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難破船

「海賊だーー。海賊船が来たぞー。」

「なんだって、兵隊さんよんでこーい。」


やめて、寝かせてこんなまだ夜も開けきらないうちに。


そして、集まる海兵隊。騒がしくなる野次馬。

「上官。あれが海賊船とのことですが・・・見る限り難破船でしょうか。」

「いつの時代のものだろうか。中の様子を見たい。ボートを出せるか。」


どうしてもニャンコとしては海兵を見ると服を脱がせないといけないと使命感に駆られるのだが、例え後ろ指を差されることになろうとも。むしろ望むところなくらいで。

えっ?どうしました。そんな鬼のような形相で。鬼面でもつけたんですか。一同礼を持って謝罪しますので、怒らないでくださいな。


あけぼのに昔は栄えたと思われる豪華な難破船が現れる。海賊乗ってるのかな。うーん、海兵側に機関銃はないのだろうか。まあ、乃木将軍なら丘の上の機関銃ごとき坂を駆け上がって銃剣突撃で蹴散らしてしまうのだが。被害甚大で責任を取るために自害なされましたが。


「船用意出来ました。」

「どうやら中に人がいる様子はないようだ。3隻に分かれて乗り込み、あの船に接舷せよ。」


えっと、吾輩も行かないとダメ?ほら、もう明るくなってきたし日向ぼっこしながら寝てちゃダメ?えっ、読者の期待に添えって。くそう。


「えっ、猫ちゃん。乗り込んだらダメですよーー。」

「にゃー。」

「ほら、降りてね。」

「にゃー。」

「くっ、可愛い。」

「おい、何をしておるか。そちらも船を出せ。」

「はっ。」

「しょうがない。じっとしてるんだよ。」

「ニャー。」


よし、任務達成であります。

「よーそろー。ふむ、ここから見える限りやはり人はいないな。接舷急げ。」

「オーライ、オーライ」


よし、いまだ。

「あっ、猫ちゃん。」

ふっ、フライング気味だが一番乗りゲットだぜ。

よし、探検だ。どこから行こうか。そうだ、まずは舵を見に行こう。


しかし、大分古いな。あちこちボロボロで。船首方向だよね。おっ、ここかな操舵室。

鳥齧一杯。焼き鳥で。

うん、人が・・・嫌。返事がないただのしかばねのようだ。

「にゃんにゃいにゃー。(なんまいだー。なんまいだー。)」

「呼んだーー?」

「ニャン。(呼んでない)」

「もう、い、け、ず。」

それは置いといて、えっと船長かな。それっぽい服装だし、何か書いてる?航海日誌かな。

『○月○日、ついに私にもこの病が現れた。船員が何人も原因不明の出血を繰り返し、何人もが命を落とした。私もどうやら同じ病のようだ。これほどの伝染病が船に蔓延するとは、もう船を動かせるだけの人員すらおらず、寄港できるような陸地すら見えない。おそらく私もこのまま死ぬのだろう。妻よ、先立つ不幸を許したまえ。』


ふむ、壊血病かな。ちゃんと果物積んでなかったのかな。

「カタカタ」

「ニャン?(お菊さん、なんか言った?)」

「私じゃないわよ?」

「カタカタカタカタ」

・・・うん?骸骨動いてる?

「ニャーーー!ニャンニャンニャー(なんまいだーなんまいだー)」

「呼んだ?」

せやから、くどいて。静かにしてて。

「カタカタ」

「あら、あなた可愛いわね。」

「カタカ・・・ガタガタガタガタガタガタ。」

あれ?何か震えてません、あの骸骨。

「ニャー?(どうしたの?)」

「どうやら、私に怯えちゃたみたいで。まあ、伊達に400年も悪霊やってないからね。」

あっ、こっちの方がヤバかった。

「いや、あなたも何百年も化け猫やってるのに。」

あっ、そうでしたね。

「もう、そんな借りてきた猫みたいにしてないで、どうしたのよ。船長さん?」


お菊さんの通訳によると、妻を1人残したことが未練で成仏できなかったらしいです。

「ふむ、あなたの奥さんとっくに成仏してるわよ。」

「ガーン。」

「早くあなたも成仏すればいいじゃない。えっ、もうやり方がわからないって。うーん、猫ちゃん。」

ほっとけばいいじゃん。って睨まないで、あなたの顔怖いの。番長でしょ、あなた。


「カタカタカタ。」

「夜露四苦。だって。」

番ちょーーーう。

では、まあやりますよ。

「にゃーーーー!」

いつもの吾輩のなんだか不思議パワーに包まれた船長さん。天にも昇る気持ち良さで昇天していき、足元に崩れ落ちる骨。

「快感。」


やめろや。おっさん。捨て台詞それやめろや。大体、女番長はこの悪霊やろが。


「ふう、とりあえずよかったわね。じゃあ、私は帰るわね。」

吾輩もなんか疲れたから帰る。

「じゃあね。」

「ニャー。」


もう疲れた。早く日向ぼっこだ。お昼寝だ。


本日の吾輩は

急にモッコリを突っ込まれ、怒りに震えてナンパしたオッサンを昇天させた変態ニャンコである。

敢えて言わなくてもストーリー的には特に意味のないお話。

作者は世代的にはモー娘。世代なので実はどっちもよくわからない。まあ、モー娘。も全然だけどね。

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