ダンマス
「みなさーーん。お元気ですかーー」
「マスター、どうしたんですか。ここまで来るなんて」
そっちかーーい
「あっ、ちょっとそちらの方々にお話しが」
「マスターさん?ですか。私達になんのようですか」
「えっとですね・・・その・・・」
「落ち着いてください。別に私達は怪しい・・・猫はいますが、このダンジョン探索に来ただけですので」
「その・・・」「深呼吸してくださいマスター」
「すーはー、すーはー。」
少し、深呼吸して落ち着いたのか、吾輩をチラチラ見ながら動いたかと思うと・・・
「お願いします!どうか、このまま帰ってください。お願いします」
と土下座をしながら宣った。
「あっ頭をあげてください」
頭頂部が見えてますよ。
「大丈夫です。もうこのアパートからは出ていきますから」
「いえ、違うんです。そうじゃなくて、このダンジョンから帰って欲しいんです」
「ダンジョンですか?えっと、どうしてですか?あなたにご迷惑はおかけしないですよ?ダンジョン攻略してるだけですから」
「攻略されたら困るんです。」
「???」
「私がこのダンジョンのダンジョンマスターなんです。」
「えっ?あなたがダンジョンマスター・・」
「はい、私がダンジョンマスターのタマブクロ・カユーミです」
「タマブクロ・・・カユーミ・・・えっ?本名ですか?」
「あっ、前世のハンドルネームです。前世の名前は玉城と申します」
「もしかして、ダンジョンマスターに転生ですか?私も日本人で持金と申します」
「あなたも日本人ですか。よかったお願いします。ダンジョンを完全攻略されると死んじゃうんです」
よし、完全攻略目指して進もうか。
「へえー、タケシと同じ国から来たんですかカユーミさんは。でもカユーミさんって言うからおん「ニャー!(ダメだ、それ以上は言っては!)」うわっ、びっくりした」
全く死にてえのか。死亡フラグは避けるもんだろ?
「もう、猫様。急に大きな声出さないでくださいよ。」
そのない胸に納めておきなさい。
「そうそう、カユーミさんって女の人みたいな名前・ひでぶーー」
必殺ネコぱーーーんち!
「ニャーー!(女だから何言っても大丈夫と思ってる幻想は吾輩が撃ち砕く!この右前足で!」
「あっ、そこはやっぱり右腕なんですね」
「にゃん?(男女平等パンチは右ストレートに決まってるでしょ?)」
まったく、そんな当たり前のことを。
「だっ?大丈夫??うわっ、痛そう。気絶してる・・・えっ?息、息してない。息してない!」
くっ、遅かったか!もう死亡フラグが!
「いやいや、犯人あんた」
「ニャー?(うそーーん?)」
「猫様、治療!治療お願いします、早く死んじゃう」
聖女よ。死んでしまうとは何事か。そのない胸に納めておけばこんなことにはならなかったのに。くっ、若い
身空で、かわいそうに。中世ヨーロッパ風にふさわしい洗濯板で脇毛、臑毛ボーボーで髭すらうっすら産毛があって、風呂にも入らないからホームレス臭がするそんな身空で。
「ニャー(うぐっ!アッアイアンクロー!)」
「おい、クソ猫!私の胸には夢が一杯詰まってるんだよ。で?誰がムダ毛で臭いって?ファンタジーの女の子はムダ毛は一本もないし、フローラルな香りがするんだよ。わかったか!」
「ニャー(はっはい)」
「全く、次はねえぞてめえ」
怖いよーー。なんで、こいつらツッコミのためなら心の中読んでくるの?
「よっよかった。生き返って」
「えっ?ワタシ・・・どうしたんでしたっけ?」
「よかった?ですね、助かって」
「ええ」
「それで、さっきのお願いなんですが。あっ、出来る限りのお礼は致しますので」
お礼・・・
「ニャー(ねえねえ、インキンタムーシ?)」
「えっ?名前間違えてるし、しかも意味分かってて、さっきのあのツッコミしたの?」
「ニャー(そんなのいいから、お礼だよね?)」




