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初代ワーナー

読んでる人、100人いない。

「カエサル、カエサル。」

「なーーー。」


「カエサル、僕ね。この子たちの名前考えたんだ。聞いてくれる。」

「ニャウン(勝手にしろ。)」

「この子がシーザー。この子がユリウス。ジュリアス。女の子がユリア、ジュリー、ジュリアだ。」

「君の初めての子供は可愛いね。」


・・・・・

はっ、夢を見ていた。懐かしい夢だ。

吾輩の飼い主がまだ、10歳くらいの頃だ。吾輩の初めての子供達に名前をつけて喜んでいたものだ。

その頃は、まだ違う街に住んでいた。吾輩も初めての子供でドキドキしていたが、彼の喜びようはそれはもう。僕が名前をつけるんだって。

流石、奴らの血筋ネーミングセンスの素晴らしさ。


ワーナー男爵家 三男だったヘーゲル・ワーナーが吾輩の飼い主である。5歳の誕生日プレゼントが吾輩

「なーーー。」ことカエサル。


その頃のことはあんまり覚えてないの。

ヘーゲル君15歳の時に男爵家の領地の端に開拓民や奴隷と共に移住してきたのが今の街、いやあの当時は村だった。子供達は元の男爵家の街に置いてきたが、妻と二匹で着いてきた。

妻に関しては移ってしばらくした頃に寿命だったのだろう。亡くなった。悲しかったのかな。猫だったからな。そこまで覚えてないんだよ。綺麗な猫だった。海岸近くを二匹で歩いたことは覚えてる。


子供達も風の噂で亡くなったと聞いた。吾輩自身も、近く死ぬことを覚悟していたんだが。


変態によって命が救われた。流石、変態。変態変態変態。みんな変態すればいいのに。作者は変態だから、これ以上変態出来ないんだって。人類みな変態。だから二足歩行なんだね。


変態してからは、害獣を狩っては寝て、城壁工事を手伝ったりしては寝て、昼寝のあとには寝て、ご飯を食べては寝て、お魚とりやすいように港を作って、魚をもらっては寝て。


ってやってたら、いつの間にか村だったのが、こんな大きな街に変わった。


ヘーゲル君が30過ぎた頃だったかな。街の開拓や害獣退治の功績、害獣が減ったことなんかで進んだ農地開拓なんかの功績やなんやかんやで、本家ワーナー家とは別に陞爵したらしい。


この街はヘーゲル君が一から開拓し、発展させたってことでその名前から

「ヘイグテール」ヘーゲルの物語

って名前が付いている。そう、トゥーニー君のミドルネームはこの街の名前だ。ヘーゲル君は死ぬまでヘーゲル・ワーナーだが、二代目以降は街の名前をミドルネームに使っているんだ。まあ、庶民なんかは初代の名前をヘイグテール・ワーナーだと思ってるけど。


街の発展に伴って、猫もどんどん増えていった。初代の成功にあやかって。猫を粗末に扱った奴が酷い目にあって、大事にした奴はどんどん成功していったため、二代目の頃には猫を大事にすることは不文律になっていった。

ワガハイナニモシテイナイにゃん。ワガハイじゃないにゃん。どこかのヤサシイ猫好きのせいだニャン。


ヘーゲル君も寄る年波には耐えられず、最後はベットから立ち上がれなくなった。

「やあ、カエサル。まさか僕が君より先に逝くことになるとはねえ。君は化け物かい、それとも神様かな。」

「ニャー。(しらね)」

「初めて君が僕のところにきた時はすごく嬉しかった。僕の初めての友達は君だ。その友達に最後を看取ってもらえるなんてね。」

「ニャー。(うるさい)」

「とっても疲れたよ。眠たくてね。」

「ニャー。(寝ろ)」

「君のおかげでいい人生だったよ。家族にも恵まれて、街の人々にも恵まれた。素晴らしい人生だったよ。なによりも一番の友達に恵まれた。」

「ニャウニャンニャー。(寝ろ、寝て起きたら、また構え。遊べ。撫でろ。)」

「カエサル、この街は僕らの全てだ。僕が死んだあとは、僕の子供達を街を、気にかけてやってくれ。君の子供達もいたね。僕の代わりに見続けてやってくれ。たまに困ってたら助けてやってくれ。」

「ニャーニャー。(わかったから寝ろ)」

「君のおかげで何の憂いもなく逝けるよ。」

「ニャーニャー。(寝ろ。吾輩も寝る)」

「ああ、寝るのかい。一緒に寝ようか。そうだね。それがいいね。おやすみカエサル。」

「ニャウ(おやすみ)」


ヘーゲル君は二度と起きて来なかった。

それからも吾輩はこの街で寝て起きたら寝て、こうして野良猫として暮らしてる。吾輩の最初で最後の飼い主はヘーゲル君だ。


「たまー。持ってきたよーー。」

「ジョセフィーヌ、今日も最高級の魚を持ってきましたわ。」

「なーーー。」


吾輩はかつてカエサルであった。もうその名で呼ぶものはいない。

なーー君の祝福(呪い)によりヘーゲルワーナーから、ヘイグテールワーナーにクラスアーーップ。


ジョシーは祝福(呪い)効果を受けないのか、そうその前に嫁に行くのだ。

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