ぬこ様、海の底に招待される
吾輩はぬこ様である。
今日は港でゴロゴロである。
「今日も来てんのか。どうだ、残り物だがいるか。」
「ニャー。(流石です。おっさん、海の漢カッコいい。)」
うまうま。
「ほんと、美味しそうに食べるな。」
「おーい。」
「うん、どうしたーー。」
「向こうに人魚が出たってさ。」
「はあ、人魚?」
「おう、見に行こうぜ。」
人魚。また、出たの?ワンパターンだな。作者。こう胸躍る戦闘シーンとか書けないの。まあ、ぬこ様強すぎて、苦戦とかしないけど。
「ニャー。」
「あっ、いたいた。この間のねこーー!」
なぬ?吾輩。猫違いでございやせんか。
「ほらほら、この間捕まったり、クラーケンもらったりした。」
ああ、泡ひ・「やめろ。」
「ニャー。(わかった。)」
「はっ、速え。まさか人魚が陸に上がってあんなスピードで。」
ふう。怖い怖い。で、クラーケンの時の、あのイカく・「おい、こらてめえ死にてえのか。」
「速え。と言うか猫はなんで凄まれてるんだ?」
痛い。アイアンクローはやめて。
「ニャー。(それより、なんのよう。)」
「ふう、もうやめろよ。それで探してた理由ですけど、助けてもらった相手をおもてなしするから、連れて来いって指示されまして、今日はこうして訪ねて来ました。」
「ニャウ。(よし、面倒だから帰るね。)」
「あの、連れて帰らないとみんなに怒られるんです。どうか、私を助けると思って招待されてください。」
いや。
「ああ、行かないで。魚いっぱい用意して、みんな宴会の準備もしてるんです。」
よし、いくぞ。早くしろ。この野郎。
「えっ、急な態度の変化ですね。気が変わらないうちに行きましょう。」
「おおーい。猫大丈夫かー。」
「ニャー。(OK。)」
さて、浦島太郎だーー。
「いっちまったな。なあ、そういえば猫って泳げたっけ。」
「およ・・・げねえなあ。」
海。魚。海。魚。
・・・息・・・出来ないけど。亀さん助けて。
「あっ、忘れてた。陸の生き物って肺呼吸だったわね。」
おう、忘れてたじゃないわ。
『ニャー。』
ふう、これで息が出来るぜ。
「えっ、私が魔法使う前に自己解決した?」
エラはなくとも、エラバレた変態ですから。エラが張った変態でも、エラがバレた変態でもないからあしからず。
しかし、竜宮城に行くなら亀でしょ?どうして亀が迎えに来ないんだろう。・・・・わかったーー。人魚さんがこんにちはするのに忙しいんだ。亀のあた「てめえ、そんなに赤いザクロをさかせてえのか。」
馬鹿な、地上の三倍のスピードだと。
ノンノンノン。何も言ってないです。気のせいです。
「ったく。最近の猫はどんな教育受けてんだ。」
猫の教育?ニャンニャンの教育・・・・カリくらいかな。
・・・・ふう、セーフ。
「もう少しで着きますよ。」
おお、あれか。あれが竜宮城?普通の海底の岩場じゃない。
どう言うことだ。乙姫は?彦星は?織姫は?ベガにアルタイルは、七夕。
「あそこが私たちの集落です。」
WHY?シャボンズピーボー?
「すいません。普通の集落ですし、海の中で建物も何も作れませんので。」
タイやヒラメの踊り食いは?
「わたしたちとった魚は色々ありますので、どうぞお楽しみください。」
ひゃっほう。お魚パラダイスだぜー。
「あっ、来たー。そっちが例の猫ちゃん。」
「わー。猫さんが助けてくれたんだよね。ありがとう。」
「ぶもー。(わたし、ここにいるか?)」
なんだ。今の錯覚かな。海の中に豚がいた気が。・・・あれが本物の海豚かな?
「・・・・とりあえず、食事にしましょう。」
うん。気にせず、魚を食べるよ。
ふっふっふ、よりどりみどりの魚たち。じゅる・・・涎が海だと分からないだと。
「一杯食べてね猫ちゃん。」
「はい、あーん。」
・・・・
いや、堪能した。よかったよ。ありがとう。そろそろ帰るね。
「えっ、もう帰るの。全然お礼出来てないけど。」
あいしゃるリターン(おっ、おぼえてろよ。)
うん?違うな。おかしい。いや、マッカーサーの捨て台詞への意訳としては、正解だがここに戻ることになるな。
「じゃあ、しょうがないか。大したものは用意出来なかったけど、人魚の秘宝をあなたに。」
いらない。猫に小判だよ。
「えっ、いらないの。水の中でも呼吸が出来るように・・・えっ、ここまで自力で来た・・・じゃあ役に立たないわね。どうしましょう。」
「ぶもー。(玉手箱を用意したわよ。)」
ばしっ。そんなのいるかーー。ふざけすぎ。
「えっ、何この煙。えっ、水の中なのに煙。」
「きゃあー。」
あっ、蓋開いちゃった。
「みんな、大丈・・・おばあちゃんになってるーー。」
「ぶもー。(わたしも。)」
お前は知らんわ。
「えっ、なにこれ。猫ちゃん・・・は変わってないわね。どうして。」
百年二百年年取ったところで、変態は変態だから。
「どっ、どうするのよ。こんな、みんな一気に年寄りになって。」「ぶもー。(いやー。私の美しい顔がーーー。)」「おめえかよ。」
しょうがないなあ。可哀想だし。
『ニャー』
「うわっ、また煙が・・・箱の中に戻っていくわ。えっ、みんな戻ってるわ。戻ってる。」
ふう、煙だけ時間巻き戻したよーー。
「猫ちゃん、猫ちゃんよね。ありがとう、本当にありがとう。クラーケンといい何も恩返し出来てないようなものなのに。」
ええんやで、魚美味しかったし。じゃあ、帰るね。
「ありがとうーー。バイバイー。」
本日の吾輩は、「ぶもー。(私も帰るーー。)」てめえ、邪魔すんな。




