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双子の妹も最強?

特に今回は変わったことはありません。

添削しているぐらいです。



ステータスが判明してからの日々、特別な変化は訪れず、気が付けば半年以上が過ぎ、季節は梅雨を迎えていた。

この世界では季節が日本とほとんど変わらない、また一年は12ヶ月、1カ月は30日、1年は360日にだ。


最近は雨が続き父さんと訓練ができない日々が続いている。あのステータスが判明してからというもの、父さんとの訓練には激しさが増した。その影響で室内での訓練はできず、基本的には晴れた日にしか行わない。


父さんとの訓練ができない日は本を読んだり、魔法の開発などをして時間を消費する事が多い。

今日は本を読もうと、部屋にある1冊の本を手に取る、<冒険者について>と記されたこの本は、名前の通り冒険者になる方法やルールなどが記されている。

ファンタジー世界といえば冒険者。この世界にも冒険者は存在する。父さんと母さんの様に

いつか俺もなれる為にと、冒険者の知識だけでも今勉強している。

本を開こうとした時だった。突然、部屋のドアを誰かがノックする、すぐ後に2人の女の子の声が聞こえた。


「ハクヤにぃ、いるんでしょ?入るわよ」


「兄さん入るね~」


俺の返事を待たずして部屋に入ってくる女の子たち。

全く、どうして何も言ってないのに入ってくるのか…


「キャロ、シャロいつも言ってるけど、いきなり入ってくるのはやめてくれないか、せめて返事を聞いてからでも問題は無いだろ?それで今日はどうしたんだ?」


「暇だから遊びに来たわ、遊びましょハクヤにぃ!」


「この雨で外に出れないからね、兄さんと遊びたいと思って...ダメかな〜?」


どうやら2人は暇を持て余していて遊び相手が欲しいようらしい。


キャロとシャロ、2人は俺にとって義妹に当たる存在だ。俺が森で父さんに拾われたのが夏頃で、その数か月後に2人は生まれた。父さんと母さんの本当の子供で、俺にとっては同年代の妹。

俺の事を「ハクヤにぃ」と呼ぶのがキャロで、「兄さん」と呼ぶのがシャロ。


2人は半年ほど前に5歳になって、魔法を使ったり、俺を見て武器で遊んだりと、よくやんちゃして怒られてる。そしてこんな雨の日はだいたい俺の部屋に来て遊びに誘ってくるのが当たり前になっていた。


「それで遊ぶ内容は決めてるの?」


「もちろんだわ、いつもの遊びをやりましょ。今日こそハクヤにぃに勝つからね!!」


「今日は兄さんに勝てる作戦を考えたから負けないよ〜」


「わかったいつものな、とりあえず移動しようか、俺の部屋は狭すぎる」


そう言って少し興奮気味な2人を抑えつつ、俺の部屋から移動した。場所は家の中にある1番広い部屋、そこで今日も遊びが行われる。


遊びのルールはとても簡単で、広い部屋の中おもちゃの武器を持ったキャロとシャロが俺に攻撃を当てることが出来たら勝ち、逆に3分間一撃も喰らわなければ俺の勝ちというゲームだ。


このゲームを今まで何十回もやってきたが2人は1度も攻撃を当てたことがない。

別に2人の運動神経が悪い訳ではない、むしろ一般的な5歳のステータスよりは遥かに上...だけど相手が悪い、日頃から父さんと訓練をしている俺に対して、5歳のそれも、訓練などしてない子供じゃ実力が違う。


「こっちは準備出来てるから、いつでもいいぞ」


「わかったわ、じゃ行くよ」


その言葉と同時にキャロが突っ込んできた、基本的には、キャロが前衛でシャロが後衛的な感じで仕掛けてくることが多い。この始まり方はいつも通り。作戦があると言った割には、大したことはない。

常識的に考えて、俺と妹たちの差は埋まらない。そう思い込みいつもより集中力を欠いていたのかもしれない(捻りがない、キャロを捌いてシャロの相手をすれば問題はない)そんなこと悠長に考えていた。


だけどそれは間違いだった。

いつもなら、キャロが俺との距離を縮め始めたぐらいに、シャロが動き出す。だけど今回はは、動く気配がなかった。それに気がつき一瞬キャロから目を離した、その隙にキャロは加速して、物凄い速さで目の前に迫っていた、かなり近い距離の攻撃を捌けないと判断してサイドステップで横に躱すと、まるで、横に避けるのが分かってたかのように。キャロがスピードを落とさず方向転換してきた。


予想外でも慌てることなく、目の前のキャロと相対する、一度距離は取って態勢は整えた、これなら問題ない。そう思いキャラの攻撃に備えた時だった。。

後ろからなにかが当たる感触がした。振り返ると、そこにはシャロが立っていた。これもまるで、ここに来るのが分かっていたかのように。シャロの攻撃を受けこのゲームは俺の負けが確定した。


「勝負ありだね兄さん」


「私たちの勝ちだわシャロちゃん!」


「いぇーい、そうだね〜」


2人はとても嬉しそうにハイタッチしている。その音がきれいに部屋で反響した。


「なぁどうやったんだ今のキャロの動きまるで俺の行動を読んでいたような、最後のシャロに関しては気配を一切感じなかったぞ、出来れば説明して欲しいな」


俺の言葉を聞いて2人はとても満足そうだった。そしてシャロが説明してくれる。


「キャロちゃんが突進したタイミングで私がキャロちゃんに〈身体強化〉の魔法をかけて、私自身に〈隠密行動〉(インビジブル)の魔法をかけて気配を消したんだよ~。そして兄さんの行動を誘導する様にキャロちゃんが攻撃して、避けてきた所に私が待機してた、ただそれだけだよ〜、多分兄さんはキャロちゃんの急な速度に焦って避けると思ったんだ、避けた兄さんはキャロちゃんに集中して、私に気づかずに誘導されたって訳だよ〜」


サラッと説明してくれたがそれがすごい事だと恐らく理解してないのだろう。

まずキャロにかけられた〈身体強化〉だが本来この魔法は肉体に負荷がかかる。5歳の子供では、魔法がかかった状態で激しく動けば、激痛が伴うはず、恐らくシャロが調整したのというのもあるけど、キャロ自身が、この魔法に適性があったのかあるいは、適応したのか、理由はわからないけど上手く魔法を使いこなした。


そしてシャロだが、恐らく魔法の才能が凄いのだろう、キャロに合わせて調整した〈身体強化〉や自身の気配すらもほぼ完全に消す〈隠密行動〉(インビジブル)は、もはや俺と同じように普通の5歳児を軽く超えていると思う。

そもそも魔法の調整だって、5歳が出来るものでは無いのだから。


自身の強さにうぬぼれてた訳じゃないと思う。けど結果だけ見れば自惚れ、慢心そう捉えられてもおかしくない。けどそれだけじゃない、俺の行動を考えて、対策を考えて、今回は2人が俺を上回ったのだ。きっと将来は父さんや母さんも越える冒険者になるだろうと思えた。


「それで2人はなにかお願いがあるのか?」


2人が俺に勝った事に喜び、しばらくはしゃいでたが、落ち着いた所で俺が質問した。

そもそもこの遊びで俺に勝てば、できる事なら何でもすると約束していたから。


「お願いなんだけど...魔法を教えて欲しいわ」


「私からもお願い、兄さんは魔法を色々知っているから、教えてもらいたいの〜」


俺はこの世界にはない魔法を作って、見せた事がある、2人はそんな魔法に興味が引かれたのだ。先ほどのシャロを見ればわかるが、魔法の才能はある。だから<魔法創作>で作った魔法でも使えるだろう。

2人はきっと強くなる、自分の方が圧倒的に強いという認識は改めなければ思い、頭を掻いた。


「わかった、魔法を色々教えてあげる。2人とも強かったね。」


その言葉を聞いてキャロとシャロは「「ありがとう」」と言いながら俺に抱きついき、その後もしばらく三人で遊びを続けるのだった。

ハクヤ「さすが父さんと母さんの子供、2人とも強いな」


キャロ「でも、私達まだ訓練してないわ」


シャロ「見よう見まねだよ~」

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