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風雲急を告げる エルダービースト再び

吾輩はぬこ様である。

今日も今日とて昼寝である。しばらく街がうるさかったが、ここ一週間は人も減って閑散としてて、よく眠れるのである。

特に男が少ないから、飲み歩いてる奴も少なくて快適快適。ただ、貰える餌が少ないから、自分で取りに行くのが面倒だ。

何故か家来二人も現れないし、全く吾輩を大事にしないとか、呪われても知らんぞ。

おっ、そう言ってる間に子分Bの匂いと足音が。ふむ、ノロいぞ。腹でも壊してたか。


「はあはあはあ。」

「なーーー。」

「はあはあ。ジョセフィーヌ。ううん、猫神様。お願いが。」

「にゃん。(うん。いや。)」


・・・・・

というわけで。どういうわけか。全力疾走する羽目に。全く、吾輩がどうして、はあ。子分め吾輩の手を煩わせるとは。ぬこ様の手だぞ。

問題は猫は、長距離走得意じゃないの。ぬこ様、化成の類だから、作者の気まぐれ次第だが。

・・・・・

「はあはあ。猫神様、お父様には猫神様には関係ないことだから、これは人間の問題だからって言ったんだけど、猫神様。お父様を助けて。」

「にゃん。(嫌だべ。)」

「隣の領地と小競り合いから戦に発展して、お父様も。」

「にゃん。(さよけ。)」

「アリスのお父さんだって兵隊として。」

それで、二人とも来なかったのね。全く子分としての自覚が足りんぞ。そんなことより吾輩の餌だろう。

「お願い猫神様、無事にお父様が帰って来られるように戦争を止めてください。お願いします。」

「にゃん。(やっ。)」

「お願いします。今度からお小遣いで最高級の新鮮なお魚を持ってくるから。

「にゃふ。(しょうがない。今回だけだぞ。)」


・・・・

と言うわけで、今疾走中。まあ、軍が出てから数日、よくて数十キロ、ファンタジー身体能力なら馬よりも早く辿り着けるはず。何故か、光の速さで動けても普通の移動は馬鹿みたいに遅いんだけど。

そう、100万ホーンだと宇宙が吹っ飛ぶのだが、額面通りなら有限質量が光の速さで動くと、残念ながらエネルギー無限大なので奴らこそが最強。


何故かファンタジー身体能力なのに、隣町との行き来になると馬車で数日。走れや、そもそも隣町とか数キロ先か、よくて数十キロ先だろ。人外身体能力設定にしたら1時間かからねえじゃねえか。普通に歩いて旅してんじゃねえよ。比較的大きなドイツで東西650km南北880kmだぞ。人外体力に人外速度なら大体どこでも一日圏内だろうが。車より早く一日中動ける体力、なのに町と町の移動は律儀に野宿って・・・


バカ。走れよ、途中諦めようとして、時間ギリギリにするメロスかよ。律儀に処刑時間ギリギリまで待ってくれて、全裸のオッさん二人の抱き合う姿を見て、暗殺テロリストを恩赦してくれる善人極まりない王様を噂だけで殺そうとして、妹の結婚式台無しにするメロスかよ。やだよ、王暗殺で捕まった親族。結婚式の日にちずらしてまで来なくていいよ。というか相手側親族からしたら、仲間扱いされたくないから、結婚自体取りやめだわ。

なんで近々結婚式なのに、テロって捕まって代わりに友達差し出すんだよ。全て悪いのお前なのに、どこに悪の王様が改心する要素あるんだよ。悪どころか普通の王様、結婚式だからって融通しねえぞ。初めから超がつくほど善人じゃねえか。某奈良のテロリストが情状酌量で恩赦とかやだよ。


100kmくらい、鼻歌交じりにスキップスキップランランランだろうが。よし、ソーセージも用意させよう。魚肉のやつ。


と、思考が明後日の方に向かっている間に、匂いがしてきた。香ばしい風呂に何日も入っていない大量のおっさんの匂いに混じって、血の匂いもしてきた。近い、近いぞ。


「よいかー。ここが踏ん張りどころ、負ければ街がお前らの家族が危険に晒される。負けるわけにはいかん。かかれー。」

ハゲんでますね。


疾きこと猫のごとく

静かなること猫のごとく

侵略すること猫のごとく

動かざること猫のごとし


そう、それこそが

(ニャウ)(ニャン)(ニャ)(ニャン)。」だーーー。



戦場のど真ん中に降り立つ吾輩。急な事態に混乱し、鎮まりかえる両軍。


「ねっ、猫神様。どうして。」

「エルダービーストだと。馬鹿な。」

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