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髪は永遠の友達

吾輩は猫である。

今日はこの世界の髪型について説明をしよう。

理由は特にない。


さて、一応中世ヨーロッパ風ファンタジーであるが、100均でハサミが売っている現代と違い、完全手製で噛み合わせを調節したハサミなどは超高級品であるため、髪切りなどは一部の特権階級のみであり、大体伸ばしっぱなしである。そう、その結果がヒミコ様ーーー!のあの髪型よ。


そう、ボブがボブであるためには切り続けなきゃならない!

ボブの中のボブ。ボブの星になるのだ!わかったかい、ボブだよ、ロブはダメだよ。ロブの星になったらただの海老だからね。


「あの?猫神様?何故先ほどから私の部屋のベットで飛び跳ねながらニャンニャン騒いでるのですか?」

黙れハゲ。今は髪の話の途中だ。ハゲになんの関係があると言うのだ!


理由はない。ニャンニャンは猫撫で声でベットを軋ませる使命感に駆られただけである。なんぴとたりとも、吾輩の行動を支配はできないのだよ。

「あの?窓ガラス割ろうとしないでくれません?大体この槍はどこから持ってきた。と言うか、普通の猫サイズのままよく持ってきたな」

バイクはなかったので、代わりに槍をば。


おっさんもお姉ちゃんも長髪。枝毛の上にほとんど髪は洗わないで油と汚れで匂いもきつい。そんなファンタジーがいいかーーー!

道はうんち、残飯だらけのファンタジーがいいかーー!豚が徘徊する街がいいかーー!

ばんきゅっぼんのイケてるトランジスタグラマー(死語それも一段階上を行く古さ)どころか、骨皮筋衛門(死語パートツー)で肌はボロボロ、髪はウンコ塗れそんなヒロインがいいかーーー!

おっさん全部、ロン毛で汚れだらけ髭ボーボーで空中浮遊できそうで、パンとワイン片手に登場するのがいいかーーー!

誰も得をしないのだよ。歴史に忠実な中世設定なぞ。


髪型の話だったね。まあ、別に我輩は髪型とか気にしないから描写しないから適当に想像しておくれ。

「だから、何しに来たんだって聞いてるだろうが、このクソ猫。さっきから頭をペシペシと」

「ニャー(うっせーハゲ)」


うん?誰か来たぞ。

「あなた寝室なんかで何をしてるの・・・あら、かわいい猫ちゃんね」

「偶然見かけてね。出て行ってもらおうとしてたところだ」

「いいじゃない、そのままで」

「冗談かな?」


冗談ではない。

「あの、降りてくれません?」

しゃあない降りるわ。

ズゴーーー。

くっ!危ない。

毛がないから滑るなあ、怪我なくてよかったあ。

「あなた大丈夫。結構ざっくりと爪痕が」

「大丈夫かな。痛いけど、まあ大したケガではないよ」

大してケガないだと。禿同。


「た・・・ジョセフィーヌ?どこ行ったの?」

あっ、家来2号だ。

「あっ、お父様お母様。ジョセフィーヌここに居たのね。勝手に着いてきて、勝手に何処かに行って。もう」

だって、槍とベッドと窓ガラス揃ってるの領主の屋敷だけなんだもん。君が小さい、子守唄聴いてる頃からチェックしてたんだ。みんなのリクエストに涙を持ってお応えするために!

そう言えば、いつから不良の代名詞のチェックシャツは、お母さんが選んで買ってきてそのまま切るようなどちらかと言えば陰キャの代名詞になったんだろうか。チェックと言えばヤンキーだったよね?


「あら、この猫あなたが拾ってきたのかしら?」

「ううん、猫が・・・勝手に着いてきたの」

「でも名前」

「友達と街で餌をあげてたのよ、で私はジョセフィーヌって呼んでるわ」

「センスがお父さんそっくりね」


そうだそうだ。禿同。

(ジョシー、猫様を早く連れて行ってくれ)

(わかってるけど、言うこと聞いてくれないわよ)

そう、本日のコンセプトはヤンキーだからなんぴとたりとも吾輩の道は邪魔させぬ。それが雄の勲章。大体、あんたこの娘のなんなの?母親?ちなみにここは港の横。


「お館様ーー。あっ、ここに居ましたか。」

「どうした、ロベルト?」

「何かあったのかしら、ねえボビー」

「えっ、何?何があったの?ロブ?」

何があったんだいロバート?


ん?意味がわからないだって?山根君がサンコン、山村君がサンソン、若村君がジャクソン、梅村君がバイソン、梅田君がウメちゃんになるのに比べたら、まだわかりやすいはず。


「・・・・はっ、ディラン伯爵の先触れがいらっしゃいました。近日中に伯爵閣下と夫人が祭りに参加するために来訪なされるとのことです」

「そうか、ありがとうロベルト。すまぬがそのまま家のものに準備を進めるようにと説明して回ってくれないかな」

「はっ。」

「じゃあ、頼んだよ。ロベルト」

「あの・・・お館様。その・・・申し訳ないのですが、私の名前はトーマスなのですが・・・」

「っ!これはすまないトーマス君、もう忘れないように覚えたからね」

「あら、ごめんなさいねトミー」

「私は知ってたわよ。トマス」

トム・・・ネズミとりなら負けないぞ?

(こいつら絶対次会った時も間違える気だ)

みたいな顔しながらも、仕事に戻るロバート君。


「そうか、今年も祭りの時期だな」

「ええ、準備は進んでいるわよ」

「楽しみだわ」


では、吾輩は話し込んで気が逸れてるから、バレないうちに逃げるね。


さて、本日の吾輩はベッドを軋ませて猫撫で声でなくニャンニャンである。

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