初めまして、ぬこです。
やりたい放題はじめました。
吾輩は偉大なぬこ様であーる。
名前はマダナイなんてことはない。
尊敬する母様より頂いた名前がある。
そう、名前は「なーーー」である。
リピートアフターミー。
「なーーー。」
・・・・・違う。これだから人間は人の名前はちゃんと発音しないか。まったく、この偉大なぬこ様である吾輩の名前を間違えるなど、万死に値す
・・
「たまー?たまー、どこー?・・・・あっ、いた。」
誰がタマだ。吾輩の名前は・・
「なーーー。」
「今日も可愛いね。タマは。そうそう、今日のお土産はねーー。じゃっじゃーん。小魚の干物ーー。」
あっ、はい。タマでいいです。今だけはタマでいいです。
「ふふふん。ほしい?ほしい?」
「にゃん。にゃうーーーん。」
「きゃあー、可愛いーー。」
やめろ。抱くな、そんなことより寄越せ。
「にゃうにゃう。」
「ああ、ごめんね。はい、どうぞ。」
うーん、マンダム。これこれ。至福の時〜〜〜。くー、これを肴に一杯やらない。
「ほんと、美味しそうに食べるよね。タマは。」
美味いものを美味しく食べないとか、どう言うこと?
「じゃあ、今日も・・・うわー、もふもふ。ふわふわー。」
おうっ、そこそこ。くっ、気持ちいい。気持ちいいのだよ、子分よ。だが、しかし。食べるのに邪魔なんだよね。
「よーしよしよし。よーしよしよし。」
でーい。うっとうしい。
よし、もう食べ終わったぞ。これで逃げれる。
「あっ、もう食べ終わっちゃったの?もっと撫でさせてくれたらいいのに。」
吾輩はこれでも忙しいんだ。これから日向ぼっこに昼寝、夜は会合があるのだ。墓場でも集まって寝るのだ。うん?どうかい?それは。と言われても朝も夜も寝る。
「うーん、しょうがないかあ。また、明日も持ってくるからね。また、ここにいてね。」
吾輩これでも忙しいのだが・・・・しょうがないなあ。明日も来てやるかな。
そう、子分のためなんかじゃないのだ。そう、お魚さんのためなのだ。そう、だからしょうがないのだ。
「じゃあね。タマばいばい。またね。」
・・・・
さて、一晩たって今日もやってきたのだが・・・ふむ、来ない。子分が約束を破ったことはないのだが?うーん、急な用事だろうか?それともトラブルかな?
様子を見にいくべきか、いかざるべきか。吾輩、これから昼寝もしないといけないのだが。
よし、やっぱり見に行こう。しかし、決して子分が心配なわけではないのだ。そう、吾輩のお魚さんのためなのだ。仕方がないのだ。
ふむ、子分の家はこっちだったな。えっと、次はこの角を曲がって・・・
「あっ、猫さん。」
ふむ、吾輩はぬこ様である。
「猫さんだ。かわいい。」
少し、急いでるのでな。相手してやれんがな。じゃあ、吾輩は行くな。
「猫さん、ばいばい。」
ふむ、ばいばーい。
さて、子分の家はここは左のはずなんだが、何故か反対方向に匂いが続いているのだが、それに何やら複数の大人の男の匂いも・・・・・・
吾輩このあとも予定が詰まってるのだがなぁ。うーん。しょうがないか、お魚さんのためだ。決して子分のためなんかじゃないのだが、お魚さんのためなら、しょうがないか。
さて、どんどん人気のないスラムの方に進んでるが、流石に子分が自分から近づくようなところじゃないはず。・・・・これはきな臭い。いや、だいぶ前から糞尿臭い。
ふむ、ここかな。大分鼻がダメになってきてるけど。
「へっへっへっ、うまくいきやしたね。こんな餓鬼でも売れば、そこそこの値段に。」
「うー、うー。」
ふむ、今のくぐもった声は子分の声だな。と言うことは、人攫いかな?・・・・なんたるテンプレ。これは作者の発想の貧困さが醸し出されているかのような正にテンプレのような人攫いかな?
(やめちくれ。)
まったく、人間というのは郷の深い生き物だなぁ。奴隷売買が当たり前とは。派遣会社が派遣社員とは名ばかりの奴隷から搾取して、会社は従業員から搾取して、大企業は中小企業を搾取して、老人は若者から搾取して、挙句旦那の稼ぎは嫁のもの!ガッデム!
・・・・おっと、柄にもなく興奮して、関係ないことを、しょうがない。助けに行くか。まあ、吾輩は猫だから、人質にとるとかないだろうから、正面突破かな。
ではでは、まずは扉でも・・・・吹き飛ばしてみようか。はい、猫パーンチ。
「なんだ、どうした!くそ、鉄砲玉かー!」
おう、吹き飛んだ扉で潰れて・・・ばっちいな。って言うか、鉄砲ない世界設定で、鉄砲玉ってどういうことよ。
「くそっ、舞い上がった埃で見えねえ。てめえら、武器を構えろ!」
はーい、お疲れ様です。三人かな。ああ、扉の後ろの肉片もいれると四人かな。
「なんだよ。こんなところまで乗り込んでくるとか、ふざけんなよ・・・・へっ、・・・バケモン?!虎か?ヒョウか?くそっ、なんなんだこいつ!」
なんなんだこいつと?吾輩は猫、もといぬこ様である。吾輩の名前はよく聞くがいい。
「なーーー。」
まあ、聞いたところで生かして返さんけどね。
「クソが、しかしたかが一匹。しかも、畜生ごときどうとでも・・・「アニキーーー」
誰が畜生だ、こんちくしょうが。
「ちきしょうーー。アニキを」
「いいか、同時にやるぞ。そうすればこんな奴。」
まったく、敵の前で堂々と相談とかアホかな?・・・・ああ、吾輩はぬこ様だったね。通じてると思ってないよね。こりゃ、失敬。まあ、よかろう。かかってきなさい。
はーい、一人はどっかーん。
「へっへっへっ。これで・・・ってささんねえ。なんて硬えんだ。」
吾輩の毛並みにそんななまくらが刺さるはずがないだろうに。君も床の染みになりなさい。プチっとな。
よし、子分よ帰るぞ。
「ひいー、助けて。私なんて食べても美味しくないです。」
食べてないのだが。どいつも全身を強く打っただけなのだが。そもそも、眼をあけろ。早く帰るぞ。
「ニャーーー。」
「えっ、猫?」
そういうと、ゆっくりとその眼を開け、周りをゆっくり見渡すと。
「・・・うげーーーー。」
子分よ。助けに来たのに、吐くとは・・・失礼な奴め。
うん?まったく周りに何があると言うのだ。ああ、今夜はハンバーグかな。つみれ汁か?いや、いっそのこと小判焼きで。これぞ、まさしく猫に小判焼き。あっ、今川さんのことじゃ、御座いませんので戦争始めないで候。
「じゅるり。」
まあ、こんなところはとっととおさらばだぜ。パクッとな。よし、えり首咥えるしかないからこれでよかろう。
「いやー、食べないでーーー。」
どうせなら、そのポケットの魚寄越せ。人肉とかちょっと。まあ、家の近くまで運んでやるから、じっとしとけよ。
「いやー、速いーーーー。怖いーーー。高いーーー。」
うっせえわ。うっせーわ、黙ってろい。
この辺でよかろう。ポイっ。
「キャーーーー。」
じゃあな。今度は捕まらずにまっすぐ魚持ってこいよ。
さて、昼寝だ。昼寝だ。シエスタだ。一日20時間は寝ないと体調が悪くて悪くて。
・・・・
さて、今日こそ子分はお魚持ってきてるかな?なんの魚かな。
「あっ、タマ。」
おおう、お魚さんお魚さん。
「はい、タマ。これ煮干し。今日は昨日の分も持ってきたんだ。」
いやっふうーーー!よこーせ、よこーせ。よこーせ。
「はいはい。慌てないの。あのね、タマ。昨日はごめんね。人攫いにあってて、持ってこれなかったんだ。」
知ってる。そんなことよりよこーせ。
「くっ、魚か。そんなことより、魚か。」
イエス、うぃーきゃん。
「もう、あげるから。はい。」
イェーイ。
「でね、タマ。その時にね大きな虎みたいな動物に助けてもらってね・・・。すっごく雑にだけど。」
そんなことはないし、そんなことよりさっかーなー。
「タマ・・・・ありがとうね。ただ、次助ける時はもう少し丁寧に助けてね。」
ぶふーーーーー。何故バレた。今はきゃわいい猫のはず。姿形が違・・・いや、なんのことかにゃ、吾輩は知らないのにゃ。
「タマーーー。わしゃわしゃわしゃ。」
やめるのにゃ。食べにくいにゃ。
解せぬ、何故バレたにゃ。
「じゃあねー。タマまた、持ってくるからね。本当に助けてくれてありがとうね。」
知らないのにゃ。吾輩じゃないのにゃ。猫違いなのにゃ。
ふむ、いったか。どうしてバレたのか。・・・・
吾輩はぬこ様である。
「なーーー。」
本日の吾輩は、タマである。