優しい家族と正体
魔族、魔人たちの総称
魔人、魔族一人一人の呼び方。
今回はルリ視点のお話です。
基本的にハクヤの事は彼で書いてますが、一部の個所ではハクヤ君と書かれています。
「う〜、眩しい」
カーテンの隙間から差し込む日差しで目は覚ます。
伸びをしながら立ち上がりカーテンを開ける。窓の外には一羽の黒い鳥がいた。その鳥は手紙を咥えておりその手紙を受け取れば、その場所で霧散した。まだ眠たい目を擦り、届いた手紙を開け読んだ。
『ルリへ、合格おめでとう、近いうちに会いに行きます』
手紙の送り主のお母さんで、さっきの鳥もお母さんの遣い、とりあえず手紙を机の上に置いた
今日はこっちに来て初めて出来た友達の家に遊びに行く日だから、とりあえず準備をし始めた。
私はルリ、つい先日ここ、王都の学校に入学することが決まった新入生だ。
私にはあまり多くの人には、知られたくない事がある。それは私が魔族だってことだ。
遥か昔、魔族と人間は戦争してお互いに殺しあった、だけどある時を境に、戦争は終結。魔王が不戦の誓い掲げ、今では人間も魔族も平等の存在。
それ以降はお互いが殺しあうことなく共存の道を歩む事になった。
それなのに私が正体を隠したいのは、小さい頃、家族に無断で人間の街に行ったら、私の姿を見た人間が悲鳴をあげて、私に攻撃をしてきたのだ。
あれがトラウマで今は人間の国に行くときは、本来の姿を隠しなるべく人間らしい格好で生活している。
準備をし終えて軽い朝食を取る。彼が迎えに来るまで、持って来ていた保存食を食べながら、自分の姿におかしなところがないか、念入りに確認する。
彼を待っている間、あの日の事を思い出す。彼等と初めて会ったあの日。彼を見た時、何か普通の人とは違う特別な気配を感じた。
それが何かと聞かれても、何なのかは全くわからない、でもどうしても彼を意識してしまう。
そして彼の兄妹である、キャロちゃんとシャロちゃん、あの2人は彼とは、また違った気配を感じる。そしてその気配が何なのかやはりわからない。
あの3人を事を考えていたら私の発動している〈索敵〉で彼の気配を感じた。
その事に気が付いた私は、宿屋の外に出て彼を待った。
「おはよう、待たせたか?」
「おはよう、全然待ってないよ」
「そっかじゃあ、行こうか。ついて来て案内するよ」
「わかった、今日はよろしくね」
私は彼に案内されて彼の家に向かった。その道中彼が、いろいろ食べ物を買いたいと言ったので、2人でいろんなお店を回った。
彼の家に着いたとき私はきっと凄い顔をしていただろう。物凄く大きなお屋敷の前で「ここが家だよ」と言われたからだ。玄関では彼の母と挨拶して、2人の後に続いて私も家に入った。
「おじゃまします」
正直家に入る時私は凄くびくびくしていた、知らない人が私の事を見たらきっと心配しそうなぐらい落ち着きがなかったと思う。
私が家に入ってリビングに着けば、キャロちゃんとシャロちゃんと恐らく3人の父と思われる男性。
リビングに行くまでの道も長く周りを見ても全てが大きかった、そんな家の中を見て私は「すご」と無意識に言葉が漏れていた。彼の家族に歓迎されて、お昼までご馳走してもらった。
食事が終わった後、暫くは談笑の時間。ハクヤ君達の事をいろいろと教えてもらった。話の中で古代森林での出来事は凄まじかった。
ある程度区切りがついたところで、ハクヤ君が私に話しかけた。
「そういえば、ルリってどこ出身なの?」
「あ、えっとそれは…」
「あれ聞かないほうがいい質問だった?」
彼に出身を聞かれてすぐには、答えられなかった。
私の出身は魔国、それを知られてしまえば私が魔族だって事も知られてしまう、そうなればどんな反応されるかわからなかったからだ。
それでもこれから一緒に学校とかで過ごしたら、きっといつかは、ばれてしまうと思った。
私は覚悟を決めて彼等に私の出身を話す事にした。
「私の出身聞いても驚かない?」
「ん?まぁ驚かないと思うけどそんな遠いところなの?」
「遠いよ、だってあたしの出身は…魔国だからそして私魔人なんだ」
「「え」」
私の出身を聞いて声を上げたのはキャロちゃんとシャロちゃんだった。ハクヤ君は凄く驚いた顔をしていた。
だけど彼等の両親、フィンさんとミリアさんは驚いた様子をみせなかった。
その反応を見て私は不思議に思い2人に聞いた
「フィンさんとミリアさんは驚かないんですか、私が魔国出身だった事に、普通シオンたちみたいな反応されるんですけど」
「まぁ、僕はルリさんが魔人なのは見た瞬間にわかったから、そっちの出身でもあまり驚かないかなぁ」
「私も魔人なのはわかってたし驚かないよ」
まさかの返答に私が驚いてしまった。
どうしてばれたの?変な格好はしていなかったはず
「どうしてわかったんですか!?私言ってませんでしたよね?」
「種族特有のオーラが見えてからかね」
「私もフィンも色んな所を旅もしたからね、オーラとかで大体の種族はわかるのよ」
種族特融の...オーラ??
私はそんなもの知らなかった、あの2人にはそれが見えていた。私が魔人だとわかっていて接していた。その事が私は信じられなかった、魔人だとバレれば恐れられると思っていたから。
「私のこと、怖くないですか?私魔人ですよ?」
別にこんな事聞きたいわけじゃなかった。もしそれで怖いなんていわれたら、きっと私は心を閉ざしてしまう。なのに聞かずには、いられなかった。
「私はルリちゃんが魔人でも、別に怖くないわ、だって友達だし何もされてないもの」
「魔人でも、私は気にしないよ~」
「俺も気にしないよ、それに魔人には前から興味があったから。色々教えてよ」
「見ての通り、ルリさんが魔人でも私達は誰も怖がらないわよ」
「それに魔人が恐れられていたのは昔の話で、今の時代にそんな事で迫害なんてしてる国なんてあれば、滅ぼされてもおかしくないからね」
彼等の言葉を聞いて私は泣いていた、魔人だとバレれば恐れられると思っていたのに、暖かく迎え入れられたからだ、私は初めて人間の優しさを感じた。
そして不思議と感謝の言葉が口から出ているのだった。
ルリ「受け入れられてよかった」




