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ぬこ様、魔王認定を受ける

吾輩はぬこ様である。


今日は城門近くでお昼寝中。

「こっ、これは。すぐに領主様に連絡を。お客人は詰所でお待ちいただけますか。馬車を用意させますので。」


なにやら、慌てた様子の詰所の兵士。お客、しかも身分高めの。ふむ、よし出歯亀だ、野次馬だ、パパラッチだ、覗きだ。今も昔も変わりなく。みんな大好き、スキャンダル。吾輩は人でなしで人間失格じゃけえの。猫じゃけえの。みんなはやめろよ。事件や事故見て、警察や救急車呼ぶより先にカメラ回すとか駄目だぞ。邪魔になるから、野次馬も控えろよ。


とりあえず、じゃーーん。ジャーキー。ふっふっふっ、今日の分をがめて来たぜ。これで腹ごしらえして行こう。

あらやだ。しゅんでるー。鍋底大根くらいにしゅんでる。世界中の何よりもしゅんでる。ただ食べたくなるの。

(残念ながら、関西人の作者しゅんでるとか言わない。期待に応えられず申し訳ない。)


うまうま。


「お客人。馬車の用意が出来ました。」

「ありがとうございます。じゃあ、みんな行こうか。」


あっやべっ。出発しちゃう。先回りしないと。


「あれ、今。」

「行こう、サラ。何かあったの。」

「いや、何か見られてたような気がして。」

「ほら、あそこじゃない。」

「猫・・・。」

「この街、ほんと猫多いね。」

「可愛いよね。」

「神様みたいな扱いされてるらしいよ。初代領主が猫飼ってたのにあやかって。」

「邪教は排除しないと。」

「聖女様。宗教って言うか、ただの猫好きの集まりだから。」


さて、行くべ行くべ。


・・・到着。よし、待って・・・られないからちょっと寝る。


・・・「ワーナー様、帝国の勇者様が参りました。」

「わかった。すぐに行く。」


うん。あと十分・・・はっ、来た。やばい寝過ごした。遅刻遅刻・・・咥える食パンはないな。

貴賓室はあっちだ。


「ワーナー様、本日はご対応頂きありがとうございます。」

「いえいえ、帝国の勇者殿が来たとあれば無下に出来ませぬゆえ。それで、本日は何用で。」

「はい、実は帝国内部で呪いが蔓延しておりまして、その調査の結果、根源を辿るとこちらの街に行き着きまして。」

「呪いですか。」

「はい、生死に関わるようなものではないのですが。出来れば、こちらの街にしばらく滞在させて頂き、調査をさせてもらえればと。」


「その呪いはそちらの聖女様ですら、解けないほどのものなのですか。」

「はい、力が足りず恥いる次第であります。症状自体は・・・その・・・特に、生死に関わるわけでもないのですが、お貴族様に被害が広がっており、早い解決をと。ただ、あまりに強力な呪いで誰も解呪の糸口すら掴めておらず、一部では魔王による仕業との噂も。」

「魔王に呪いですか。呪いと言えば私も生死に影響はないものに。・・・」

「サラ、一度解呪してあげたら、サラなら多分解呪出来るでしょ。今回の呪いほどじゃなければ。」

ふむ、あの吾輩でも解けなかった。あれね。聖女なら特化型だから出来るのかな。でも、ただ抜け毛なだけだし。


「では、早速。光よ。」

きゃー。眩しい。光った光ったわ。

「ぶふぉっ。」

ダメだ。勇者がやられた。

「ぷー、くすくす。」

女戦士もやられた。


「これは、帝国の貴族様がたと同じ反応。」

えっ、みんな頭光らせたの。すっごいシュール。聖女様慣れっこなのこの光景。あと、勢い余ってヅラが落ちたよ。

「これは、そこ。結界。」

なんですと、吾輩の周りに結界が張られただと。

「結界で捕まえましたわ。この呪いの根源と思われるものが。まさか、こちらを見張っていて、これほど早く見つかるとは。」

「ダメ。もう、ちょっとあれ。止めて。」

ああ、勇者と女戦士が笑い転げてる。

トゥーニー君、そんな怒髪天を貫・・・毛なかったね。ごめんよ。

「お前かーーー。」

「ニャー。(吾輩は知らないのにゃ。)」

怖い。頭頂部を光らせながら詰め寄らないで。

逃げろーーー。

「えっ、私の結界が。」


ああ、変態ニャンコを捕まえるには強度が足りないね。


「追いますわよ。」

「・・・お腹痛い。」

「私も。」

「さっきから何をしてるんですか。早く、あれが魔王ですわ。」


いや、トゥーニー君の頭頂部光らせた、お前が魔王だわ。

トゥーニー「この恨みはらさでおくべきか!」

お岩「・・・(えっ、私のセリフ)」

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