街道に出る魔物
エテラーシアとヨーネスティンが無事出産し、名付けを行なった。
エテラーシアとの子をアクレシス、ヨーネスティンとの子をエーベルハルトと名付け、二郎を始め家族は可愛がるのだった。
首が据わったらおじいちゃん―タンザナティア王国のジンジョルノ国王とジルベチア王国のエレンハイム国王―に見せにいこうと思う二郎なのであった。
*
サガンガ―タンザナティア間を結ぶ森を切り開いた街道、タンザナティアの言葉由来でゼバ街道と名付けられたその街道は、初めこそ馬車しか居ない、通りやすい街道であったが、次第に魔物が街道を横切るようになり、最近は通行を妨害し始めた。
これ以上問題を大きくしないため、二郎たちは魔王、アンドレシロシウスに会いに行った。
「森は魔物の住処です!それを勝手に切り開いて!問題が起こることくらい分るでしょ!」
魔王に怒られてしまった。
「あの一帯のガラビーストの群れが、あの街道で分断されました。あの街道ができる前は人間と対立せず、大人しい種族でしたが、群れが分断され、住処が一部なくなり、今、相当に頭にきているようです。何とかこちらからの働きかけにより、大きな争いには至っていませんが、怒りが蓄積しています。これからはどうなるか分りませんよ」
そう責める魔王に二郎は、
「こちらに非があることは承知した。しかし、こちらを害するようであれば魔物を討伐しなければならない」
「勝手ですね」
「あの街道の人の往来を止めるわけにはいかないからね」
魔王は呆れた顔をし、
「こちらからも、できるだけ対立しないように働きかけます。しかし、限度というものもあります。もっと自分たちの所業の結果だということを認識してもらいたいですね」
魔王に散々怒られ、その日の会談は終わった。
街道を通すときに魔物側とも相談していればと思うこともあるが、もう通してしまっている。無かったことにはできない。頭の痛い二郎なのであった。
ゼバ街道には、安全性を考え、宮廷魔道士が毎日1人派遣することになった。遠見の魔法でトラブルがないか日々監視をすることになるだろう。
「我々の落ち度であったな」
ここはサガンガの王城の会議室。二郎、薫に、アバン王、リチャードお義父様がいる。
「魔物と相談しながら街道を通すべきであったな」
街道をどこに通すかを考えたのはサガンガの役人であったが、森を切り開いたのは宮廷魔道士である。二郎も長い距離を切り開いた。
「魔物も北の森が復活すればそちらに帰ることも考えるだろうが、今は回復したとは言え、一度汚染されて木々が枯れてしまった土地。木々が元のように生い茂るまでにはいかほどの月日が必要になるか」
木々が枯れ果ててしまった原因も人間の所業によるものである。人間のしたことで魔物を振り回していると言われれば反論できない。
「あい分かった。このまま街道を監視し続けてくれ。何かあれば宮廷魔道士で対応することも許可する。しかし、争いが起こらない方が良いのぉ」
二郎も心中穏やかではない。
「事は我が国だけのものでもない。ジンジョルノ王にも報告しに行ってくれないかね」
「分りました」
二郎は早速タンザナティア王国の王城に、ジンジョルノ王との謁見の許可を取るのであった。
*
「ほぉ。この子が孫のアクレシスか。可愛いのぉ」
ここはタンザナティア王国王城の会議室。二郎、薫、エテラーシアが、ジンジョルノ王と会っているのである。アクレシスを連れて来られないわけではなかったが、置いてきた。代わりに、遠見の魔法と投影の魔法を使って、アクレシスの様子をジンジョルノ王に、見せているのである。
「それで、話というのは?」
二郎はジンジョルノ王に、ゼバ街道で起こっていることを話すのであった。
「二郎君、ヘマをやったようだね」
二郎は責任を感じ、俯いている。
「我が国からも兵を常駐させる。サガンガ王国だけに負担を強いるわけにはいかないからね。しかし、君らは我々が知らない魔法を沢山知っているようだ。できればそういったものもこちらに教えてもらいたいものだ」
「私共はサガンガ王国の人間です。アバン王と相談の上、お教えできるものは指導したいと思います」
「おぉそうか。良い返事を期待しているぞ」
そうしてジンジョルノ王との謁見は終わった。
魔物は不安を溜め込んでいる。いつ爆発するか分らない。それが不安で仕方がない二郎なのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。




