自己紹介
「何故貴様のような平民が、この教室に来る?」
扉を開けた第一声はそれだった。教室の中からノアが睨みながらこちらを見ている、よく見るとすでに俺達以外の8人は教室にいて、全員が俺達の方を見ていた。
そういえば、校門前で「Sクラスが」とか言っていたが本当にこんな奴がSクラスだとは、見てるだけで怒りが沸いてくるが、放課後までは穏便に済ませたかったので最大級の笑顔で話してやった。
「これはこれは、先ほどぶりですね、放課後の決闘で負けた後の土下座が楽しみですよ。き、ぞ、く、さ、ま」
俺の煽りに乗っかって今にも仕掛けてきそうなノアだったが、チャイムがなりぶつぶつ言いながら席に戻った。俺達も決められた席に着き誰か来るのを待っていた。
少しして2人の人物が教室に入ってきた、1人は今朝俺達を止めたフォルテ先生でもう1人は、入学試験のときにいたバッカス先生だ。
「みんなおはよう、俺はバッカス。今年のSクラスの担当教師だ。今年は優秀な生徒が集まっている、さらに今年はSクラスに特別教師が配属された、もしかしたら知ってる奴もいるかもしれないが、その事は自己紹介のときに喋ってもらおう、俺は教師で指導役だ、君達はまだ知らないことがたくさんあるだろうが、知らない事は何でも聞いてくれ、君達を支えるのも俺の仕事だ、これから卒業までよろしくな!次は特別教師フォルテ先生の挨拶だ、みんなしっかり聞けよ」
「はい、皆さんおはようございます、まずは入学そしてSクラスおめでとう、今年のSクラス特別教師は、私フォルテと言います。知っている人はいるかもしれませんが、ここ王都の冒険者ギルドでSSランクの冒険者として活動しています、そんな私から見ればここにいる皆さんはまだまだ、未熟者です。そんなあなた達を3年間で育て上げるのが私達の役目です。ですのでこれから3年間よろしくお願いします」
フォルテ先生とバッカス先生の挨拶の後すぐにパチパチと拍手が起こる、SS冒険者。この世界では2番目にランクが高いとされている人物。まさかそんな人物が教師になってくれるなんて、恵まれているのかもしれない。
先生たちの挨拶の後は、生徒が一人一人自己紹介をしていく事になった。
この自己紹介の順番は入学の時に決められたSクラス順位の一番高い人からすることなっている。
そして初めに自己紹介を行うのは...
「どうもはじめまして、一応第1位のハクヤです、特にこれといって言う事はありません。これからよろしくお願いします」
そうSクラス1位は俺である。話した通り言う事もないので、簡単な挨拶になってしまった。ステータスだけで測るなら神様から能力を貰っていて、過去凄い冒険者から鍛えてもらっている、俺が1位なのは順当だと思う。
そしてその後、ルリ、キャロ、シャロの順で挨拶をしていく。俺と同じ環境で育ったキャロやシャロ、魔族最強の魔王の娘のルリが上の順位なのも納得。
余談だがこの年齢ですでに一つでもステータスがSを超えてる者はそうそういないらしい。俺を含めてすでに4人いるがまぁ、学園の方針がこれなのだから仕方ない。
話を戻そうシャロが終ってからは、試験の成績でいい人が順位をつけられていて今は5位の人が挨拶をし始めようとしている。
「はじめまして...の人は少ないかな、たぶんみんな知ってると思うけど現国王の息子、5位のアレスだ、まぁ一応王子だが気にせず仲良くして欲しい」
軽く聞き流すつもりだったけど、思わず二度見してしまった。ガチの王族がいたとは、見た目ヒョロヒョロとした少し身長高めのイケメン、仲良くなれるなら、それに越したことはないだろう。
「アレス様の護衛6位のハンスだ」
「同じく、アレス様の護衛で7位のハナで~す、よっろしく」
「同じく、アレス様の護衛で8位のアリンよ、よろしく」
まさかの5から8位は全員王族関係とは、見た目だけで判断するのはよくないが、ハンスは、ガタイのいい少年でタンクなどをやりそう、ハナは見た感じ元気っこぽく魔法とかよりは剣とか振ってそう、逆にアリンは少し大人しめの女の子で、魔法とか得意そう、あくまで個人的な考察になるけど。。
完全鑑定で確認してもいいのだが、敵対もしてない人の個人情報を見るのは元日本人としても、いかがなものかと思い、基本は見ないようにしている。
そして次の9位の人なのだがここで予想外のことが起きる。
「あぁー自分9位の蒼井将太って言います、田舎者なのでわからない事は多いですが、よろしくおねがいしゃす」
蒼井将太と名乗った少年、黒髪で言葉こそ、この世界のだが、どう見ても日本人だった。
俺以外にもこの世界に来た人間がいるのは知っていたが、まさかこんなにも早く会えるとは予想外だった。
そしてあのノアとか言う貴族だったが、一応10番目で何か喋っていたが、何を言ってたのか興味もなかったので、聞き逃した。
残るはあと2人。
「どうも、11位のベルです、よろしくです」
「12位の、ヘラです、これからよろしくお願いします」
この2人は完結に挨拶を済ませて、席に着く。明るい雰囲気ではないが特に違和感も覚えない。けど俺は気がついていた。この教室に俺達が入ってから、視線はずっとルリを追っていた事を、あの貴族の様にたんに一目惚れなら気にもしないが、どうもそんな感じがしない。俺の中で一応警戒対象として頭の片隅に入れておく。
全員の挨拶が済んだ後、バッカス先生からこの学園のカリキュラムや、今後の流れについて。他には俺達には関係ないが学園寮についての説明などもあった。それらがある程度終わった後、バッカス先生と入れ替わるようにフォルテ先生が俺達の前に立つ。
「はい皆さん、今日はお疲れ様でした、まだ説明する事はありますが、それはまた明日以降になります。それでは今日は解散です。一応連絡ですがこの後、このクラスの1位のハクヤ君と10位のノア君が、決闘をします、見たい生徒がいれば訓練場に来なさい。ハクヤ君とノア君は、先に訓練場で待機する事、準備は怠らずにね、では解散」
フォルテ先生、最後に余計な事言いやがった。これで完全に見世物になる事は確定だろう。朝のあの場でも周囲に宣言していたし、何か意図はあるのかもしれないが、正直めんどくさい。大勢の前で戦うなんて...
俺はルリたちと一緒に早めに訓練場に向かった。
訓練場は校舎から結構歩いた場所にあり、かなり広さが確保されている。既にかなりの人が集まっていた。
「なぁ、まさかこの人だかり、全員決闘の観戦者じゃないよな?」
俺は引きつった笑みを浮かべながらルリに質問してみた。だがルリから答えが来る前に、別のところから返答が帰ってきた。
「そうだとも、ここにいるのは全員君達の決闘の観戦者だ、おや、私が誰か不思議そうな顔をしているね、失礼申し送れた、私は学校のイベントなどを記事にする情報部の一人、カスミという者だ、一応君達の一個上の先輩だぞ、よろしく」
「はぁ、よろしくお願いします」
カスミ先輩はカメラを持ちながら、興味津々な様子でこちらに迫ってくる。
「ねぇねぇ、ところで今年のSクラス1位の君が、仮に負けたら退学だけど大丈夫なの?勝算は?どんな風に戦うの?武器?それとも魔法?」
この先輩、俺が何か返す前に次々と質問をしてくる。俺に喋る時間を与えてくれない。仕方ないのでルリ達に手を振り、その場を離脱した。
中央に行けば既に、ノアとフォルテ先生が待っている。
「遅かったな平民、てっきりこの決闘に恐れをなして逃げ出したのかと思ったぞ、もっとも先生が絡んだ時点で決闘が正式に認められたから、逃げた場合、貴様は敗北者となり学園を退学になったのだがな」
腹が立ったのも事実、ボコボコにしてやりたいのも事実、土下座させたいのも事実。だけどこの世界に来て初めての物語のような悪質貴族に出会えたことに嬉しさも感じている。
ノアの煽りに俺も乗っかって煽り返す。
「よく喋るなお前、おしゃべりな奴は弱いって相場が決まっているけど、例に漏れずお前も弱そうだ。早くやろうぜ、俺はお前を土下座させないと気がすまねぇ」
「まぁまぁハクヤ君落ち着いて、はやる気持ちはわかるけど、先にルール確認ね」
俺を止めたフォルテさんが咳払いを一つすると、それまで騒がしかった周りが静かになる。
「改めて二人にルールを説明します、まず勝敗はどちらかが戦闘不能状態になるか、降参した時点で敗者が決まり、戦闘可能の方が勝者となります。武器の使用は、この訓練場で用意されている木製のものなら何でもいいです。魔法も特に制限などはありません、以上がおおまかなルールです、わかりましたか?」
「「はい」」
「では、途中で何かある場合は、私達先生が止めますので、両者全力でやる事、では、Sクラス1位ハクヤ対Sクラス10位ノア。両者構えて・・・始め!!」
先生の合図の俺達の決闘は始まった。
ルリ「どれぐらい持つかな?」
キャロ「数十秒だわ」
シャロ「同じSクラスだから数分は持つかもよ~」




