デイザス地方の魔道士たち
「我が抜きん出た実力を持つ魔道士たちよ!その実力をこの場で示せ!」
「「「「「おぉー!」」」」」
ここはデイザス地方、サザートリアから馬車で1時間ほど行ったところにある荒野。そこの高いところの物見台から薫は一般魔道士たち32名の火力演習を見ていた。
あれからの馬車の旅は、特に特筆すべき事はなかった。他の貴族に会うこともなく、国民は楽しみといえば、酒を飲むこととおしゃべりすることくらいしかなく、ちょっと可愛そうだなという気持ちは持っていたが。
1時間ほど眺めていて、デイザス地方方面支部長のメイザスが、
「それではここいらで我ら幹部が一度、格の違いってヤツを見せつけようと思うのですが、薫様もどうですか?」
「分りました。一発派手なのを繰り出しましょう」
一旦火力演習を中断させて、
「いいか見ておけ!実力のある者はこれくらいできるんだぞ!」
幹部が実力を示すために魔法を放つ。その威力に一般魔道士たちは歓声を上げる。
薫に同行していた宮廷魔道士のアヤコフ、ナターシルアもそれに続き、またもや歓声が上がる。
薫の番になる。
「エクスペリメンタル・ファイヤーストーム!」
もちろん、今日最高の火力である。
「こ、これは…」
あまりの威力に一般魔道士たちは静まりかえる。
「これくらい軽い♪」
「こ、これで軽くですか…」
メイザスもやっと言葉を絞り出す。
「み、見たな!ちゃんと見たな!それでは火力演習、再開!」
幹部たちは物見台へ向かう。薫は階段を上るのを面倒くさがって、浮遊魔法で飛び、席に戻った。
周りは騒然となった。
「空、飛べるんですか?」
「えぇ。ここに来る道中で暇つぶしに読んだ本の中に浮遊魔法が載ってまして、練習して使えるようになりましたわ。何でしたら明日、浮遊魔法を含めた便利魔法、いろいろとお教えしますわよ」
こうして、明日の予定は薫による便利魔法の講習会に決まるのであった。
「魔法の実力は、資料通りか」
火力演習は、まだ日の明るいうちに終わった。皆、馬車でサザートリアまで戻る。
薫はゲートで、今日出勤の宮廷魔道士たちを連れて来て、
「ここがデイザス地方、サザートリアよ。場所をちゃんと覚えてね」
サザートリアの散策が始まった。
ついでに二郎に王都で変わったことはないか聞いておく。30分ほど散策して、
「もう場所は覚えたわね。それじゃぁ、空いた時間、ちゃんとゲートでここに来られるか確かめておいてね。それじゃぁ仕事に戻ってちょうだい」
ゲートで王城まで送り届けた。
その後、メイザスから通常の魔道士の配置、巡回のスケジュール、日々の仕事内容、有事の際の配置などについて聞いた。
次の日、薫による便利魔法の講習会が始まった。
「それでは次、ゲートね。これは行ったことがあるところへ一瞬で行くことができる便利魔法よ」
薫はゲートを披露した。行った先は王都。デイザス地方の皆を引き連れて、ちょっと王都散策。しばらくしてサザートリアまで戻り、
「ゲートを覚えたら、気軽に王都へ行けるわよ。さぁ、頑張ってね」
それから日が傾き、空が夕焼けで赤くなるまで便利魔法の講習会は続くのであった。
「まぁ、得手不得手あるでしょうし、一部、今日ではできない人も居たようだけど、まぁ、優秀な方ね。頑張ったわ。どうしても使いたい魔法があったらここに使えるようになった人が居るわけだし、指導を受けるなり、自主練するなりして頑張ってね♪」
講習会が終わり、その日はそれでお仕事終了となった。
次の日、
「田舎ねぇ」
ゲートが使えるようになった者に、各地方都市散策に連れて行ってもらった。有事の際、すぐに駆けつけられやすいよう、場所を押さえておくのは、何かと有利である。
サザートリアへ帰り、メイザスに、
「滞在期間中、いろいろと予定を立ててくれていたと思うけど、予定を大幅に崩してごめんなさい。でも、有意義な3日間だったわ」
「予定のことはお気になさらず。こちらもいろいろと便利な魔法を教えていただきありがとうございます。こちらも気付かされたこともあり、大変有意義でした」
その日はそれでお終いにし、宿舎へ戻り、今日の疲れを落とすのであった。
翌日。薫が王都へ帰る日となった。朝早くだというのに、メイザスは挨拶に来てくれた。
「滞在中はありがとうございました。私がまたこちらに来ることになるといったら、ろくでもないことの可能性が大きいのよね。それではお別れです。お元気で」
「薫様はゲートが使えるのでまた、気軽においで下さい。歓迎しますよ」
そうしてメイザスと別れて、王都へ向かう馬車に乗る。
「馬車の旅って退屈なのよねぇ」
そう言ってまた本を読みふける薫なのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。




