ぬこ様と教会
吾輩はぬこ様である。
前回は酷い目にあった。結局、馬鹿犬は何しに来たんだろう。キャラ紹介か。
「アナタはカミヲしんじますかー。」
「おう、俺は信じてるぞ。いつも猫神様がこの町を守ってくれてるんだぜ。」
「イエ、ソウデハナクテ。」
「なんだよ。ほら、この町を見てみろよ。至るところに猫がいるだろ。猫神様への感謝で猫には優しくするのが当たり前だからさ。」
「イエ、シュを」
「おう、すまねえな。仕事に行かねえと。」
あれ、見慣れない奴だな。神父、司祭、牧師どれ。河童はハゲはザビエルはどれだっけ。そう言えば、この町、教会なかったな。宣教師か。
「ガッデム。この町の住民はどいつもこいつも神を蔑ろにしやがって、土着の悪魔に取り憑かれたクズどもが、何が猫か。あんな、魔女の使い魔なんぞ大事にしやがって。」
いや、ガッデム(神は地獄へ落ちろ)って。ブーメランかな。カレーにはリンゴと蜂蜜かな。
「ふうー。とりあえず、まずは領主に着任の挨拶に行こうか。手紙や先触れで連絡した通り、ここで布教するにあたっての協力を取り付けないと。教会についても、本部からの連絡で用意してくれているはずだから、場所についても確認を。」
ふむ、なんだか不穏な奴だし、様子を見ておこう。
・・・・
「これはこれは、遠路はるばるお越し頂き、ありがとうございます、ローラン司祭殿。」
「初めまして、どうぞよろしくお願い致します。ワーナー伯。」
「早速ですが、教会本部からの要請通り教会となる建物は用意しておきましたので。」
「ありがとうございます。これで勤めを果たせます。しいては、炊き出しや孤児院、住民への文字の学習などの活動も行ってまいりますので、どうか御協力のほどを。」
なぬ、早速山吹色のお菓子の要求だと。猫に小判と言いたいのか読者は。
「そうですね。定期的な寄付と孤児院には補助金を支給させて頂く予定ですので。」
「ガタッ」袖の下ちゃうんかい。
「うん、何奴。」
あっ、バレた。
「にゃっ、にゃーー。」
「なんだ猫か。」
あっ、領主と目があった。にゃんだにゃ。吾輩は悪いぬこじゃないにゃ。プルプル。
「そっ、そうですね。猫ですね。」
「そう言えば、この町では猫が多いですね。」
「えっええ。まあ。」
「しかも、猫神ですか。国教である我らの教会とは異なる邪教を信仰していると・・・。」
「ああ、猫神ですか。あれは初代様が飼っていた猫の俗称ですね。猫が多いのも、初代様にあやかって猫を大事にしようと町の皆が共有してるだけで、特に宗教的な何かではないですぞ。」
「ふむ、そうですか。では特に問題はないですかな。」
それって、原始宗教じゃね。一神教の教会としては問題多ありじゃね。邪教認定で吾輩も邪神とか悪魔認定ものじゃね。いや、知らんけど。
「では早速ですが、教会に移って布教活動させて頂きますね。」
「ええ、どうぞよろしくお願いします。」
その後、ローラン君は一ヶ月頑張ってたらしいんだが、吾輩はほとんど忘れてた。今日は教会で猫の集会に顔を出したのだ。そう、神社に集まるのが猫。夜は墓場でお昼寝だ。
「ガッーーデム。どいつもこいつも、ねこねこねこって誰も話しも聞きやがらねえ。クソっ、期待されて今まで一向に布教が進まないこの地域に派遣されたはずが。クソっ、通りで誰も行きたがらないわけだ。これじゃ、左遷と変わらないじゃないか。」
やだ、荒んじゃって、傷だらけの司祭。相変わらずの神を恐れぬブーメラン使い。もはや感激。
「ニャーニャー。」
「クソっ。猫しか寄り付かねえじゃねえか。」
「ニャーニャー。」
ほれ、お前らも。ローラン君慰めてやってくれ。
「「「ニャー。」」」
「クソっ、猫しか猫しか俺を相手してくれない。くそっ。」
「「「ニャーニャーニャー。」」」
「よるな。馬鹿にしてんだろ。お前ら。」
猫に何期待してんの。人間社会の優劣なんぞ知らんぞ。
「「「ニャーニャー。」」」
「クソ。クソ。あったかい。猫臭い。」
『なでなで』
「クソ、泣くもんか。泣いてたまるか。グズっ。」
そう言うと、猫を抱いて撫でながら一人涙を流すローラン君。よく頑張ったんやで。君は悪くないんやで。吾輩達の人気が悪いんやで。可愛さは罪。
・・・・さらに一月後。
「あの、魚貰えませんか。猫が好きそうな。」
「おう、神父様。なんだ、あんたも猫好きか。」
「ええ、とっても。猫は可愛くてたまりませんね。こう抱いてお腹とかの匂いとか嗅ぐとホントたまりませんね。書き物してると構って欲しそうに、邪魔してくるのすら、愛おしい。悔しい気もしますが、もう夢中です。」
えっ、猫のギャランドゥに。
「はっはっは、あんたも猫好きな俺たちの仲間だね。」
「ええ、猫は最高ですね。」
「やっぱ猫神様がいいよな。」
「ええ、猫神様ですよね。」
ミイラ取りがミイラになる。朱に交われば赤くなる。猫好きは最早宗教。
本日の吾輩は、猫も杓子も猫派に変える やばいもっとキャット教団 教祖というか御神体 十字架を背負った宣教師すら猫愛に染める アニマルセラピストのニャンニャンである。
やばいもっとキャット教団
YEAH MORE CAT ASSOCIATION