一足先に冒険者、その2
「ところで、2人は森とかに行って事はあるかい?」
王都を出て近くの森に向かう4人、森に向かう最中にグラハムがキャロとシャロに尋ねる。
「森なら何度も入ったことがあるわ」
「森に入って、パパ達と狩りとかもした事があるんですよ~」
「へぇ、両親と森に入って狩りをするなんて、凄いわね」
キャロとシャロの話を聞き、「偉いわ」と言いながら頭をなでるフォルテ。
この話を聞いて、新たに疑問に思った事を尋ねるグラハム。
「ちなみに、名前の森に行ってたんだ?」
「なんだったかしら?」
「なんだっけ~?」
「わからなければ、無理に思い出そうとせんでええぞ」
2人はよく行ってた森の名前思い出せていない。普段から森としか言っていないから、正式名称をしっかり記憶していなかった。
結局歩きながらずっと考えていたが森が見える位置まで思い出せないキャロとシャロ。
だが森を見た瞬間2人は同時に「「あ」」とつぶやき声を合わせて言った。
「「古代森林」」
その名前を聞いてグラハムとフォルテは足を止め、互いの顔を見合う。そしてキャロ達にグラハムが質問した。
「キャロちゃん達の言っている古代森林って、あのエンド村の付近にある古代森林か?」
「え、そうだけど、グラハムさん達エンド村を知っているの?」
「まぁ、少しだけ知っているな」
「私達は~エンド村の出身なんですよ~」
シャロが軽く放った言葉はグラハムやフォルテには衝撃的な事で互いの顔を見合わせる。今度は何か聞くのではなく苦笑いをするのだった。
何故2人がエンド村と古代森林に驚いていたのか、それはその2つの場所は冒険者、それもある程度ランクの高い冒険者の間ではすごく有名な場所になっているからなのだ。
古代森林は普通の森とは違う、当然弱い魔物も存在はするが、その中心地に行けば行くほど、強力な魔物が多数住み着いていると言い伝えがある。
そんな森の近くにあるエンド村は、当然被害が出やすい村として一部からは有名。そんな事情もあり、エンド村に住むのは、一部の命知らずか、過去に強力な冒険者だった人物か。
だがそんな事、エンド村で生まれ育ったキャロとシャロは知る事もなく、2人が驚いている様子を見て何に驚いているのか全くわからないのだった。
結局エンド村や古代森林の事は特に話題にはならず、森についてしまった4人。指定された薬草を話しながら集め、各自ある程度集め終わり王都に帰ろうとした時、森の中から声が聞こえた。
「ねぇお爺ちゃん、なにか声聞こえなかった?」
「うむ、確かに聞こえるな」
全員が声のする方向を見る、だがまだ何がいるのか見えなかった。
「あ、そういえば私森の中に入っていないから索敵するの忘れてたわ〈索敵〉」
「ほぅ、かなり高精度な索敵だな、古代森林に行ってただけのことはある。と言うか、〈索敵〉は探索に置いての基本なのに、クエストランクが低くてすっかり忘れてた」
「お爺ちゃん、慢心はダメよ。まぁ私も忘れてたんだけど。それにしても、子供なのに凄いわね」
普段なら必ず索敵を発動しているのだが、いろいろ考えてキャロは発動するのを忘れていた、すぐに発動して周囲を確認するキャロ、キャロノ発動した索敵の精度に驚きと感心を表すグラハムとフォルテ。
「それで、何がいたのキャロちゃん?」
「えっとね、近くにはゴブリンが5体だけだわ、少ないし私とシャロちゃんなら簡単でしょ、グラハムさん私達で倒していいかしら?」
グラハムは少し考えたが、自分達もいるし危険はないと判断して任せる事にした。
任された2人はすぐに武器を構えゴブリンのほうを向き、戦闘態勢をとる。キャロは槍を、シャロは杖を構えながら作戦を話し合う。
「キャロちゃん、私が先に魔法を放つから、撃ちもらしたら後よろしく~」
「わかったわ」
「じゃ、〈火球〉」
まだこちらに気づいていないゴブリンに見事シャロの魔法が命中。すでに何度も戦闘経験を積み、ミリアから魔法を仕込まれているシャロにとって、警戒すらしていない低級ゴブリンを倒すのは造作もない事だった。
「うむ、お見事」
「全滅させちゃうなんてすごい!」
「シャロちゃんさすがね、けど私の分がいないわ…」
キャロは戦う事が出来ず少し拗ねるが、それでも命を懸けている以上次の敵を探しに行くなんて阿保な事はしない、採取もでき、ゴブリンを倒して王都に戻る4人、帰りも何事もなくギルドに戻り、クエスト報告が完了した。
「グラハムさん、フォルテさん今日はありがとうございました」
「とっても楽しかったです〜」
「そうかい、それならよかった」
「私も楽しかったわ、また一緒に冒険しましょう。それと今回の報酬」
2人はフォルテから初めての報酬を貰った、貰った金額は大したことない金額だが自分達が初めて稼いだお金で、それを見て言葉にはできない嬉しさが込み上げていた。
改めてフォルテとグラハムにお礼を言って2人は家に帰って行ったのだった。
帰るキャロとシャロの背を見ながら、グラハムとフォルテは言葉を交わす。
「それにしても不思議な子達だったねおじいちゃん」
「そうだな、あの歳であそこまで力を使いこなすなんて、まるで若い頃のフィン達を見てるようだった」
「フィンさんとミリアさんか、懐かしい名前だね...あの2人どこで何してるんだろうなぁ」
「あの2人ならこの前王都に帰ってきてるぞ」
「え、嘘!なら今度挨拶に行こう、おじいちゃん」
「そうだな、近い内に会いに行こうか」
そして後日グラハムとフォルテは、不思議な少女達が、フィンとミリアの子供だというをこの2人は知るのだった…
フィン「ちょっと冒険に行ってきます...ってミリア僕探してくるよ」
ミリア「ちょっと待って、索敵...フフ、たぶん大丈夫よ」
フィン「うーん、ミリアがそう言うなら待つとしようか」




