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仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ  作者: ぷい16
魔王退治ととある商人の暗躍
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王族への報告

 (かおる)が実家へ帰省したものの、家族には会えず、代わりにおじに会ったその後、(かおる)の素性を王族に伝えるため、一路王城へと向かった。


『勇者様ご一行、いらしゃいませ』


 しばらく風呂に入っていないため、王族に謁見(えっけん)する前に風呂に入りたい(むね)を伝える。


 客室に通され、お茶とお菓子を出され、我が家のようにくつろぐ麻宗家一行。ちなみにカーライルたちは他の部屋をあてがわれている。


 風呂に入って頭を乾かす。やはり結構汚れていたようで、ごっそりと汚れが落ちた。子供たちの世話をカーライルたちに任せっぱなしだったため、久々に世話を焼く。その間(かおる)は化粧をする。


 準備が整ったので、カーライルたちに準備状況を聞いてみる。あちらも大丈夫なようだ。


 なので、城の従者に準備ができたことを伝える。


 しばし待たされ、


『謁見の間へお越し下さい』


 お声がかかった。


『勇者様のおなーりー』


 謁見の間へ入ってみると、そこに()たのは王ではなかった。女性であった。


 礼をしたまま王族の言葉を待つ。


『頭をお上げ下さい』


 了解を得たので頭を上げる。


『私はパトリシア・ルイジアンヌ。王妃である』


 王妃様だった。


『して、今回は何用だ?』


『私の妻、(かおる)についてですが、思い出したことを伝えに参上しました』


 (かおる)は、兄弟げんかで、文化も言葉も分らない、異世界日本に飛ばされ、孤児として苦労したこと、あちらでは(かおる)と名づけられたこと、俺と結婚して2児のママになったことを伝え、


『私の本名は、エリアリアーナ・バーンクリットと申します』


 (かおる)が名を告げた瞬間、王妃の顔が凍り付いた。周りも顔を見合わせている。


『そ、そなた、エリアリアーナと申したか』


『はい、左様です』


『…秀才エリアリアーナが異世界から戻って来よったか』


 …うちの妻、秀才だったんだ。


『報告は以上か?』


『はい』


『それでは、もう遅い。今日は泊まっていくがよい』


『ありがとうございます』


『それに、城の図書館は出入り自由とする。読みたいときは城の者に伝えよ』


『ありがとうございます』


 俺たちは客間へ戻り、一休みする。お茶菓子が美味しい。


 しばらくして、


『お客様がお見えです』


 客?俺たちに?誰だろう。


 ドアが開いた瞬間、


『お姉様!』


 (かおる)によく似た女性が(かおる)に突進してきてそのまま抱きついた。


『アヴァリンですか?』


『はい。お久しゅうございます。アヴァリンです。よくご無事で…』


 アヴァリンという女性は目に涙を浮かべている。


『私のせいで、ご苦労なさったそうで、申し訳ございませんでした』


 そのままアヴァリンという女性は(かおる)に抱きつきながら、泣いた。


 ひとしきり泣いたと、(かおる)から離れ、


『私はアヴァリン・バーンクリット、エリアリアーナお姉様の妹でございます』


『私は夫の二郎(じろう)、こちらが長女の花菜香(はなか)、こちらが長男の風雅(ふうが)だ』


『まぁ、お姉様、あちらでご結婚なさったのですか?』


『えぇ。今では、夫、二郎(じろう)は勇者と呼ばれ、ただ今家族で魔王退治に向けて、日々鍛錬の日々です』


『あら、そうだったのですか』


『夫が召還されなければ、私は記憶を失ったまま、こちらに戻ってくることはなかったのですよ』


 その後、アヴァリンさんにも座っていただき、家族と他愛もない話しをする。


『屋敷にお寄りになったのですか?』


『えぇ、シンロブモントおじさまと、セバテベスしか、馴染(なじ)みの者は()ませんでしたけど』


 そうか。お屋敷で会ったおじさまは、シンロブモントという名前なのか。覚えておこう。


『それは時期が悪うございました。今、父上と兄上たちは、ビッグゴスゴリルが目撃された、クロッドキューブの森に討伐に出ております』


『…昨日、私、ビッグゴスゴリルを倒したのですが、ビッグゴスゴリルというのはいっぱいいるのですか?』


『いいえ、ビッグゴスゴリルはこの世に一体だけ、魔王直属の部下でございます。 …ん?倒した?』


 ………


 ……


 …


『えぇぇーーー!!!』



 何でも、ビッグゴスゴリルは、この世に4体しかいない、魔王直属の部下の1体なのだそうだ。俺たちはこの4体を全て倒し、力をまた付けて、魔王に立ち向かわなければならないのだそうだ。


 …まぁ、俺たちは、(かおる)1人の手柄で、そのうちの1体を(すで)に倒しちゃったわけだけど。


 アヴァリンお嬢様は、すぐに手紙を書き始め、魔法でミニチュア飛行機を出し、それに手紙を入れ、空に飛ばした。


『これでお父様方は早めに帰って来ますわ。しかしまぁ、帰って来て早々、ビッグゴスゴリルを倒すとは思ってもみませんでしたわ』


 あの飛行機はお貴族様の連絡手段のようだ。


『あら、お返事かしら?』


 しばらくして、飛行機が帰って来た。飛行機は、アヴァリンお嬢様の元で止まり、手紙を取り出すと、飛行機は跡形もなく消えた。


『お父様も兄上も、お姉様のお帰りを喜んでおいでのようですわ。ビッグゴスゴリルが討伐された以上、討伐対象がもう()ないわけですから、討伐隊は引き返すそうです。お父様のお帰りも早まりますわ』


 アヴァリンお嬢様は、にこやかに笑った。そして、


『あら、いけない。もうお時間のようですわ。戻らなくては。お姉様もお気軽にお屋敷にお立ち寄り下さいな。それでは近いうちにまた会いましょう。今日はこれで失礼します』


 アヴァリンお嬢様は帰っていった。


 そしてその後はメシを食って寝た。



     *



『勇者ご一行は様々は不思議な道具をお持ちですな』


『実に興味深いものですな』


 ここはザガンガ王国の研究者のとある会議室。様々な研究をしている者たちが定例会議をしているのである。


『研究してこちらで作れないものですかな』


『作れるようになれば、この国も、さらに発展するやも知れませんな』


 会議中、緊急の知らせが入ってきた。


『会議中だぞ。何用だ?』


『今入った情報によりますと、勇者様の奥様、(かおる)様は実は、行方不明だったバーンクリット公爵家のご令嬢、エリアリアーナ・バーンクリット様であるとのことです』


『秀才エリアリアーナ・バーンクリット様だと!それはまことか』


『はい。王妃様からのお知らせにございます』


『分った。下がれ』


『はっ』


 伝令は下がり、会議室には沈黙が走った。1人の男によって沈黙は破られる。


『勇者様ご一行にバーンクリット家のご令嬢が()るということは好都合ですな』


『というと?』


『対象は違えどもあちらも研究者。こちらの意図をくみ取り、いろいろと協力してくれるのではないかと思ったのです』


『『おぉー』』



 その後も会議は落ち着いた雰囲気で進んだ。変わった物を持っているとは言われても、実際に使ったところを見た者は()ない。なので具体的な話は進まない。それぞれに夢の道具を思い描き、都合の良い絵空事を並べてその日の会議は終了したのだった。



     *



「今日も天気だ空気がうまい!」


 やはり家族では1番に目の覚めてしまった二郎。スマホをチェックする。うん。夕刻の神隠し事件はさらに尾ひれ、背びれを増やしてさらに大きくなっている。ネットでは、被害者として、まるで別人の名前があがっている。うん、誰の話だ?これ?


 次に(かおる)が目を覚ます。やはりスマホを(いじ)る。


「ネットも変わりないようね。でも、夕刻の神隠し事件は変わったことになっているわね」


(かおる)もそう思うか。そうだよな」


 俺たちが身支度を調えると、


「パパ、ママ、おはよう」


 2人の子供も起き出す。


 子供2人の身支度も済ませると、


『勇者ご一行様、朝食の準備が整いました』


 俺たちは朝食へ向かった。




『遠いので飛ばしても大丈夫ですよ』


 俺たちはパーティーメンバーと合流し、食料を買い込み、カーライルの案内で一路魔法の訓練ができそうな場所に向かっていた。


 そこは見晴らす限りの荒れ地で、人っ子1人居ない。


『ここなら誰も用がありませんし人も寄りつきません。ここなら気兼ねなく、特大魔法の練習に最適です』


『いきなり初心者にそんな危ない魔法、教えないわよ。失礼ね』


 …家族は適性もあるかどうか分らない初心者。そんな者が高度な魔法が使えるわけがない。いつもは適切に物事を決められるのに、そんなことも失念しているカーライルであった。

お読み下さりありがとうございます。


地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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