泉のせい
吾輩はぬこ様である。
今日は鯛をゲットだぜ。静かに気持ちよく食べたいからいい場所ないかな。そうだ、池の近くにしよう。
とうちゃーーく。よし、ちょっと綺麗な水で洗おう。
ふう、ゴシゴシ。あっ、ちょっと流れてしまった。
待ってー。
・・・手、だれ。
「ワタシは泉の精。あなたが落としたのはこの普通の魚。それとも金の魚。それともこの銀の魚。」
「ニャ。(泉のせい・・。)ニャ(渡る世間・・)「ダメよ、著作権に関わるわ。」ニャー。(に鬼はなしってのは本当だね。ありがとう。)」
「「えっ?(にゃ?)」」
「ああ、そっちだったのね。早とちりしたわ。」
にや。
「ニャにゃう。(あの、カレーにはリンゴと蜂蜜として、シチューには何入れたらいいですか。)」
「えっ、知らないわ。」
「ニャウ。(次はどんなドキュメンタリー映画が出るんですかね。)」
「著作権の都合で言えねえよ。」
「ニャウ。(今日は肌の色は緑じゃないんですか。)」
「ゴブリンやオークじゃねえよ。」
「えっ、ちょっと待って。私のイメージ、西洋風美女からアジア風のおばちゃん顔にされてない?ちょっと、鏡どこよ鏡。あっ泉に映・・・らないじゃないの。自分の本体だから。」
「ニャニャ。(そんなことより、魚返して。)」
「そんなことより・・・こいつ、そんなことよりって言いやがったのか。」
「ニャ。(魚、返して。)」
「・・・・ちっ、やりますよ。仕事すればいいんでしょ。」
こいつ、逆ギレの上に舌打ちだと。
「ほら、金と銀と普通の魚どれよ。あんたの。」
態度悪いな。
「ニャ〜〜〜。(普通の金目鯛です。)」
「嘘をついたわね。金の鯛だなんて。全て没収よ。」
泉に沈んで逃げるな。
おいこら。
「痛っ。どうやってつかんでるのよ。こっちは実態のない精霊なのに。」
「ニャーーー。(キンメダイは魚の種類。金の鯛とか言ってない。)」
「なによ。知らないわよ。こっちはフィッシュ&チップスやビール、ソーセージ、芋しか美味しい食べ物がない文化圏。西洋風ファンタジーの存在よ。魚全てに漢字あてるような狂った民族と違って、一般人は全てフィッシュとしか認識してないわよ。なによ、ブリとはまちとカンパチとヒラマサが全部同じ魚って。」
「ニャ。(知っとるやないけい。)」
「なによ。カワハギが皮剥で方言でハゲとか知らないわよ。」
しっとるやないかい。
「ニャー。(とりあえず、ちゃんと普通の金目鯛って答えたんだから返して。)」
「わかったわよ。ちっ、正直者のあなたには、金と銀の金目鯛もあげましょう。」
「ニャー。(多すぎです。)ニャー。(ピン一個でいいです。)」
「クーリングオフは受け付けておりません。じゃ。」
ええー。いらないのに、不味そうだし。
鯛だ。怠惰。タイだ。紆余曲折あったけど、食べよう。
いただきまーす。うまうま。うまうま。
ご馳走様でした。
金が一体。銀も一体。この、金銀どうする。
がきっ。硬い。やっぱり、食べ物じゃないじゃん。
捨てよ。ぽーい。
「あなたが落としたのは、この・・・・ああー。捨てやがったな。なんで捨てるの!金と銀ってみんな好きでしょ。」
「ニャー。(猫だから。)」
食べれないものいらないのよ。
「だって、金よ銀よ。高く売ればいいじゃない。」
「ニャーニャー。(誰に。猫なのに。)」
大体、人間だって同じお金で食べ物と貴金属なら食べ物優先するでしょ。同じ金額なら食べ物のほうが遥かに価値あるじゃない。希少価値と投資的な価値だけで、現実的価値は食べ物が上でしょ。まあ、金も機械類に使うし、ダイヤモンドもガラス切りとかに使えるけど。ダイヤモンドは酷いね。人工合成出来るから小指大でも本当はそんなに高くないけど、投機的価値を下げないために、区別つかない天然物が高いことにしてるから。
「ニャ。(じゃあ帰るわ。)」
「こらー、持っていけーー。泉にゴミ捨てるなーー。」
本日の吾輩はエコじゃなくて、ネコである。
これ書くついでに調べたら、いつの間にか金さん銀さんのギネス超されてる。




