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東雲明(しののめあきら)の徒然エッセイ  作者: 東雲 明


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17/27

第17話 実家の近くに、私の隠れファンがいた話

はーい、本日二度目の登場です。

東雲明しののめあきらでーす。


……おいおいおい、どうしたんだよ、本編は?

続きを待ってたんだけど?


はいはい、わかります。わかりますとも。

でもね、今日はそれどころじゃないんですよ。

事件です。軽くホラー寄りの。しかも本人にとっては心臓に悪いやつ。


まずは深呼吸しましょう。

吸ってー、吐いてー。

……はい、落ち着いたところで聞いてください。


実は本日、毎週末の恒例行事――

そう、実家帰省&地元温泉コースを決め込んでおりました。


実家近くの温泉、これがまたいいんですよ。

観光客ゼロ、地元民オンリー、

脱衣所では「あら久しぶり〜」「あんた痩せた?」みたいな会話が飛び交う、

完全に“内輪感100%”の、あの感じ。


私はというと、

「はぁ……人間の形を保ったまま溶けるってこういうこと……」

みたいな顔で湯に浸かり、

日頃の執筆疲れとSNS疲れを洗い流しておりました。


で、風呂上がりですよ。

例の、瓶コーラ自販機の前で一瞬立ち止まり、

迷った末にコーラを選ぶ、あの儀式。


もうね、この時点では完全に無防備。

私はただの「風呂上がりにコーラを飲む地元民・その1」でした。


待合室の椅子に座って、

脚をぷらぷらさせながらコーラを飲み、

「今日も平和だな〜」などと思っていた、その瞬間。


――聞こえてきたんです。

ヒソヒソ声が。


二つ隣の席。

地元のおばさま二人組。


「ねえねえ、この小説ね、

 東雲明って人が書いてるみたいなのよ」


……ん?


「読んだらね、もう、

 ぴゃーってなるよ」


………………ん????


いや、待って待って待って。

今、なんて言いました?


東雲明?????


脳内で警報が鳴り響きました。

非常ベルです。赤ランプ点灯。

コーラの炭酸が一気に血管に回る音がしました。


あの。

それ、私です。


声に出してないのが奇跡なくらい、

内心はフル絶叫でした。


するとですよ。

その会話を聞いていた、

一緒に来ていたらしいご主人のおじさまが、

ふっと笑いながら――


私の方を見た。


……見たよね?

気のせい?

いや、でも、目、合ったよね?


ここで私の脳内会議が始まります。


「え、顔バレてる?」

「いやいや、SNSで顔出ししてないよね?」

「住所も本名も出してないよね?」

「え、でもこの温泉、地元率100%では???」


一瞬で

最悪の想像ルートがフル再生されました。


・実はご近所さん

・親戚の知り合いの知り合い

・あの時の回覧板

・町内会

・逃げ場なし


――無理!!!!!!


というわけで、

私はその場で静かに、しかし確実に、

脱兎のごとく撤退しました。


コーラ?

飲みかけ?

知りません。


もうね、

走りながら心の中で叫んでました。


「いやいやいやいや!

 温泉で作者バレは聞いてない!!」


いやー、SNSの世界って狭いですね。

いや、現実世界の方が狭いのか。


まさか、自分の地元に、

しかも温泉の待合室という

超・無防備エリアに、

ニッチな読者さんが潜んでいるとは。


しかも「ぴゃーってなるよ」って。

何がぴゃーなんだ。

感情か。情緒か。私の胃か。


後で思い返してみたら、

最近ちょっと伸びてる私の小説。


……あれ?

もしかして読んでる人、

地元率高かったりする?


いやいやいや、

そんなわけないよね。

たまたまだよね。


……でも、

地元の温泉でその話題が出る確率って、

どれくらい?


そんな、

あり得ない幻想と、

どうしても拭えない現実味の間で揺れながら過ごした、

日曜の午後でした。


次からは温泉行く時、

帽子とサングラスとマスク、

フル装備で行こうかな。


――嘘です。

多分また普通に行きます。

そしてまた油断します。


じゃ、まったねん。

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