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領主と猫

ここを登り切ったら見えるぞ。

「ニャー」

「うわー、こんなところ初めて来たわ。もう、城壁の近くね。あれ、人が集まってるわね。」

そっ、あそこが目的地。

「あの穴が開いてるところを直してるのかな。」

さて、どこにいるかな。おっ、流石に目立つな。


「どこ見てるの。・・・お父様、お父様だわ。お父様ーーー。」

周り見て走らないと転ぶかぶつかるぞ。

「ニャウニャウ。」

「うん。ジョシー、ジョシーじゃないか。どうしたんだ。こんなところに。」

「お父様ーー。」

「おっと。」

親子の抱擁シーン。いやーえがった。えがった。

しかしジョセフィーヌって、自分の名前から来てたんだな。

「よく、ここがわかったな。・・・うん、付き人はどうした。」

「あれ。そう言えばいない。」

「なんだ、気づいてなかったのか。そもそも、どうやってここまで来たんだ。一人で今日の仕事の場所は教えていなかったし。」

「えっとね。ジョセフィーヌにここまで連れてきてもらったの。」

「ジョセフィーヌ?」

「ほら、あそこにいるでしょう。あの猫よ。どうして、あの子この場所がわかったのかしら、迷いなくここまで連れて来てくれたわよ。」

そりゃ、領主は壊れた城壁修理は急いでしないと駄目だからね急な仕事がってことなら陣頭指揮取ってると思ったのよ。あそこの壁は一昨日に吾輩がぶっこ・・・・ゲホンゲホン。そう、一昨日壊れてるのを見かけてね。

「オーマイガッ。」

欧米か!なんだ、急に頭抱えて、ハゲる・・・・いや、失敬失敬。



「ジョシー、この猫・・猫様がこちらまで。」

「猫様?」

「そうだな。説明も必要だが、まずは、ご挨拶を。

猫様、ご機嫌麗しゅうございまする。この度は娘がご迷惑を。」

「にゃふん。」よきにはからえ。頭が高いぞ、もといヅラが高いぞ。えっ違う。こりゃまた失敬。

「猫様、猫様。えっ、ジョセフィーヌが猫様なの。」

そうです。吾輩が猫様です。脱糞だ。は作者の家の花壇でします。(やーめろ。)

「そうだ。この(クソッタレ)があの猫様だ。初代様の飼い猫で数百年を越えて生きている化け猫だ。」

誰が化け猫だ。猫パーンチ猫パーンチ、もひとつおまけに、猫パーーーンチ。

「だから、頭に触れるな。昔からお前のせいだぞ。これ以上抜けたら呪ってやるからな。」


吾輩のせいではない。家系のせいだ。昔、飼い主だったお前の先祖に叱られた時に、末代まで毛が抜けるように呪ってみてから、抜け出した気もするけど、吾輩の知ったことではないわ。


「お父様、大丈夫よ。爪は立ててないから怪我はないわ。」

「ニャー(毛も)」

「しかし、一人で来るとはなあ。侍女はどうした。」

「あら、そう言えば。」

「ふむ、危険・・・でもないか。」

「お父様、ごめんなさい。彼女が悪いわけじゃないの。私が猫様に着いてきたせいで。」


「ああ、どうせこいつが着いてこさせるために、意識を誘導したんだろう。今のこの姿ですら、本当の姿がわからないように無駄に高等な魔法だか、妖術だかで偽ってるらしいしな。大きさなんかも変えれるらしいが。だから、侍女についてもお前についても責めることはないな。」

「にゃんにゃんにゃ。(なんのことかな。)」


吾輩しらなーい。そんな、着いて来ないと面倒だから、素直に着いてくるようになんて。


「そうなの。でも、ちゃんとお父様のところまで連れてきてくれたし。」

「こいつがいて、この町で危険はないだろうが、普段は一人で動いてはならんぞ。」

「はーい。それはそうと、お父様の急なお仕事って言うのは、この城壁だったのね。」

「ああ、一昨日の夜に急に崩れたらしい。・・・何か知りませんか。猫様。」

「なう、にゃんにゃうにゃ。(ノー、知らないにゃ。)」


知らないにゃ。そんな吾輩が帰る時に面倒だから城壁突っ切って、ぶっ潰したとかそんなことあるわけないにゃ。


「知ってますよね。と言うか、お前だよな。これ壊したの。」

「ニャんにゃにゃにゃにゃ。(なんのことやら。)」

「これ、いつもお前が無理矢理通る時の大きさなんだが。バレないと思ってるのか。」

「ニャふ。(ワタシ、ニホンゴワカリマセーン。)」

「おい。」

バカな、外国人のふりが通じないだと。くっ、ここはもう一つの手段。

「ナウナにゃふにゃうにゃ。(アイムザパニーズ)」

「猫撫で声で誤魔化すな。」

悪いことした時はザパニーズって言うんだ。が、駄目だと。クソ・・・・。反省のポーズ。

「肩に乗ってまで、頭に前足載せるな。」


そんなつもりは毛頭・・・もとい毛先ほども・・・もとい毛根ない。

「やったのはもういいとして、直してもらえませんか。これ。工事費も大変なんで。」


わかったよ。

「何この手。」

「ニャ。(えーさ)」

「餌じゃない。」

「ねえよ。お前が壊したのに。」


なぬ。タダ働き・・・だと。しょうがない。今回だけだぞ。次は用意しとけよ。吾輩のミスもあったから、今回だけだぞ。


「ニャー」

「うわ、すごい瓦礫が浮いたわ。」

オラオラオラオラオラオラオラ。

「すごい、すごい。猫様すごーい。」


よし、完成だ。

「いや、すごいけど。雑。瓦礫と土で埋めるにしても、瓦礫飛び出してるし。強度も足りないでしょ。」

「にゃんにゃにゃ。(なんだと)」


ええー面倒だし。いいじゃん。風情があって。こうクラシカルな廃墟チックで。モダンな現代アートっぽくって、ハイカラでナウでイケてるでしょ。まあ、モダンって意味わからないんだけど。

ああ、モダン焼き食いてえ。


「もう少し、ちゃんとしてくれません。」

「にゃににゃ。(なにうぉー。)」


しょうがない。仕方がわからないが、まあ適当に。

ズバッと、飛び出た瓦礫を切り落として。はい、土を焼いて硬くします。

「あっつ。」


あとはこの瓦礫溶かして、溶かしたのでコーティングしとけ。


「おおっ。ツルッとした表面でこれなら城壁として、手をかけて登るのも難しそうですね。冷えれば強度も石と変わらないでしょう・・・って誰がつるっぱげじゃ!」


ツルっとハゲが滑った〜後ろも正面もは〜げ

よく滑る作者のギャグみたいな、学生さんの前で滑り芸を披露するなんて。オチもイマイチ。ふむ、モウコン後はハゲんで欲しいですね。


「おお、カミよ。どうして我を見放したもうたか。」


神に祈るなら、新年がいいと思うよ。


その心は・・・・


初詣でお祈り。


あっ、お後がよろしいようで。


「猫様、すごーい。」


そうでしょ。この無駄な方向に発揮される日本語力。

今後とも吾輩の活躍をお祈り・・・すんなハゲ。殺すぞ。吾輩がこれまでどれほどお祈りされたか。学生さんならわかってくれると信じてる。どうせなら神に祈って神籤にせえや。それなら、何回お祈りされても応えないのに。


「あの短時間で、穴が塞がったわ。すごいすごい。」


あっ、そっち。やだわ。穴があったら入りたい。塞いだばっかりだけど。


「こらこら、いきなり壊そうとするな。」

「お父様、これで急ぎの仕事は終わったのですよね。」

「ああ。しかし、この二日で溜まっ・・そんな顔をするな。」

「なーーー。」

「わかった。明日、一日はなんとかしよう。それで今回の埋め合わせに買い物に行こう。」

「ふふーん。約束だよ。今度こそだよ。」


わかった。明日一日は気をつける。


「猫様、ありがとう。猫様のおかげで明日は行けるようになったわ。」

「そもそも、そいつのせいだけどな。」


えっ。にゃんのことなにゃ。吾輩は知らないにゃ。今回のは貸し一つだにゃ。じゃあ、そろそろ用事も済んだし行くのである。

「猫様、言っちゃうの。ありがとう、バイバイ。」

「猫様、もう金輪際壊さないでくださいね。」

毛根臨在しないように、ハゲんでイキたい。


「ああん。手前の毛もむしり取るぞ。いい加減にしとけよ。」

ふっ、嫉妬か。嫉妬か。嫉妬だな。クソ野郎だけに。


「猫様、行っちゃったね。ねえ、お父様そう言えば、わたしはジョセフィーヌって名前つけたけど、お父様はつけたりしたの。」

「ふむ、そう言えば私も小さい時につけたな。確か・・・フランソワーズだったかな。」


親子。ザッ親子。

「なーーー。」


ふう、今日は疲れた昼寝だ昼寝だ。


本日の吾輩はジョセフィーヌである。

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