食堂で
「ここ、空いてる?」
入寮の手続きと荷解きを終え、エルと寮の食堂で夕飯を食べていると
前の席の椅子をひきながら、緑色の頭をしたチャラチャラした男が声をかけてきた
「空いているよ〜」
俺の隣に座っているエルがそう答えると、そのチャラチャラした男は俺の前に座り、
ご飯をながら話し始めた
「俺はヴェルデ、よろしくね〜。そっちはルアルドとエルウィンだよね?
早速有名人たちに会えるなんて光栄〜」
見た目通りのチャラチャラした話し方で話しを続けるヴェルデにエルが反応する
「あれ、俺らってそんな有名?まぁエアストフ騎士団が管轄の中等部出身だから当たり前かー」
「ほんとあのエアストル騎士団に教えてもらったなんて羨ましすぎるわ
ってか、そのエアストフ騎士団の団長の娘も同い年で文学コースに入学だろ?
名前なんだっけ...セティアーナだっけ?お前らも仲良いの?」
「う〜ん、仲は悪いわけではないんだけどねー...」
何か言いたげな表情で俺の顔を見ながらエルが答える
「ふ〜ん。エアストル団長の娘なのに、武術コース進まないんだな〜
まぁ女は男に力で勝てないし、武術コース進んでも出世できるわけじゃないもんな
いいとこのお嬢様が武術コース進む理由はないか」
確かに女で武術コースに進む人も0ではないが、ヴェルデの言う通り武術コースを卒業した女の人たちは
騎士と言っても、基本武器の管理や食事管理などの後方支援に回ることが多い
それでも安定した収入は入ってくるため、家計を考え進学する人は一定数いるが、逆に言えば、
安定した収入以外の目的で、武術コースに進む女はいない。
だけど...
「そのお嬢様は俺よりも強いよ」
「え、なに??ごめん、聞こえなかったんだけど」
さっきまで黙っていた俺が急に声を出したため、ヴェルデは驚いた顔でこっちをみる
「いや、なんでもない。」
横でエルが困ったような、ニヤニヤしたような顔であ〜あぁと言いながら
空になった食器を持って立ち上がる俺を見ている
「え、ちょっと!なに!?俺なんかした!?」
そんな俺の様子を見て、ヴェルデは焦りながらエルに聞く
「ちょっと地雷をふんじゃった?...みたいな
ルアにとってその団長の娘さんは特別な存在ってことかな」
エルは相変わらず笑いながら答える
「えぇ〜...」