ぬこ様街を歩く
吾輩はぬこ様である。
今日も今日とて街を散歩である。
だがまずはご飯である。と言うことでやってきたのは市場。
「おう、クロ。今日も来たのか。今日は・・・朝飯の残りが少しあっから、食べていけ。」
「ニャー(センクス)」
もう少し味濃い方が好みだよ、八百屋のおっちゃん。
「ニャーン(ご馳走様)」
「おう、食べ終わったか。じゃあ、またな。」
「ニャーー(サラダバー)」
「古い。」
なぬ?渾身のギャグを。ってああ、並べる野菜の話ね。
さて、魚屋さんを梯子しよう。
「にゃにゃにゃ(さかな、さかな、さかなー)」
「待てー、この泥棒猫がーー。」
「ニャゥ(にげろーー)」
吾輩、まだ何もしてないよ。うん?子猫?
うーん、捕まえとこうか。ちょっ待てよ。
「フギャー(離せーー)」
「ニャーニャーニャウ(坊主、盗みは駄目だぞ。)」
「おっ、ミケ捕まえてくれたんだね。ありがとう。」
「ニャニャニャニャニャ(なんだよ、あんなにあるんだから、一匹くらいいいだろ)」
「ニャゥニャウ(バカもの、いっときはよくても)」
「ニャーー、ナーーー(ボウヤ、やっと追いついたナー様何卒ご容赦を、責任は私に)」
母猫か。別にとって食おうって話じゃないんだが。むしろ、食うならそうだな。あそこにいる、ネズミなんかを・・・はい、取ったーー。
「ニャ(スゴ)」
「ミケーー、いつもネズミ退治してくれてありがとうね。使い回しみたいで悪いんだけど、お礼にその子が持っていった魚、アンタにやるよ。」
「ニャーニャウニャーーー(とこんなふうに人間に害のあるネズミなんかを取ると、ご褒美が貰えたりする)」
「にゃーう(すごーーい、ネズミと魚に増えた)」
「ニャフ(わかったら、今度からは盗みするなよ。」
「ニャ、ナーーー(わかった、頑張ってネズミとる)」
「ミャウ(ほら、これはやるよ)」
「ニャ(えっ、いいの)」
「ニャ(やる)」
「ナーー、ニャ(ナーー様申し訳ございません。ありがとうございます。ニャウ(ほら、アンタもお礼)」
「ニャ、ナーー(ありがとう、ナーー様)」
「ミケ、アンタ優しいね。くれてやるのかい。じゃあ、怒れないね。まあ、もう盗まないで送れよ。今度やったら捕まえてぶん殴ってやるからね。」
「ニャー(今回は許してやるってさ)ニャウ(ほら、謝りな)」
「ミャーー(ごめんなさい)」
「あらあら、謝ってるのかしら。次やんないなら今回はこれで終いとしておくわ。ミケ、アンタにも一匹あげよう、ついといで。」
「ニャー(ぜひ!)」
「ナーー、ニャウ(すみませんでした。では、失礼します)」
「ニャウ(じゃあねーー。)」
頭をこづかれながら、母猫と共に去っていった。よし、これにて一件落着ーー。
「ニャニャニャ(さかな、さかな、さかなー)」
吾輩はぬこ様である。本日の名前はミケである。