勇者 持金剛君
「へえー。じゃあ猫さんはずっとここに住んでて、猫神って呼ばれてるくらい、街では神聖視されてるんですね。」
そう。吾輩は悪い猫ちゃんじゃないんだ。プルプル。
あっ、勇者君が通訳してるんだ。さっきから。まあ、ボケは訳してくれないけど。
「で、猫さんは呪いについて覚えはないのですか。」
「ニャン(ない。)」
「でも、反応は猫さんなんだよね。じゃあ、今までに呪いとか使ったことは。」
「ニャーーー。(うーん。)ニャニャニャウニャ(強いて言えば、大昔に飼い主に怒られた時に末代まで禿げろって思ったくらいかな。)」
「うーん、それくらいじゃな。」
「あの、ここだけの話なんですが、今回の呪いなんですが、実はですね。その、ちょっと言いにくいんですが、その皆様髪が・・・あの。」
「えっ、そうなの。」
「あの、猫さんの飼い主ってどなたなんですか。ご領主様ですか。」
「ニャンニャウン。(今の領主じゃないよ。初代のヘーゲルワーナー。)」
「初代のヘーゲルワーナーが飼い主だって。」
「あの、ワーナー家の血族って、帝国にも入り込んでなかったっけ。」
うん。えっ、吾輩のせいなの。そんなの知らないよ。ヘーゲル君と喧嘩した時のあれのせい・・・えっ、あれのせいなの。そう言えば、歴代の当主全部禿げてるなーー。えーー、知らんがな。
「猫さん、もしかしてここの歴代当主ってみんなそうなの。」
「ニャー。(そう言えば、ハゲしかいないな。)」
「それにしても、長生きなんだな。猫さん。帝国の守護聖獣様と同じくらい昔から生きてるんじゃない。」
「と言うか、聖獣様も猫だよね。」
「猫さんがなんとか出来ないようなら、聖獣様に聞いてみる。念話で話せるし。」
「猫さん、とりあえず呪い解けないか試してもらえません。」
そもそもかけてる認識すらないんだよね。だから、無理です。
「無理ですか。じゃあ、聖獣様に聞いてみますか。」
性獣様も変態なのですか。
「あっ、聖獣様。かくかくしかじかで。あっはい。初代ヘーゲルワーナーの飼い猫だったらしくて、冗談半分で末代まで禿げる呪いにかかったらしくて。えっ、猫さんの名前。」
「なーーー。」
「あの、猫さん名前教えてもらってもいいですか。」
「ニャ。(だから、)なーーー。」
「その鳴き声みたいなのが名前なんですか。あっ、聖獣様。なーーー。と言う名前みたいです。」
もっとちゃんと言えや。人の名前間違えるとか失礼だぞ。
「えっ、こっちに来る。急いで準備するからしばらく待っておけ。ですか。」
ふーん、性獣様が来るのか。
「すみません。聖獣様がこちらに来るそうで、お待ちいただけますか。」
「ニャ。(へーい。)ニャニャ。(そう言えば、吾輩の名前はともかく、勇者君達の名前は。タケシ、サラ、ニーナでいいの。)」
「あっ、そうですね。自己紹介してませんでしたね。こちらが聖女のサラ。護衛のニーナ。で、一応帝国で勇者させて頂いている持金剛です。」
ふむ、お金持ってそうな名前だな。
「ニャー。(タケシ君、ちょっと逆立ちしてくれない。)」
「えっと何故ですか。」
「ニャ。(いいから。)」
「じゃあ。・・・あっ。」
おっ、財布落ちた。どれどれ。
「ニャッニャー。(ちっ、しけてやがるぜ。)」
「あの、やめてくれません。返してください。」
「ニャニャーニャ。(えっ、懐かしいでしょ。日本でもタケシ君は日本人狩りにあってそうだし。)」
「あってませんよ。あいつらの青春に巻き込まないでください。親から危ないって教えられてるから、近寄りませんよ。」
えー、そうなの。されそうな顔してるのに。最近はカツアゲやめて、唐揚げやってるよね。
「あの、その前にどうして、そんなこと知ってるんですか。日本のことなのに。」
「ニャンニャンニャニャン。(メタ属性とギャグ属性を合わせ持つ、叡智を極めた変態ニャンニャンだから。)」
「そうですか。・・・メタいんですね。」
「タケシだってすごいんですよ。帝国を戦争で勝利に導いた英雄なんですから。」
「いや、そんなことないよ。」
「ニャンニャウン。(タケシ君。一人殺せば殺人犯。10人殺せば殺人鬼。一万人殺せば、英雄なんだよ。そう、反撃を受けない上空から、チビとデブを落とせば、英雄なんだよ。)」
「えっ、タケシの元の世界ではチビとデブを落とすだけで英雄になれるんですか。」
「いや、そんなことないけど。」
「にゃっ。(えっ、本気で言ってる。)ニャニャニャニャ。(流石に8月頭の今の時期にこれの意味がわからない日本人はやばいと思うよ。)」
「えっ、八月のチビとデブですか。はっはっはっ・・・・(汗)・・・・ははは。・・・・僕なんて僕なんて死んだ方がマシなんだ。大量に人を殺して、それで英雄だって祭り上げられて調子に乗って。勇者(笑)ですよね。ほんと笑えねえ。」
「ニャニャニャ。(勝てば官軍負ければ賊軍だよ。タケシ君。)」
「えっ、急にどうしたの。タケシ。タケシは敵国の軍隊を壊滅させた帝国の英雄だよ。」
「ニャッ(いよっ、英雄。)」
「・・・・ははは。ちょっと考えたいから一人にしてほしい。」
うーん、タケシ君。急にどうしたんだろう。
チビとかデブとか作者が言ってるわけではないので悪しからず。そう、空からチビとデブ落とせば英雄になれるのです。作者は絶対やりたくないけど。
「親方、空からデブが。」
「はっ、逃げろ。」




