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第24話 延泊決定(+牡蠣か?)

後半、他者視点あり


先日、間違えて第22話、第23話を同時投稿していました。ウッカリです。'`,、('∀`) '`,、

 俺が剣を拾ったと軽く言ったら、予想以上の反応が返ってきた。

 つまり探し物ってまさかの俺が拾った剣だよね。確かに良さそうな品だと思ってたけど、偶然ってあるもんだ。


「その剣をテントの中で見せてもらって構わないか?」

とジョージさん。顔と名前がマッチし過ぎて逆に大丈夫かと心配になる。

 何が心配なのか、よく分からんけど。


「丸い柄頭に羽の生えた獅子が刻印されてたけど、特徴は合ってる?」

「逆に聞くが、その刻印が何かを知らないのか?」

「うん、俺は昨日ここに来たばっかりだし」


 グリフォンのエンブレムのメーカーがあったような気がするけど、多分そことは関係無いだろう。

 ん? スカーフの刺繍の蛇、これもどこかのメーカーのエンブレムに似てる気がする。

 何のエンブレムだったっけ? 馬車メーカーだっけ?

 『部長』と『アレはロメオ?』ってメーカーだっけ?


「それでも王家の紋章ぐらい見たことあるだろ?」


 拾ったのはまさかの王家の剣……でしたか。

 実は魔族に倒された勇者の持ち物でした、なんてオチじゃなくて、まだ良かったかも。それだと世界が終わりそうだし。

 けど、ひょっとして剣のことは黙ってトミーさんに任せた方が良かったのかな? でも、そうすると……うん、後々もっと面倒なことが起きそうだから今の判断が正解と思う、トミーさん、ゴメン。


 今ここに居る5人で協議した結果、このまま何も起きなかったとすれば、剣を見付けたのはバッカニアの2人だけど、その後で仲間割れして争いになり2人共死亡していた。

 彼らが見付けた時には遺体はハゲ鷹に食べられていたってシナリオを表に出すのが一番良いだろうと言うことになった。

 その裏で、実際の事務処理はノックスに戻ったら剣を白蛇ギルドに暫く保管し、この後も彼らはまだ見付けていない振りをして何度かここに探索に来るって擬装工作をする。

 皆で口裏を合わせりゃ嘘でもバレないだろ。


「ちなみに王家からの報酬は、剣を見付けた人が総取りなの?」

「いや、持ち帰った者にだ。見付けただけなら何人でも対象になるだろ」


 ケーンさんが呆れたような顔をする。確かに目撃情報で報酬が出る、情報提供の紙じゃないよな、詳しいことは知らない。


「4人で割ったら1人どれくらい?」

「報酬は金貨10枚だから、5人で割れば1人2枚だな」

「5人ってことは俺も入れてるけど、俺の分は無しで構わないし」

「見付けたお前が貰わなくてどうする?」

「俺の依頼はジリスの捕獲だし。

 コヨーテも5匹倒したから、4人で割った額に近いでしょ。それだけあれば大丈夫」


 むしろそれで手打ちにしてくれと切に願う。王家だの何だのと、そう言う厄介そうな話には関わりたくない。

 俺は儲け話より、後で面倒が増えない方を選ぶ。そう決めているだけだ……昔、それで痛い目を見た気がするからだ。


 そこで4人が俺の引いているソリを見て、

「聞くが、あの白いヤツの中にコヨーテの頭が入ってるのか?」

とリュークさんが代表して恐る恐る聞いてきた。


「そうだよ、魔胞子で出した白いキノコ。心配しなくても爆発しない。でも食用じゃないよ」

「食わないし」


 うん、知ってた。多分出汁が沁みると美味しくなるんだろうけど、生で食べたらモソモソするだけで美味しくない。


「1人でコヨーテを5匹もやったのか?」

「その通り! 魔胞子サイコーでしょ?」

「お前が魔法をキノコ縛りにする意味が理解出来んが、さすがとしか言えないな」


 ケーンさんの言葉に皆が頷く。どうやら俺の味方はジリス達だけらしい。


「君って若く見えて、実はトミーさんと同じエルフだとか言わないよね?」

「俺は普通の人間だと思うよ」

「普通じゃないよ、どう考えても」


 ジンさんが俺を変態扱い? やっぱりキノコ系魔法はマイナーだったかな。かなり有用な魔法だと思うけど。


 そんな話をしながらバッカニアの2人のテントに来る。中は食べ物だらけだな。ジリス達がリュックから飛び下りて散らかしてあった保存食に噛りつく。塩気が強いからやめた方が良いと思うが、その塩味が好きなのかも。


「ちくしょっ! 後から来たくせに鞘を見付けてたみたいだ」

と、布に包まれた鞘をジンさんが皆に見せる。

 砂まみれになっていたのか汚れているが、彫り物が存在感を際立たせている。これが名品であることに間違いな。


「ちなみに聞くけど、剣だけ持ち帰るのと、剣と鞘の両方持ち帰るのとじゃ、価値が違うよね?」


 俺以外の4人が顔を見合わせる。


「どうなんだろうな? そこは依頼主に聞くしかない」

とケーンさんが困った顔をする。


「意外とセットじゃないと金を出さないとか言うかもね」

「あ……」


 あ、じゃないよ。仕事を受けるのならちゃんと条件を確認しろよ……人のことなら何でも言える。

 テントの中でジリス達が保存食を噛っているのを眺めて居るうちに、剣と鞘はどちらか一方が独占しないよう自然に分けて持つ流れになったみたい。この辺り、この4人はどうすれば揉めないのかって分かってる感じ。


「よし、これで安心してテントを畳める」


 何日ここで探していたのか知らないけど、皆嬉しそうだからヨシとしますか。

 だって俺はただ巻き込まれただけ。主役は最初からこの4人。それを間違えなければ、余計な面倒は背負わずに済む。


 食事に満足したジリス達が俺の体を駆け上がる。定位置と化したリュックの上で昼寝か見張りでもするのだろう。

 欲をかいて厄介な人達と関わるより、コイツらみたいなのんびり過ごす未来を得る、そう、だから俺は――


「じゃあ、俺は先に帰りますね」


 テントにジリスが残って居ないか確認し、町の方へと足を向ける。


「待て待て。そう慌てるな」

「俺の用事も皆さんの用事も終わったでしょ?」

「ここに鞘があったことで少し事情が変わった。シナリオ修正を入念にしなきゃならんだろうが。

 5人で確実に意思統一するからしっかり覚えろ」


 それから無茶苦茶……苦労した。

 結果的に俺はここに来て何も見ていない体を装うことにしてもらった。コヨーテの件も含めてだ。

 それでここから離れた場所でうろうろしたように擬装してこいと言われ、泣く泣く草原でもう1泊する羽目に。


 コヨーテ5匹のお金はトミーさんに渡すから安心しろと言われて、嘘ついたら死に神とタクゾーじゃねぇコンビを飲ませるからと返しておく。多分誰も意味は分かっていないだろう。



「あー、気分わりぃ……こっちに来てから牡蠣で当たったことは無かったのに。おかしぃ、なんでだ?」


 トイレから出て手を洗い、タオルで拭いている冴えない中年男性が洗面所の鏡に映っている。


 彼の目はタオルに向いているが、タオルではなく別の何かを見ているように思えるだろう。


「使ったのは少し汚れたタオルだし、洗って干したのは清潔なタオル。合ってるだろ」


 彼は廊下を歩きながら他の物を見るが、合ってる、合ってると何度か馬鹿の一つ覚えのように繰り返す。


「腹壊したせいで予定より遅れているんだ、また怒鳴られるのも腹立つから、我慢して飛ばして行くか……途中で馬を変えれば時短が出来る……はぁ、めんどくさいけど、仕方ない」


 そんな独白を終わらせると、自室に戻って着替えを済ませる。服装以外に手荷物は無い。


「――様、行ってらっしゃいませ」


 二十代半ばのメイドが箱馬車に乗り込んだ主人を見送る。御者の手綱が一度大きく跳ねると、馬がめんどくさそうに嘶き歩きだす。

 暫く頭を下げたままのメイドは馬車の姿が角を曲がって見えなくなる頃に頭を戻す。そして左腕に掛けた籠を確認すると、玄関先から屋敷の裏手へと回り込む。


 背の低いオブジェとしてしか用を成さない木の柵を

通り越し、次第と傾斜の付いた山道を歩きだす。


「この辺りのはもう採り尽くしてるから、場所を変なきゃいけないかしら?」


 彼女が呟きながら場所を移す。それから1時間は山を歩いただろうか。籠の中はキノコで埋め尽くされていた。


「ナメコ、マイタケはそこそこ生えてるけど、欲しいのはなかなか見つからないのよね。それに知らないものは食べたらダメだから」


 茶色の笠の上に白いイボみたいなものが並んでいるキノコを手に取り、革袋に大切そうにしまった。

 特に表情は変わらない。


「これを売れば良い値段が付くから好き。量が少ないのが難点ね。

 マイタケが数十個より、たった1本のこれの方が高いなんて、貴族って馬鹿しか居ないのかしら?」

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