お犬様とぬこ様
吾輩はぬこ様である。
「たーま。」
「違いますわ、ジョセフィーヌですわ。」
「ワン。(ふっ、久しぶりだな。)」
うん。おい、家来よ餌だ。はよ寄越せ。はよ。
「にゃふーん。(今日はなんだろうな。)」
「キャンキャン。(おい、無視するな。)」
「にゃはにゃは。(今日のご飯はなんだろなー♪)」
「キャンキャン。(おい、こら。)」
「ねえ、タマ。その子知り合いなの。ここにくる時に着いてきたんだよね。さっきから構って欲しそうにしてるよ。」
えっ。なんかいたっけ。ああ。これか。
「にゃう。(いいから、飯。)」
「バウバウ。(おい、こら。)」
「はい。ふたりで仲良く食べてね。」
ふたり、二匹でだと・・・
「ぎゃふうん。」
「にゃんにゃん。(ふっ、悪は去った。)」
「えーー。なんでそこで猫ぱんち。」
吾輩の食べ物を奪うものは死すべし。
「くうーん。くうーん。」
「可愛いーー。」
馬鹿な、吾輩がここにいるのに。
「わんわん。(よし、勝った。)」
「にゃん。(猫パーンチ)」
「ぶふぁうん。」
悪は滅びた。
「たまーー。こらっ。意地悪する子にはあーげない。」
「にゃにゅ。」
「はい、ワンちゃんにあげるね。今日はね、昨日の晩御飯の残りの肉じゃがだよ。」
バシィ。猫パンチ。
「ニャニ、にゃんにゃにゃにゃ。(何考えてんだ、殺す気か。)」
ばっきゃろー。いくら、高騰して来年の二倍(2022年現在)するとはいえ、玉ねぎを吾輩に食わせるつもりだったのか。まさか家来に裏切られるとは、孔明の罠それとも巧妙な罠か。
「あっあー。たまーー。悪い子だ。」
毒だぞ。猫にとっての毒だぞ。食えるかたわけ。
「にゃんにゃ・・(もういい、それはそうと犬神よなんのよう・・・)「わふう。(うまうま。)」にゃにー。(食ってんじゃねえ)」」
「ワンちゃんは偉いね。」
えっ、犬なのに馬鹿なの。死ぬの。
「ふっふっふ。ジョセフィーヌに断られたわねアリス。やっぱり駄目なのよ、あなたのところの貧しい食べ物じゃ。」
「ええー、じゃあジョシーちゃんは何持って来たの。」
「ふっふっふ、これよ。お父様が遠方より輸入した高級新作お菓子。」
「うわー、いい匂い。」
「いいでしょ。あとで少しアリスにもあげるわね。」
「わーい、ありがとう。なんて言うお菓子なの。」
「そう、カカオたっぷりのチョコレ・・『バシィ』あっあ・・・」
ブルータスお前もか。お前もなのか。まさか飼い犬に手を噛まれるなんて。いや、飼い主の子孫に噛まれるなんて。
「ワンワン。(これもうまし。)」
「キシャー。(馬鹿野郎、吐け早く吐けー。)ニャアニャニニャウ。(ネコ目猫科の吾輩とネコ目犬科のお前にとって、ネギとチョコレートは致命的だ。)」
「ワウン。(いや、大丈夫だって俺も別の街で犬神と祀り上げられるように、お前と同じく最早別種族と言えるほど、変異した生き物だし。)」
「ニャ。(えっ、マジ。イケるの。)」
「ワン。(いいから、食ってみろって。どっちも美味いぞ。)」
「ニャニャニャ。(ええー。しょうがないな。ちょっとだけ食べてみようかな。えいっ。)」
うまーーい。えっマジで美味い。クソっ人間め、こんな食べ物を一人占めしてやがったのか。
「ワン。(食ったな。)」『ギュルルー』」
うん、お腹の音。えっと下痢かな。
「キャン。(ポンポン痛い。)」
「シャアー。(謀ったな。)」
「キャンキャン。(ふっふっふ、道連れじゃ。騙される方が馬鹿なのだよ。)」
ギュルル
「ニャフン。(駄目だ。キタキター。おなか痛い。)」
「きゃあー、ワンちゃんタマ、大丈夫。」
でえじょうぶじゃないだーー。
その後、二頭とも三日ほど下痢が続いたが、なんとか復調した。普通の犬猫ならやばかった。みんな、動物飼う時はちゃんと調べて飼うんだぞ。人間の赤ちゃんの蜂蜜とかも駄目だからな。
本日の吾輩は、毒 (玉ねぎ)毒 (チョコ)と生死を懸けた変態ニャンニャンである。