団員の面倒を見る係りな感じである。団長いわく、性格的にそのほうが向いているらしい。いかにも女性というような性格だが、甘いものはあんまり好きではないらしい。
No3 草薙 小百里 ナギサ 6月17日生まれ 団の中でも特に髪が長く、腰近くまである。そのためいつも椅子は背もたれがないものを選んで使ってる。性格はかなり勝気だが、団長いわくほかのメンバーもあれ位であってほしいと願うほどであり、お姉さん的な存在が強い。頭がよく、様々なことに機転が利くため、サポートに回ることが多い。その代り体力があるわけではなく、重労働は苦手で、逃げようと必死に頭を回転させることもある。
No4 小海 祐一郎 ユウイチ 1月10日生まれ 団員一の力持ちで、服が入ったタンスをらくらくと持ち上げるほど。この団に入ったきっかけは偶然この建物に迷い込んだことらしい。こんなところにどうやったら迷い込むのかが非常に気になる。要は方向音痴の究極系みたいなやつ。
No5 泉崎 龍太郎 リュウ 5月30日生まれ 名前の画数が多いことでテストの時間を浪費してしまうことが悩みである。本人はテストが終わらない理由をそう言っているが周囲は思いっきりスルーしているので、少し寂しい人生を送っている一人である。かなりポジティブな性格で団員を元気づける天才だが、その代わりに身に迫る危険に気づかずに大けがをしたことも何度かある。
No6 多村 一 タイチ 11月17日生まれ この団に入ったのはつい最近のことらしい。ほかの団員もほとんど彼のことについて知らなく、唯一の共通認識は引っ込み思案の究極系みたいなやつ、ということのみである。何を考えているのかでさえ分からないほどポーカーフェイスがうまい。
No7 バルキーノ ?月?日生まれ 俺。自分のことで覚えていることが全くというほどない。あえて言うなら勉強ができないことぐらいだろうか。団長いわく、とんでもないことができる奴、らしいが全く持って記憶がない。あとは傷のせいで考えすぎると頭がいたくなる。
ざっくりとこんな感じだろうか、全部で7人、何をするにも微妙な人数だ。男4女3の構成には文句はない。男女がほぼ均等なのはいいことだと思う。そういうとユウイチが、実質男5に女2だけどね~と軽々しく言った。真っ先に誰のことか見当ついたがそんなこと言って大丈夫か?確か武道やってるって言ってたし。まあ予想通り、団長が目の前をパッと通ったと思ったらユウイチが泣いて土下座して必死に謝ってた。この団のパワーバランスが垣間見えた瞬間だった。そして自分も逆鱗に触れないようにびくびくした生活が始まりかけた瞬間だった。
にしてもこのメンバーで探している人物っていうのは一体誰なんだろうか。まだすごい大事なことを聞くのを忘れていた。