窮鼠猫に構われる
吾輩はぬこ様である。
おっ、あそこに餌が。
「チューチュー。」
ふむ、お久しぶりーふ、ゲッツ。(死語)
うん。最近ネズミ増えてるな。よし、ここは。
「チューチュー。」
ふっふっふ、逃げろ。逃げろ。そして、巣まで連れて行け。
うん。汚い。また、やってきましたスラム街。全部壊していいですかね。とりあえず、今はネズミだネズミだ。ラットがドブネズミ、マウスがハツカネズミなんだって。つまり、奴はデカすぎるのでどう考えてもマウスではなく、ラット。
「チューチューチュー。」
うん、そろそろ着いたかな。
「チュー(お前何してんだ。おいーー、あいつこの街で一番危険な奴じゃねえか。)」
おっ、言葉が通じる奴も変態か。
「チューチューチューチュー。(親分助けてじゃねえ。あんな奴無理に決まってるだろうが。逃げんぞ、みんなバラけて。)」
甘いは逃してなるものか、全て出口は塞いでくれるわ。
「チューチュー(ちっ、くそっ土を操って出口を塞ぎやがった。)」
あっ、空気孔忘れた。
「「チューチュー。」」
「チューチュー。(親分と心中なんて嫌だじゃねえ。俺一匹でなんとか出来るわけがねえだろうが。)」
「ニャー。(ふっふっふ、猫が鼠を痛ぶるように、じっくりねっとり可愛がりをば。)」
「チューチュー(お前ら、いいか一斉にかかるぞ。)」
「「チューチュー。」」
「チューチューチュー(やだじゃねえ、俺だって逃げれるならそうしてる。)」
「ニャーニャー。(知らなかったのか。吾輩からは逃げれないのだよ。)」
「チュー。(かかれ。)」
一斉に噛みついてきやがった。
「チュー。(かてー。くっそ、まったく歯がたたねえ。)」
ふっふっふ、吾輩のこの絹のような毛並みと、赤ちゃんのような玉の肌に、そんな歯が刺さるわけがあるまい。
「チュー。(くそっ、どけオマエラ。)」
そう言うと、土の槍が飛んできた。
だが、きかん。ちょっと、土埃鬱陶しいけど。
あれ、どこ行った。おう。さっきの土はどちらかと言うと穴開けるのが目的か。中々頭が回るではないか。
だが、その先もとっくに塞いできているのだよ。
「チュー。(くそっ。殺せ。だが、子分だけは。)」
「ニャンニャー。(やです。甚ぶるのは吾輩の楽しみです。)」
「チュー(最低な野郎じゃねえか。)」
馬鹿野郎。吾輩はぬこ様であるぞ。そして、お前達は鼠だ。慈悲はない。
「ニャー。(ええー。見逃しても得ないし。どうせ殺して食べるんだから、それまで遊べば一石二鳥。)」
「チューチュー(助けて、神様。)」
「ニャンニャン。(そうです。吾輩が変態猫神です。)」
「チューチュー(ガッデム。)」
猫パンチ。猫パンチ。
「チューチュー(やっ、やめて。)」
「ニャーニャー(誰が地獄に堕ちろだと。)」
猫パンチ。猫パンチ。猫パンチ。
「ヂュ(やっ。)」
右左右左左右たまには、上。
「チューチュー(と言うか、あんまり痛くないけど。)」
まあ、肉球で撫でてるだけだし。うーん。正直飽きた。逃してもいいんだが。
「ニャー。(逃してもいいけど。街からは出てくれない。)」
「ヂュ(えっ。)」
なんだ、その以外そうな顔は吾輩が悪者みたいじゃないか。
「チュー。(自覚ないの。)」
「ニャー。(あっ、なんか気が変わった。)」
やっぱり、害獣に甘い顔したらダメだな。
「ヂュッ。チューチュー。(すみません。神様仏様猫様。お助けください。)」
「ニャー(お前名前は。)」
「チュー(なっ、名前ないです。)」
「ニャッにゃっ。(じゃあ、今日からビンタな。)」
「ヂュ。(えっ。)」
「ニャー。(名前。ドブネズミのビンタな。)」
「チュー。(もう少しカッコいい名前が。)」
「ニャー。(じゃあ、カッコいいビンタな。)」
「チュゥ。(あっ、ビンタでただのビンタでお願いします。)」
まあ、いいや。とりあえず、ここでようか。
「ニャー。(着いてこい。お前ら。はぐれたら餌だ。)」
よし、粛々とついてきてるな。とっとと森まで走るぞ。
・・・・
「あっ、猫・・・・とネズミ。えっ、なんで。」
ほら、見られてる。早く着いてこい。
「ニャー。(森のあの6本の高い木がある付近まで行くぞ。)」
「チュー。(お前ら行くぞ。)」
よし、到着。
「チュー。(あの、見逃してもらえるのですか。)」
「ニャー。(うん、街には来んなよ。次はないぞ。)」
「チュー。(へい。)」
「ニャー。(お前ら、全員吾輩の部下だからな。)」
とりあえず、貯めてるオーク肉出してやるか。この木の付近に置いてるんだよな。昨日取った分。おっ、あった。
「ニャ。(食え。)」
「チュー(いいんですか。)」
「ニャ。(食え。)」
よしよし、食ってるな。元々、鼠食いたい気分じゃなかったのよ。
「ニャーニャーニャー。(じゃあな、帰るからな。街には来んなよ。わかったな。)」
「チュー(へい、親分さようなら。)」
ふむ、同じ変態仲間。殺すには忍びないからね。あいつも将来、エルダーラットとか呼ばれるのかな。
よし、帰るべ。帰るべ。
本日の吾輩は
気まぐれニャンコ。
である。
作者が覚えてるのは他にだと、
伊藤、よう、加藤。
と
白い素肌のバッチャマン
くらいだな。
残念ながら、良い子には寝る時間だったのだよ。




