あとがき
猟闇師第一期シリーズが完結し、心機一転して書き始めた第二期シリーズ。なんというか、今までになく残酷かつ救いようのない話になりました。登場人物の性格、嗜好、そして犠牲者の殺され方など、どれを取っても生理的嫌悪感を催すものばかり。安心して読める展開からは、かなり程遠くなったと思っています。
今回は、正直なところ私自身、かなり尖っていた部分があると思います。安心して読めるホラーは怖くない。そのレッテルを覆すべく、今までのような大団円や、物悲しさを残す終焉は全て排除しました。
猟闇師シリーズは、能力者が悪霊や妖怪を倒す作品。だから、最後は能力者が勝つことが決まっており、安心して読める部分がある。そういった、出来レース的な展開に、自分自身でも嫌気がさしていたのは事実です。だからこそ、第二期シリーズではそれらの枷を破壊して、新たな展開に持って行けるようにしようと。そう考えての判断です。
本作で登場する退魔具師、鳴澤皐月。今までも比較的登場の機会には恵まれていましたが、残念ながら活躍の機会には恵まれていませんでした。そんな彼女が、今回は戦います。そして、勝ちます。が……やはりというか、苦い勝利です。この話に、救いはありません。
――――心病みし者が向こう側の世界に触れたとき、病みは闇となり現実を浸食する
色々と思うことはありますが、久々に猟闇師の原点に立ち返るような話を書けたのではないかと……私自身は、そう思っております。ただし、やはり残虐性は今までになく強いので、耐性のある方だけお読みください。
本作における、心病みし者とは誰なのか。それは、最後までお読みいただいた上で、ご自身の目で確かめていただければと思います。
2012年7月26日(木) 雷紋寺 音弥